路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【政界地獄耳・08.16】:与党も野党もトップの人材不足 選挙だけでなく政党を厳しく評価する仕組み必要

2024-08-27 07:40:00 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【政界地獄耳・08.16】:与党も野党もトップの人材不足 選挙だけでなく政党を厳しく評価する仕組み必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・08.16】:与党も野党もトップの人材不足 選挙だけでなく政党を厳しく評価する仕組み必要 

 ★唐突な首相・岸田文雄の総裁選不出馬表明で自民党総裁選挙も混沌(こんとん)としてきた。自民党議員など現金なもので、あとは自分にとって都合のいい人物ならば、いつも通りの政治生活が戻ると思っているようだが、若い顔ぶれによる刷新感を出したところで選挙用の使い捨てになりかねず、本当に今出馬する意味があるのか、今が最良のタイミングか想察する思慮が名前の出ている候補にあるだろうか。自民党も閣僚候補はいくらでもいるだろうが、首相(党総裁)が務まる人材が減ってきたのではないか。

 ★だが他党も同様だ。立憲民主党も同時期に代表選挙があるが、顔触れは芳しくない。10年前の民主党時代の政権中枢が、いまだに党内でそれぞれ力を持ち、国民に知られている顔というより、まだ同じ顔触れなのかと驚かれる。つまり10年たっても人材が育たないことを証明した感じだ。最近も都知事選挙で蓮舫が戦ったものの、敗戦後は蓮舫が独り、さまざまな中傷と戦う羽目に。誰も責任を取らず知らんふりだ。みんなで支えるとか守るといった政党のよりどころがない文化が是正されない。政府与党を厳しく攻撃する割にはディフェンス力に欠け、外からの攻撃に弱い。そのくせに内紛好き。こんなわがままな政党のトップがいるだろうか。

 ★公明党も同様だ。党代表・山口那津男は幾度も退任を口にしているものの、後継者選定に苦しみ続投を続ける。党内では1年以内に衆参選挙、都議選を控え続投論が根強い。先月末の会見でも「党大会を機に任期は終わるのが当然の基本だ」としながら「今は諸般の情勢をよく考えながら熟慮している」とこちらも人材難に苦しむ。共産党も1月に委員長を田村智子に変えたものの、党勢拡大にはつながらず議長となった志位和夫頼みが続く。政党の数が多すぎるのか、政治家の人材不足なのか、選挙だけでなく政党を厳しく評価する仕組みが必要だ。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年08月16日  07:49:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2024年08月25日 今日は?】:早実の清宮幸太郎が高校通算最多記録の108号本塁打

2024-08-27 00:00:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【2024年08月25日 今日は?】:早実の清宮幸太郎が高校通算最多記録の108号本塁打

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2024年08月25日 今日は?】:早実の清宮幸太郎が高校通算最多記録の108号本塁打

 ◆8月25日=今日はどんな日

  パラスポーツの日

 ◆出来事

  ▼東京・羽田空港が日本初の国営民間専用空港「東京飛行場」として開港(1931)▼早実の清宮幸太郎が高校通算最多記録の108号本塁打(2017)▼日清食品が初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を発売(1958)打を放つ(撮影・鈴木正人)

早実・清宮が史上最多108号、日本代表練習試合

 5回裏U-18無死一塁、清宮幸太郎は右越え本塁打を放つ(撮影・鈴木正人)

 ◆誕生日

  ▼きたろう(48年=俳優)▼東野純直(71年=シンガー・ソングライター)▼和田正人(79年=俳優)▼大堀恵(83年=タレント)▼布川隼汰(92年=タレント)▼渋谷凪咲(96年=女優)▼堺萌香(98年=女優)

  元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2024年08月25日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【選挙・大阪府箕面市長選】: 大阪で維新現職首長が初敗北、無所属新人の元府議が初当選 吉村知事が応援も及ばず

2024-08-26 00:10:50 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【選挙・大阪府箕面市長選】: 大阪で維新現職首長が初敗北、無所属新人の元府議が初当選 吉村知事が応援も及ばず

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:大阪で維新現職首長が初敗北、無所属新人の元府議が初当選 吉村知事が応援も及ばず

 任期満了に伴う大阪府箕面市長選が25日投開票され、無所属新人の元府議原田亮氏(38)が、政治団体・大阪維新の会の現職上島一彦氏(66)、無所属新人の元府職員小林友子氏(76)=共産推薦=を破り、初当選を果たした。維新所属の現職首長が敗れるのは初めて。

