路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説①・12.03】:プラ条約先送り 危機感を共有し一致点探れ

2024-12-03 16:00:30 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

【社説①・12.03:プラ条約先送り 危機感を共有し一致点探れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.03】:プラ条約先送り 危機感を共有し一致点探れ 

 プラスチックごみによる環境汚染が広がり、人体への健康リスクが高まっている。国際社会で危機感を共有し、実効性あるルールづくりに向け、粘り強く一致点を探らねばならない。

 プラごみ汚染対策の国際条約作りのため、韓国・釜山で開かれていた政府間交渉委員会は、条約案への合意を先送りした。

 2022年の国連環境総会で条約策定を決め、5回目の今会合を最終と位置づけていた。

 最大の懸案事項だった生産規制で、各国の主張の隔たりが埋まらなかったという。

 世界共通の厳しい規制を求める欧州連合(EU)やアフリカ諸国、汚染に脅かされる島しょ国側に対し、原料となる石油を産出するサウジアラビアなど中東諸国やロシアは、需要減を懸念して強く反発した。

 議長がとりまとめた草案では、国際的な削減目標を設定する案を示す一方、生産規制に関しては条文に盛り込まない案も残した。両論を並立させたことは、合意の困難さを表しているといえよう。

 ただプラごみの削減や環境流出の防止を巡って、使い捨てプラの製造禁止といった選択肢が条文案に盛り込まれるなど一定の前進もみられる。生産規制にも踏み込みが不可欠だ。

 プラごみ汚染は深刻化している。経済協力開発機構(OECD)によると、19年のプラスチックの廃棄量は20年前と比べて倍増した。自然に分解しにくいため海や川にそのまま流出し、50年には海中のプラごみの総重量が、全ての魚より多くなるとの予測もある。

 特に近年、問題となっているのが、5ミリ以下に砕けたマイクロプラである。えさと間違え食べた魚を、摂取することで人体から検出されており、健康被害が危ぶまれる。

 会合は来年に再び開くとみられるが、先行きは見通せない。各国が自分ごととして向き合い、合意形成へ歩み寄れるかが問われよう。

 「EU寄り」との立場を示してきた米国は年明け、環境問題に消極的なトランプ氏が大統領に就任することで、後退する可能性も出ている。

 日本は各国の状況に応じた規制をとるべきだとの中間的な立場とするが、どっちつかずの感が否めない。1人当たりのプラ容器包装の廃棄量は米国に次いで世界2位であり、「プラごみ発生大国」として削減目標を示すなどして、各国の橋渡し役を担うべきではないか。

 これまでレジ袋の有料化は導入したものの、排出量の削減や熱回収中心となっているリサイクルなど不十分と言わざるを得ない。生産部分を含めた対策に力を入れていく必要がある。

 国際機関とともにマイクロプラの調査研究などを進め、科学的根拠を示すことで対策の後押しにも尽力したい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月03日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.03》:適正評価基準案 監視の懸念残したまま

2024-12-03 09:31:50 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

《社説①・12.03》:適正評価基準案 監視の懸念残したまま

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.03》:適正評価基準案 監視の懸念残したまま 

 経済安全保障の名の下、民間企業や大学の研究者、技術者らが広く、政府による監視の対象にされかねない。重大な懸念が置き去りにされたままだ。

 重要経済安保情報保護・活用法に基づき、機密情報を扱う資格を認定するセキュリティー・クリアランス(適性評価)である。政府が運用の基準案を公表した。

 秘密保護法制を産業・経済の分野に拡大し、国による情報の統制と監視を一段と強化する法だ。先の通常国会で成立し、来年5月までに施行される。

 防衛や外交上の機密情報に関する特定秘密保護法の下で、主に公務員が対象だった適性評価の間口が大きく広がる。犯罪歴、飲酒、借金、精神疾患といった機微な個人情報が、身辺調査によって洗い出されるだけではない。

