【記者コラム・ふらっと東アジア】:習氏強権体制を揺さぶる「愛国世代」の反ゼロコロナ ■米村耕一・中国総局長
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【記者コラム・ふらっと東アジア】:習氏強権体制を揺さぶる「愛国世代」の反ゼロコロナ ■米村耕一・中国総局長
11月26~27日の週末、上海や北京などの大都市や各地の大学キャンパスで中国政府のゼロコロナ政策に反発するデモや抗議行動が起きた。私も、封鎖に反対し自由を求めるスローガンを叫ぶ参加者たちの姿を北京で取材した。特に若者たちの本音や不満の広がりを実感したのは、デモがいったん解散した後だった。
ウルムチで起きた火災による犠牲者の追悼から始まった抗議行動は、27日午後11時過ぎに各国メディアが集まる前でスローガンを叫び、一つのピークに達した。その場を取材した私は同僚を現場に残し、原稿を処理するために自転車で15分ほどの場所にある自宅に戻った。
◆反ゼロコロナと愛国心の共存
もう一度、現場に戻ったのは28日午前1時過ぎだ。警察当局は参加者や見物人を四散させたうえで十字路を横断できないように封鎖し、これ以上の群衆が集結しないようコントロールしていた。
それでも私が戻った一角には100人前後の若者が、まだ何かが起きることを期待するように立っていた。当初からのデモ参加者より、騒ぎを聞きつけて集まった人たちが主だったように見えた。
道を渡ろうとして警官に止められた若い女性は「道を渡る自由すらないのか」と叫んだ。警官の制止を振り切って反対側から道を走って渡った男性には、みな拍手を送って「英雄!」と声をかけた。
交差点から少し離れた暗がりで、一瞬ギョッとしたのは壁に張り付けられた2枚の絵だ。2枚の「くまのプーさん」のイラスト画で、よく見ると1枚目には「独裁熊」、2枚目には「PCR検査はしてるか?」と印字されている。インターネット上では、「くまのプーさん」は習近平国家主席を皮肉る際に使われて…、残り1603文字(全文2297文字)
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