 任期満了に伴う大阪府箕面市長選挙が25日投開票され、無所属の新人・原田亮さん(38)が初当選を果たしました。

 投票率は49・98%で、前回選を0・64ポイント上回った。

 維新は代表の吉村洋文知事が応援に入ったが、及ばなかった。府内では新人を擁立した4月の大東市長選に続く敗北となる。

 6月、大阪府箕面市で記者会見する上島一彦氏

 6月、大阪府箕面市で記者会見する上島一彦氏

 原田氏は元自民党府議。選挙戦では「子育て・教育世界一」を掲げた。小林氏は福祉制度の充実を主張。上島氏は医療環境整備を訴えた。

 上島氏は2025年大阪・関西万博を巡り、6月の市議会で「万博行くなよ」と共産市議にやじを飛ばし、撤回に追い込まれていた。(共同)

  元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・選挙・ 任期満了に伴う大阪府箕面市長選】  2024年08月25日  23:49:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2024年08月24日 今日は?】:首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス全線開業

2024-08-26 00:00:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【2024年08月24日 今日は?】:首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス全線開業

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2024年08月24日 今日は?】:首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス全線開業

 ◆8月24日=今日はどんな日

  薬害根絶デー

写真

誓いの碑/命の尊さを心に刻みサリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する/千数百名もの感染者を出した「薬害エイズ」事件/このような事件の発生を反省しこの碑を建立した/平成11年8月  厚生省

案内図

○厚生労働省内に入る場合、正門で身分証明書等の提示を求められます。
「誓いの碑」の見学をされる方は、身分証明書(免許証等)をお持ちください。

 ◆出来事

  ▼フランスが南太平洋で初の水爆実験に成功(1968)▼首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス全線開業(2005)▼ジャカルタで開かれたアジア大会で、競泳女子の池江璃花子が6冠達成(2018)

 ◆誕生日

  ▼三池崇史(60年=映画監督)▼岡田美里(61年=タレント)▼高嶋ちさ子(68年=バイオリニスト)▼スギちゃん(73年=芸人)▼三浦大知(87年=歌手)▼浅香航大(92年=俳優)▼柳美稀(97年=女優)

  元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2024年08月24日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【HUNTER・08.06】:「闇」は底なし鹿児島県警|“隠ぺい疑惑”の幕引きは許されない|説明、すでに破綻

2024-08-25 06:42:50 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・08.06】:「闇」は底なし鹿児島県警|“隠ぺい疑惑”の幕引きは許されない|説明、すでに破綻

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・08.06】:「闇」は底なし鹿児島県警|“隠ぺい疑惑”の幕引きは許されない|説明、すでに破綻 

 真実に蓋をしようとする警察組織の暴走が止まらない。鹿児島県警が今月2日に開いた定例会見で公表した「再発防止策」の前提は、いくつもの疑惑に対する根拠のない否定と開き直り。事件の隠ぺいを認めることのできない警察庁が、周到に用意したシナリオに沿ったものだった。

 県警内部で歴代最低といわれるキャリア本部長の立場と警察組織の体面を守るため、地元のたたき上げ職員に責任を押し付ける形で幕引きを図ろうとする警察庁。しかし、人相も目つきも態度も悪い県警幹部たちが会見で述べた説明には、早くも綻びが見えている。

 ■「隠ぺい否定」を前提の警察庁によるシナリオ

 6月5日、情報漏洩を行ったとして国家公務員法違反の疑いで逮捕された本田尚志元生活安全部長が、勾留開示請求の法廷で野川明輝本部長による事件の隠ぺい指示を暴露。北海道のジャーナリスト・小笠原淳氏に送った文書が、内部通報だったことを示唆した。警察庁はその直後から、自らの権威を守るため周到に事を進めてきた。

 翌日6日の会見で本田氏の逮捕容疑について説明した同庁の露木康浩長官は、県警への監察実施を表明するとともに、本田氏の内部告発文書に「県警の他の部長の名前や住所、電話番号などを問い合わせ先として記載されていた」と発言。地元メディアが、この「他の部長の名前」に飛びつくよう仕向けた。

 愚かな地元メディアの一部は、警察側から「別の部長の名前」を入手。その行為自体が情報漏洩によるものであることを証明する「捜査関係者によれば」という文言を入れて、告発文書に記されていたのが元刑事部長だったことを報道した。そうした記事が本部長による隠ぺい指示の可能性を薄める結果につながったのは確かだ。