 国や国民の安全を害する活動、社会に不安や恐怖を与える活動との関わりが、調査事項として挙げられている。国家機密の保全を理由に素行が探られ、思想・信条の調査につながる恐れがある。

 基準案は、基本的な考え方として、プライバシーの保護や、法に明示した項目以外の調査の禁止、評価結果の目的外利用の禁止を掲げた。身辺調査は、対象者本人の同意を前提とする。

 しかし、調査や集めた情報の取り扱いが適正に行われているかどうかを、外部から確かめるすべはない。政府から独立した機関が運用を監視し、是正を図る仕組みは設けられていない。

 国会の審議で法案が修正され、運用状況を政府が国会に報告し、公表することが定められはした。とはいえ、どこまで明らかにするかは政府に委ねられている。おのずと限界は明らかだ。

 調査は、家族や同居人の氏名、生年月日、国籍にも及ぶ。適性評価を受ける本人がそのことを家族らに伝えるのは構わないが、同意は必要とされていない。

 調査を担う機関は首相の下に置かれる。当局による秘密裏の情報収集が、また新たな法の後ろ盾を得た形だ。情報が一元的に集約されることで、監視に結びつく危険はいっそう強まる。

 何が経済安保上の機密情報にあたるのかは、運用基準案でも明確になっていない。機密の範囲が歯止めなく広がり、主権者の知る権利が損なわれる懸念も大きい。

 秘密法制をなし崩しに拡大する危うさについて、審議が尽くされたとは言いがたい法である。施行の先送りを視野に、国会で根本から議論し直すべきだ。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月03日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・12.03》:プラごみの削減 条約の実現へ粘り強く

2024-12-03 09:31:40 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

《社説②・12.03》:プラごみの削減 条約の実現へ粘り強く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.03》:プラごみの削減 条約の実現へ粘り強く 

 プラスチックごみを減らす国際条約づくりの政府間交渉が物別れとなった。今年中に条約案をまとめることになっていた。来年以降に持ち越される。

 増え続けるプラごみを抑えるには、元をたどって大量生産の段階から規制する必要がある。そこが最大のネックになっている。

 欧州連合(EU)や海洋汚染にさらされる島国などは生産量の削減目標をつくるべきだと主張。一方、原料の石油を産出する中東諸国などはプラごみを減らす対策にとどめるべきだとして、溝が埋まらなかった。

 生態系はもちろん、人体への悪影響も指摘されるプラごみの削減は、国際協調で解決を目指さねばならない差し迫った課題だ。世界有数の排出国である日本の責任は極めて重い。速やかな合意に向けて、粘り強く一致点を見いだしていく必要がある。

 条約づくりは2022年に国連環境総会で決まった。主に海洋に流出するプラごみを、クジラや海鳥などが餌と間違えてのみ込んだり、絡まって死んだりする被害が注目されていた。

 プラごみはさらに増える勢いにある。国連は毎年1900万~2300万トンが湖、河川、海洋に流出していると推計。経済協力開発機構(OECD)は、対策を強化しないと60年に流出量は4400万トンに達するとみている。

 生産が拡大すれば、それだけ温室効果ガスの排出も増えると予測されている。地球温暖化防止の意味でも、生産段階での規制は避けて通れない。

 人体への影響も見過ごせなくなってきた。捨てられたプラは紫外線や微生物の分解で細かくなる。直径5ミリ以下のマイクロプラスチックより小さい直径1マイクロメートル(千分の1ミリ)以下の超微粒子の存在が明らかになっている。

 国内外で人の血液から検出され、腎臓、肝臓などからはプラに添加された化学物質も見つかった。生殖機能や子どもの脳の発達への悪影響が懸念されている。こうした有害な化学物質の規制も積み残された論点だ。

 日本は、生産規制は一律でなく各国の実情に応じて行いながら、リサイクルや廃棄管理の強化を進める―との立場を取っている。まず条約を実現し、その後の締約国会議で内容を強化、充実していく選択肢もあるだろう。

