《社説②・12.03》:維新の新代表に吉村氏 存在意義を問い直す時だ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.03》:維新の新代表に吉村氏 存在意義を問い直す時だ
与野党伯仲の国会でどのような役割を果たすのか。自らの存在意義を問い直す必要がある。
日本維新の会の代表選が実施され、吉村洋文大阪府知事が新代表に選出された。
維新は昨春の統一地方選で躍進し、全国政党化への足がかりを得たが、その後は地盤の関西などの選挙で敗北が相次いだ。衆院選でも公示前から5議席減となった。
知名度の高い吉村氏が代表に選ばれたのは、来夏の参院選に向けた「選挙の顔」としての期待からだ。衆院選で立憲民主、国民民主両党が議席を伸ばしたにもかかわらず、維新が敗北した原因を、まずは総括しなければならない。
馬場伸幸前代表は、内容に応じて政策への賛否を決める「是々非々」の路線を掲げたが、立憲と対立し、与党に接近する場面が目立った。「第2自民党でいい」と語ったこともある。
通常国会で焦点となった政治資金規正法改正を巡っては、不十分な改革内容で与党といったん合意しながら、参院採決では反対に回るなど、対応が迷走した。
吉村氏は「政権と対峙(たいじ)する」と対決姿勢を強調し、参院選1人区では野党が予備選によって候補者を一本化すべきだと提案した。そうであるなら、国会で他の野党とどう向き合い、連携を図るのかを行動で示さなければならない。
一方で、自民、公明両党との政策協議も否定していない。与党は国民民主との数合わせで当面の国会を乗り切ろうとしている。そこに加わるだけなら従来路線と変わらず、「補完勢力」との批判を受けて埋没しかねない。
党内では所属議員・首長らのハラスメント行為などの不祥事が絶えない。離党者も相次いでいる。党としてガバナンスを立て直すことも急務だ。
そもそも維新は、看板政策の大阪都構想が事実上頓挫して以降、方向性が見えにくくなっている。推し進める大阪・関西万博の費用が上振れし、党是である「身を切る改革」との矛盾も浮き彫りになった。
自民、立憲に次ぐ比較第3党として、いかに国民の暮らしと安全を守るのか。全国政党化を目指すのであれば、国づくりの全体像を明確に示すことが求められる。
元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月03日 02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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