【金口木舌・11.05】:地域が支えた受章
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・11.05】:地域が支えた受章
古い日記帳の一文に目が止まった。「世の中が月世界旅行の時代になっても、幼い時からの年中行事だけはなくしたくない」。地域を大切にする人柄が文面に表れている
▼日記の主は金武酒造の創業者・奥間慶幸さん。1949年に酒造所を立ち上げたが、64年に30代で亡くなった。地域行事への参加、家族への思いに加え、借金を抱えた苦しさも赤裸々に記した
▼酒造所の2代目は妻の輝子さんが継いだ。子育てをしながら、返済のために養豚も兼業し、働き詰めの日々。家族を支えたのは金武の人たちだった。町内の商店には、金武酒造の銘柄「龍」以外置かない店舗もあった
▼このほど発表された秋の褒章を金武酒造の奥間尚登前社長、叙勲をインターリンク沖縄の豊川あさみ社長が受章した。2人は慶幸さん、輝子さんの下で育ったきょうだい。ものづくり、地域振興が評価された
▼2人が口にするのは「地域への感謝」。「銘柄と同じく『たつ年』で、きょうだいでの受章は巡り合わせのよう。父母も喜んでいると思う」と豊川さん。2人はこれからも金武で、食材を生かした製品を発信し続けるつもりだ。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2024年11月05日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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