 プラ製品を日々大量に消費し、捨てている私たちは当事者だ。暮らしの中にある課題として関心を持ち続けたい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月03日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《斜面・12.03》:機を逃すな

2024-12-03 09:31:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

《斜面・12.03》:機を逃すな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《斜面・12.03》:機を逃すな

 禅の言葉に「看(み)よ看(み)よ臘月尽(ろうげつつ)く」がある。臘月は12月のこと。

 「よくよく見なさい。12月はあっという間に終わってしまいますよ」と、暮らしを見つめ日々を大切にするよう諭している。

 やり残しはないか、今年を顧みる時季になった

 ◆元日に能登半島で大地震が起きた。全国が猛暑に苦しみ、各地で…、(残り455文字/全文606文字)

 ■続きは、会員登録後、お読み下さい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【斜面】  2024年12月03日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.03】:避難所の質向上 「TKB48」を広げたい

2024-12-03 07:55:50 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説①・12.03】::避難所の質向上 「TKB48」を広げたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.03】:避難所の質向上 「TKB48」を広げたい 

 災害時における避難所のトイレや食事など、被災者の生活環境の抜本的な改善に取り組むと、政府が11月下旬に閣議決定した総合経済対策に盛り込んだ。元日の能登半島地震でも、断水でトイレを使用できず、体調を崩した人が少なからずいたという。日本の避難所は災害大国にもかかわらず、欧米に比べて劣悪だと指摘される。官民挙げて質の向上に努めねば、その文明度が問われる問題だろう。
 
 求められるのは、個室の水洗トイレを積んだトイレトレーラーや温かい食事を提供するキッチンカーなどの配備を進め、段ボールベッドなどとともに被災地に迅速に届ける仕組みづくりだ。避難所・避難生活学会などは、こうしたトイレ(T)、キッチン(K)、ベッド(B)を「48時間以内」に届けることを「TKB48」と名付け、早期の実現を提唱している。
 
 阪神や東日本など過去の大災害では、トイレの我慢のほか、冷めた食事に雑魚寝が続いたりしたことによる体調の悪化、さらには災害関連死も報告されている。
 
 避難所の運営は市町村の責務だが、通常業務も抱え被災自治体の職員だけでは手が回らないのが実情。一方、被災者の健康維持にはなるべく日常に近い生活環境が求められる。トイレトレーラーなどの配備と派遣、被災地外からの職員応援に関しては、国が財政支援に加え、調整役も担うべきだ。
 
 NPOや自治体の協力を得て、トレーラーなどの所在地、数をデータベース化して、情報共有することが急務だ。全国段ボール工業組合連合会のように独自でTKB48に取り組む組織もある。
 
 一般社団法人「助けあいジャパン」は万が一の際、トイレトレーラーを融通し合う「災害派遣トイレネットワーク」を立ち上げ、既に20以上の自治体が加わる。愛知県刈谷市もその一つで、5年前にトイレトレーラーを1400万円で購入した。平時こそイベント開催時など活用は限定的だが、能登地震では現地に投入され、貢献した。こうした例が増えれば、救援でカバーできる範囲が広がる。まずは、できる自治体から導入を進めたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月03日  07:55:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.03】:代表質問始まる 合意探る国会に程遠い

2024-12-03 07:55:40 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説②・12.03】:代表質問始まる 合意探る国会に程遠い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.03】:代表質問始まる 合意探る国会に程遠い 

 石破茂首相の所信表明演説に対する各党代表質問が衆院で始まった。少数与党への転落後、初めての論戦だが、初日の質疑を聞く限り、与野党が幅広い合意を探る新しい国会の姿には程遠い。
 
 首相には野党に歩み寄る謙虚さを、野党には政権批判にとどまらない積極的な提案を求めたい。
 
 立憲民主党の野田佳彦代表は自民党派閥の裏金事件を受けた政治改革を巡り、首相が演説で企業・団体献金の禁止に言及しなかったことを「なぜ議論の俎上(そじょう)に載せようとしないのか」とただした。
 