 その直後、「隠ぺいを指示する意図はなかった」などとあやふやな発言でごまかしていた野川本部長が、「隠ぺいの指示はしてない」と前言を修正。本田元部長の行為は組織の不正を通報する「公益通報」ではないという見解を打ち出す。

 警察庁が鹿児島県警に対する「特別監察」を実施するとして首席監察官らを送り込んだのが6月24日。おかしなことに、これから監察を実施しようとするその時点で、「客観的に見て、本部長による隠蔽の指示はなかったことが明らか」という結論を出し、野川本部長を「長官訓戒」に付したしたことを公表していた。下が警察庁発出のコメントである。

令和6年6月24日
警   察   庁

鹿児島県警察に対する監察の実施に関する警察庁コメント

鹿児島県警察の前生活安全部長が勾留理由開示の手続きの中で述べた、本部長が犯罪を隠蔽しようとしたとの主張については、鹿児島県警察による調査に加え、警察庁においても本部長から事実関係を聴取するなど必要な調査を行った結果、客観的に見て、本部長による隠蔽の指示はなかったことが明らかである一方で、迅速適確に行われなければならないという捜査の基本に欠けるところがあったことが判明したことから、先般、本部長を警察庁長官訓戒とするなど、必要な処分を行いました。

その上で、鹿児島県警察では、これまでに発生した一連の非違事案の原因を分析し、それを踏まえた、より抜本的かつ網羅的な再発防止対策を実施することとしているところでありますが、警察庁としても、これらの取組が確実に実施されることが、警察に対する信頼回復のために極めて重要であると考えております。

そこで、本日から、警察庁による業務監察を実施し、鹿児島県警察におけるこれらの取組をきめ細かく指導することとしております。鹿児島県警察におけるこれらの取組がスピード感を持ってしっかりと行われるよう、明日以降も、警察庁の担当者を常駐させ、引き続き、厳正な業務監察を実施してまいります。

 「本部長による隠蔽の指示はなかった」「本部長を警察庁長官訓戒とする」という結論を出した後で、一体何に対する監察を行ったのか。“結論ありき”では、監察自体がキャリア警察官を守り、地元たたき上げを罪に落とすためのパフォーマンスだったと見られても仕方があるまい。

 そもそも、「訓戒」は「懲戒」に至らない監督上の措置という軽い処分。「特別監察」は野川本部長への責任追及を回避し、世間の目をくらますための道具立てだった。これで幕引きになると考えているとしたら、この国の警察組織は国民感情から大きくズレていると言わざるを得ない。

 ■見逃せない強制性交事件の不当捜査

 県警は、これまでの会見や県議会総務警察委員会での質疑を通じて、2件の事件についてハンターが指摘してきたことの一部を認めている。

 まず県警は、今月19日の県議会総務警察委員会で、2021年に起きた鹿児島県医師会の男性職員による強制性交事件について、鹿児島中央署が被害女性の告訴状提出を「門前払い」したことを「受け渋り」という言葉で認め、告訴状の写しをもらいながら同日に返したことも明らかにしている。県警は「今後の反省教訓にする」と述べているが、被害女性側には間違った対応だったことについて何の報告も謝罪もしていない。不当捜査の結果、事件が不起訴になったことへの「反省」も、まったく感じられない。一体、何をどう反省しているというのか?

 問題の強制性交事件では、事件が表面化する前に男性職員が警察官だった父親と共に鹿児島中央署を訪問、「合意の上での性行為」と申し立て、警察側から「事件性なし」というお墨付きをもらっていたことが分かっている。男性職員側のこうした動きについては、6月27日に鹿児島医師会が開いた記者会見で、同会の顧問弁護士が「男性職員から報告を受けた」と認める発言を行った。しかし、県警が県議会質疑や定例会見などで「お墨付き」について触れたことはなく、沈黙する姿勢を続けている。本当に反省しているというなら、検察審査会に出向いて「不当な捜査に基づき送検しました」と申告すべきだろう。

 ■霧島ストーカー事件で問われる送検の正当性

 県議会質疑と2日の定例会見で県警の迷走が明らかになったのは、クリーニング店の元女性従業員に対する霧島署員のストーカー事件についての説明だ。県の公安委員会を通じた県警のそれまでの公式見解は、「防犯カメラなどの関係資料を精査しましたが、2月20日から少なくとも3月3日までの間、当該署員が、勤務先及びその直近の駐車場に接近した客観的な証拠は認められませんでした」というもの。しかし、先月19日の県議会で県警は、突然「18,19日の防犯カメラ映像には問題の巡査部長の車が映っており、静止画として残したが、あとの画像は消去した」と答弁。さらに今月2日の定例会見では、“犯人の目撃情報が2月25日だったので確認したところ無かった。23日の間違いだったとわかり映像を再確認しようとしたが、その時には映像が消去されていた”――という子供じみた説明に変わる。