 これに対し、首相は「自民党としては不適切だと考えていない」と譲らず、使途公開が不要な政策活動費の廃止についても野田氏の全廃要求を拒否。外交上の秘密やプライバシーに関わる一部の使途を非公開とする自民党案を維持する考えを示した。
 
 首相は、野党の理解を得なければ、法案も予算案も成立させられない厳しい国会の状況を理解しているのか。自民党の主張はあるにせよ、与野党合意に努めることが少数与党の首相の責任だと自覚すべきである。
 
 野田氏は一般会計の歳出が約14兆円と巨額になった2024年度補正予算案に関し「そもそも経済対策になじまないものも多数含まれ、スリム化を図る必要がある」と減額を求めたが、首相は「必要な施策を積み上げた」と取り合わなかった。野党第1党の要求を拒否して、どう成立を図るのか。
 
 選択的夫婦別姓の導入を巡っても、立民の石川香織氏が実現に向けて決断を促したが、首相は賛否を明言しなかった。
 
 賛意を示していた9月の自民党総裁選からは明らかな後退だ。衆院で賛成派が多数を占めた現実を直視すべきである。
 
 野党が政府・与党の問題点を追及し、与野党合意に向けて譲歩を引き出すことは当然だ。野田氏が唱える国会での「熟議と公開」による政策決定も支持したい。
 
 少数与党の国会では、野党も政策決定の責任を与党と共有していることを忘れてはならない。
 
 代表質問はきょう3日から参院でも始まる。政府と各党が原則的立場を主張する場合が多いとはいえ、問題点は明確になる。5日からは一問一答形式の予算委員会が始まる。率直かつ活発な論戦が、国民に分かりやすい形で行われることを期待したい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月03日  07:53:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗・12.03】:ゾンビ映画などで怪物の襲撃にパニックになった人々が避難先に…

2024-12-03 07:55:30 | 【生物学・特定外来生物法・動物生態系・終生飼養・環境税・花粉症】

【筆洗・12.03】:ゾンビ映画などで怪物の襲撃にパニックになった人々が避難先に…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗・12.03】:ゾンビ映画などで怪物の襲撃にパニックになった人々が避難先に…

 ゾンビ映画などで怪物の襲撃にパニックになった人々が避難先に選ぶ場所といえばスーパーマーケットやショッピングモールである。食料や水が手に入るからだろう。ジョージ・ロメロ監督の『ゾンビ』やスティーブン・キング原作の『ミスト』もその場所だった

 ▼精肉コーナーの肉が消えていたというからクマもそこが快適な隠れ場所とでも思ったか。秋田市内でクマがスーパーに侵入し居座った一件である。3日目に仕掛けたわなで捕獲されたが、男性従業員が顔などをひっかかれ、けがをしている

 ▼クマが人里に近づくのはもはや珍しくもないとはいえ、スーパーがあるような町中にまでやって来て立てこもりとは。...、残り 282/563 文字

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 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2024年12月03日  07:06:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【視点・12.03】:カント生誕300年 「永遠平和」は市民が創る  論説委員・臼井康兆

2024-12-03 07:55:20 | 【学術・哲学・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【視点・12.03】:カント生誕300年 「永遠平和」は市民が創る  論説委員・臼井康兆

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【視点・12.03】:カント生誕300年 「永遠平和」は市民が創る  論説委員・臼井康兆

 今年は、ドイツの哲学者イマヌエル・カント(1724~1804年)の生誕300年だ。晩年の著作『永遠平和のために』では、世界平和の実現に向けた条件を提言し、私たち市民の生き方にも示唆を与えている。難解な著作群の「入門編」として読むこともできそうだ。

 人の「認識」について革新的な見方を示し、「自由」について思索を深めた偉大な哲学者。恥ずかしながら、私はその主著『純粋理性批判』を読了したことがなく、理解も及ばない。
 ただ『永遠平和のために』は比較的読みやすい。カントが示した平和実現への九つの条件は具体的で、現代に通じる先見性もある。
 
 「国家連合を創設する」は、国際連盟や国際連合として実現した。「常備軍を廃止する」は、憲法9条の精神に生きている。「軍事のための国債発行を禁じる」は国家破産を招くとの警鐘で、今の日本には絵空事でない。
 
 興味深いのは「世界市民」という理念が登場することだ。カント哲学が専門の上智大学の寺田俊郎教授によると、この言葉はカント哲学のキーワードだという。
 
 世界市民の意味を読み解くヒントが、別の著書『啓蒙(けいもう)とは何か』にあった。「理性を公的に働かせた時、人はより優れた状態に導かれる。理性の公的使用とは、人が世界市民として語ることだ」との趣旨が述べられている。
 
 抽象的で...、残り 553/1105 文字

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 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【視点】  2024年12月03日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.02】:セブン買収提案 消費者優先を貫かねば

2024-12-03 07:53:50 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【社説①・12.02】:セブン買収提案 消費者優先を貫かねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.02】:セブン買収提案 消費者優先を貫かねば 

 国内外でコンビニエンスストア「セブン-イレブン」を展開するセブン&アイ・ホールディングスが海外企業と創業家の双方から買収提案を受けている。
 
 業績不振が背景にあり、セブン側は提案受諾か自力再生か厳しい判断を迫られる。コンビニは今や暮らしに欠かせず、消費者優先を貫く形での決着を望みたい。
 
 先に7兆円規模の買収を提案したのはカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタール。北米を含む8万店舗超の「セブン-イレブン」を持つセブンを傘下に収め、収益力を向上させることが買収の狙いとみられる。
 
 一方、創業家出身でセブン副社長の伊藤順朗氏からも買収が提案された。自社株買い取りによる非上場化を目指すとみられ、創業家を軸としたクシュタールへの対抗策である可能性が高い。
 
 どちらの提案を受けるのか、あるいは双方を拒否して自主経営の道を続けるかは、社外取締役で構成する特別委員会が判断する。
 
 流通業界におけるコンビニの存在は東日本大震災以降、大きく変化した。長時間営業の便利な店舗としてだけでなく、災害時に食料など生活必需品を補給する重要拠点として機能した。公共料金支払い代行などの金融サービスも充実し、地域に欠かせない存在だ。
 
 買収提案を検討する特別委は、買収先が利用者への影響に配慮しているのか否かを丹念に調べた上で最善の道を選択すべきだ。従業員の解雇や賃金低下が起きないよう雇用環境に対する考え方も徹底的に問いただす必要がある。
 
 「大規模な金融緩和」を第1の矢とした経済政策・アベノミクスが引き起こした円安が長引く中、日本企業には割安感が出ている。セブンに限らず海外からの買収提案は当面続くだろう。
 
 収益向上だけでなく地域に貢献し、雇用を守る買収なら国内外を問わず積極的に受け入れたい。過度に閉鎖的な姿勢は企業の新陳代謝の芽を摘み、経済全体の活力を奪いかねない。セブンには消費者と従業員を守る強い決意で試練と向き合うよう強く求めたい。  

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月02日  07:09:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.02】:マスク氏のX 暴論放置が利用減招く

2024-12-03 07:53:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説②・12.02】:マスク氏のX 暴論放置が利用減招く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.02】:マスク氏のX 暴論放置が利用減招く

 SNS大手の「X」(旧ツイッター)から、欧米を中心に利用者や広告主が離れ始めている。誰もが自由に情報発信し安心して交流できる「プラットフォーム(共用基盤)」の一つとされてきたが、2022年の実業家マスク氏による買収後は暴論が放置され、健全性が疑われている。

 マスク氏と米国のトランプ次期大統領との蜜月関係から政治利用の懸念も強まり、もはや社会的な共通基盤とは言えない状況だ。広告主や利用者離れもあり、健全な言論空間に戻るには抜本的な対策を講じる必要がある。
 
 米調査会社センサータワーによると、世界の1日当たりの利用者数は24年2月時点で平均1億7400万人と、前年同期から15%減った。マスク氏が買収してから減少傾向が続き、米国では22年11月と比べて23%減ったという。旧ツイッター創業者が立ち上げた「ブルースカイ」などに流れている。
 
 マスク氏は「言論の自由」を名目に投稿規制を緩和したため、虚偽情報や憎悪をあおる投稿が急増し、英国では移民排斥を求める暴動を招いた。日本でも兵庫県知事選で真偽不明の情報が飛び交い、中傷された県議が「家族を守る」として辞職に追い込まれた。
 
 マスク氏はトランプ氏当選に向けて自らXで虚偽情報を拡散。新政権では閣僚級ポストに就く見通しだ。権力と一体化したXは「トランプ氏や極右勢力のプロパガンダ機関としての機能が加速する」(ニューヨーク大学のベンギアット教授)との不安も広がる。
 
 極右台頭を強く警戒するドイツではプロサッカークラブ・ザンクトパウリが「マスク氏がXをヘイトマシンに変えた」と利用停止。同ブレーメンも米大統領選を挙げて「SNSを政治的な武器として利用している」としてXから撤退した。ベルリン国際映画祭のアカウントは、来年からはほかのSNSで情報発信すると発表した。
 
 英国のガーディアンなど欧州の主要メディアも相次いで利用を停止し、米公共ラジオNPRは23年に撤退している。
 
 フェイスブックなど大手SNSは言論空間が「無法地帯」と化すことを避けるため、投稿に関する自主規制を改善してきた。Xはその流れに逆行しており、利用者離れに加え、ブランド価値の毀損(きそん)を恐れる企業が広告出稿を見合わせるのも当然の成り行きである。  

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月02日  07:09:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗・12.02】:財布を拾った江戸っ子が持ち主の元に届けてやる。正直な行いに…

2024-12-03 07:53:30 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリ、パラ、デフリンピック・国民スポーツ大会】

【筆洗・12.02】:財布を拾った江戸っ子が持ち主の元に届けてやる。正直な行いに…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗・12.02】:財布を拾った江戸っ子が持ち主の元に届けてやる。正直な行いに…

 財布を拾った江戸っ子が持ち主の元に届けてやる。正直な行いに持ち主が感謝すると思いきやそうならない。落語の「三方一両損」である

 ▼持ち主も宵越しの金は持たない江戸っ子。いったん自分の身から離れた金はもはや自分のものではないから持って帰れと、受け取らない。口論からつかみ合いとなるが、南町奉行、大岡越前の知恵で丸く収める

 ▼男子のバスケットボール日本代表のもめ事を丸く収めるお奉行様はいらっしゃらぬか。トム・ホーバス監督を巡る日本バスケットボール協会と代表チームの大黒柱、八村塁選手との騒動を心配する

 ▼発端は八村選手でホーバス監督の手腕に疑問を示し、バスケットボー...、残り 279/558 文字

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 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2024年12月02日  07:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.01】:週のはじめに考える 一体、何を選んだのか

2024-12-03 07:51:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・12.01】:週のはじめに考える 一体、何を選んだのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.01】:週のはじめに考える 一体、何を選んだのか 

 「バタフライ効果」という言葉があります。米国の気象学者ローレンツの『予測可能性-ブラジルで蝶(ちょう)が羽ばたくとテキサスで竜巻が起こるか?』という論考に由来し、<初期の微(かす)かな差異が時間とともに予測不能な巨大な変化に至る>みたいなことのようです。
 
 似たことなら、気象でなく社会でも、偶然生じた差異でなく「選択」であっても言えそうです。ある選択が一つの結果を導き、その影響で何かが起きて、さらにその出来事が予想外の事態をもたらし…。気づいていないだけで、私たちの人生でも一つの選択が、いわば「風が吹けば桶(おけ)屋が儲(もう)かる」式に連鎖して何かが起きたり、起きなかったりしているのでしょう。

◆あの大統領がいる世界

 今、「選択」と言うと選挙を連想する人が多いでしょうか。まだここひと月ほどの間に、日本では衆院総選挙、米国でも大統領選がありましたから。総選挙では自民・公明の与党が過半数割れに追い込まれましたが、実は、このところ先進国の選挙では軒並み「与党」が厳しい審判を受けていて結局、米大統領選もそうなりました。
 
 無論、自民党の「裏金」のように各国与党ごとに個別の事情はあるのでしょうが、何か共通する問題があったのでしょうか。
 
 まず経済が思い浮かびますが、日、米とも「株価」は高く「失業率」は高くないので、あるとすれば「物価」かもしれません。ほぼ国の別なく苛烈な物価高は庶民を苦しめています。当然、トランプ氏の得票のうち一定数も、物価対策に失敗した民主党政権への不満票だったのだろうと推測します。
 
 トランプ氏は既に表明した中国など他国からの輸入品に高関税を課す方針なので、逆に物価を押し上げそうですが、一方で選挙中も「ドリル、ベイビー、ドリル(掘りまくれ)!」と繰り返していた人ですから、石油や天然ガスなどの増産により家計の燃料コストは下がるかもしれません。でも、地球はどうなるのでしょうか?
 
 地球温暖化を止めるため、脱炭素=脱化石燃料に国際社会が躍起になっているとき、世界2位の温暖化ガス排出国がそれを無視して正反対のことをするわけです。温暖化防止の国際ルール「パリ協定」からも再離脱の意向。世界一丸となるべき気候危機への対応に大きな穴があくのは必定です。

 ◆地球も、世界も燃える

 それだけではありません。ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領はじめ独裁的指導者に対して、トランプ氏が示している「共感」や「親近感」はかなり剣吞(けんのん)です。例えば、身勝手な主張で武力行使しても、米国は「容認」するとのメッセージになりかねない。あるいは、やはり、年々、独裁色を強める中国の習近平国家主席も、台湾侵攻のハードルが下がったと感じるかもしれません。
 
 「法の支配」や人権、反差別、報道の自由など民主主義の価値観を軽視する姿勢とも相まって、国内のみならず、各地の「トランプ風」指導者の振る舞いに影響を与える恐れもあります。さて、世界はどうなるのでしょう?
 
 20XX年-。台風やハリケーンは一層凶暴化し、異常な高温、異常な豪雨や少雨が常態化して災害は多発。作物は枯れ、人類は飢餓の危機に瀕(ひん)する。一方、多くの民主主義陣営の指導者が権威主義化し、武力による現状変更に遠慮がなくなって戦火は広がり、市民の自由と民主的権利の制限、司法への介入に躊躇(ちゅうちょ)がなくなって…。
 
 「心配性のプロ」とは記者の別名であって、幸い、地球や世界がそうなると決まったわけではありません。でも、こうは言える気がします。現実を、この「暗黒シナリオ」通りにしたいとしたら、その可能性を高める最も有効な方法の一つは、多分、トランプ氏を世界一の超大国のリーダーに選ぶことだ、と。
 
 そして、もし、本当に世界がそうなってしまったら、例えば「物価高への怒り」から彼に投票した人はこう自省するのでしょうか。「私が入れたのはたった1票だ。確かにトランプは選んだが、こんな未来まで選んだつもりはない」

 ◆少し先なら想像できる

 一人一人がAとBのどちらを選ぶかという、いわば「初期の微かな差異」が巡り巡って世界に混沌(こんとん)をもたらしかねないと思えば、選択とは怖いものです。無論、蝶の羽ばたきを見て何千キロも離れた場所の竜巻を想像できる人などいません。でも、これを選ぶとどうなり、その先はこう、さらに先はああなるかも、程度なら…。そうした想像を助ける手掛かりは、メディアなどから案外、簡単に得られます。私たちは多分、選択の前には常に、こう自問すべきなのでしょう。「この選択で、自分は一体何を選ぶことになるのか」と-。
 
  元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月01日  08:24:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【筆洗・12.01】:コーヒー豆が輸入されなくなった戦争中、日本でもカラス麦や黒…

2024-12-03 07:51:40 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

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 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2024年12月01日  07:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【話題】:警察幹部の不祥事、全国で相次ぐ ■わいせつやパワハラ、情報漏えい

2024-12-03 07:50:30 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

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 全国で警察幹部の不祥事が続出している。わいせつ行為や内部情報漏えいの疑いなどで刑事事件に発展したケースが相次いだほか、パワハラで更迭される事案も。識者は信頼回復へ「個人の問題に矮小化せず、組織全体で市民に見える改革をするべきだ」と指摘する。

 岡山県警では昨年11月、中国四国管区警察局に出向中の警視正(肩書は当時)が女性を脅し性交した疑いで逮捕。今年1月に交通部長の警視正が昇任試験問題案を部下に漏らした疑いで書類送検された。7月には組織犯罪対策1課長が女性に性的暴行を加えようとした疑いで逮捕された。岡山市の女子高校生(16)は「性犯罪を受けても警察に話せなくなる」と不安がる。

 鹿児島県警でも、前生活安全部長が5月、職務上の秘密を退職後に第三者に漏らした疑いで逮捕された。京都府警では10月、本部長が部下に「殺すぞ」と発言したパワハラで更迭。他にも群馬県警刑事部長が約17年にわたる不倫で7月、神奈川県警戸部署長は部下を叱責したとして8月にそれぞれ処分を受けた。 

 元稿:中國新聞社 主要ニュース 社会 【話題・全国で警察幹部の不祥事が続出している】  2024年12月03日  07:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・11.27】:防衛の専門家に攻めの外交は無理か トランプとの会談すら実現しない首相

2024-12-03 07:40:10 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【政界地獄耳・11.27】:防衛の専門家に攻めの外交は無理か トランプとの会談すら実現しない首相

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・11.27】:防衛の専門家に攻めの外交は無理か トランプとの会談すら実現しない首相 

 ★アゼルバイジャンの首都バクーで開かれていた第29回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)が24日に閉幕した。いつもながら気候変動は富裕国と途上国との負担規模でもめるが、今回は来年1月に迫りくる米トランプ大統領就任が裏の争点となった。世界第2位の二酸化炭素(CO2)排出国である米国の大統領が「温暖化などない」と言い張るのだから途方に暮れる。暗黙の共通認識は“トランプが来る前にまとめよう”だった。無論簡単にはいかないが排出国第1位の中国が米国に代わって大国のイニシアチブをとる対応をし始めたのは朗報だ。

 ★25日には英仏両国が軍部隊や軍事企業の従業員をウクライナに派遣する可能性について言及し始めた。こちらもウクライナ支援に消極的とみられるトランプ対策が始まったといえる。トランプは戦争の早期解決を言うが、それが欧州にいい影響を及ぼす可能性は低く、それを見越しての動きが活発だ。トランプが解決というのはロシアの勝利と米国の撤退。欧州だけで戦争を続けるのかが焦点になりつつあり、各国が停戦時のウクライナの条件闘争で有利に運ぶための動きとみられる。つまり停戦のテーブルに英仏は座ってロシアと話し合うというもの。

 ★一方、来年2月に総選挙が見込まれるドイツは与党の社会民主党(SPD)はショルツ首相を首相候補に据えた。最大野党の保守系「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」も猛追の対応だが、今月15日、ショルツはウクライナのゼレンスキー、ロシアのプーチン両大統領と相次いで電話で協議。ゼレンスキーは西側首脳がこうしてプーチンと個別に会談して取り込まれていくことに危機感を示した。トランプ就任前でこれだけてんやわんやなら先が思いやられるが、こちらには外交を得意としない、トランプとの会談すら実現しない首相がいる。防衛の専門家では攻めの外交は無理か。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年11月27日  07:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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