 犯人を目撃したのは現職の警察官(当時)だ。当初の「2月25日」が誤りだと気付き「23日」と訂正したのは2~3日後だったという。だが、霧島署が防犯カメラ映像の確認に動いたのは、被害女性による相談から1か月も過ぎた時点。県警の説明は辻褄が合わない。日付の訂正が行われた直後に防犯カメラ映像の確認に動いていれば、証拠の画像が残っていた可能性が高い。あるいは、犯人が映り込んだ画像は存在したが、隠ぺいのために消去したかだ。

 いずれによせ、2月18日と19日の防犯カメラ映像に、犯人の車なり人物が映っていたのは確か。しかし、今回ハンターや西日本新聞が当該事件を掘り起こすまで、県警はその事実を隠したままだった。現在まで被害女性に対する説明や謝罪は皆無。いつ、どのような形で説明し、謝罪を行うというのだろう。まさか「会見で謝って終わり」ということではあるまいが……。

 野川本部長は会見で、「防犯カメラの映像は消したが送検したから問題ない」と強弁した。だが、犯行を裏付ける具体的な証拠となる映像を隠滅して事件送致したとすれば、検察官が正しい判断を下せるわけがない。映像を消したのが事実なら、証拠隠滅、犯人隠避に問われてもおかしくない事態だ。犯行そのものの隠ぺいを指示したのが本部長だとすれば、警察が捕まえなければならないのは野川氏だろう。

 ■噴飯ものの改革案

 それにしても、会見に臨んだ県警幹部たちの目つきの悪さやふてくされた態度はどうか。質問する記者団を睨みつけ、時に居丈高に言葉を発する幹部の姿からは「反省」や「正義」を感じ取ることはできなかった。態度の悪さは、世間を舐めている証拠だろう。再発防止策を策定したというが、それは証拠隠滅や隠ぺい指示という県警が裏でやってきた悪事を前提としたものではない。組織防衛のため勝手にそうと決めつけた「情報漏洩」や、内部告発と報道によって露見したハレンチ事案についての、いわばみせかけの対策でしかない。真実を前提としない再発防止策に、期待する県民は皆無に近いのではないだろうか。

 笑ってしまったのは、県警改革の一環として警部補以下の研究会だか委員会だかを設置し、本部長に直接届ける仕組みを作るという案だ。風通しを良くするという意味なのかもしれないが、悪いことをしているのが本部長本人であった場合、「はい、そうですか。承知しました」となるはずがない。

 泥棒の子分に「悪いことはするな」と諌言され、「分った、もうしない」と答える泥棒の親玉などいないだろう。この例えの泥棒は、もちろん「税金どろぼう」のそれである。(中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・鹿児島県警の不正疑惑】  2024年08月06日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・08.05】:隠ぺい疑惑の霧島ストーカー事件に「志布志事件」の影|「たたき割り」調べ官が霧島署長

2024-08-25 06:42:40 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・08.05】:隠ぺい疑惑の霧島ストーカー事件に「志布志事件」の影|「たたき割り」調べ官が霧島署長

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・08.05】:隠ぺい疑惑の霧島ストーカー事件に「志布志事件」の影|「たたき割り」調べ官が霧島署長 

 鹿児島県警の本田尚志元生活安全部長が北海道のジャーナリスト・小笠原淳氏に送った内部告発には、霧島署の署員によるスーカー事件が「2件」起きていたことを示唆する文言があった。1件は捜査状況が詳しく記されており、同署地域課所属で駐在所に勤務していた30歳代の男性巡査長(当時)が、巡回連絡簿を利用して取得した個人情報をもとに悪質なストーカー行為を行なっていたというもの。もう1件は、昨年2月に霧島市で起きたクリーニング店で働く20代の女性に対する霧島署巡査部長のストーカー事件で、ハンターの取材によって、いったん作成された「苦情・相談等事案処理票」のデータが消去されたり、犯行の具体的な証拠となる防犯カメラの映像が消されるなどして犯罪の具体的な証拠が闇に葬られていたことが分かっている。

 前者は被害女性が立件を望まなかったという理由で、後者は証拠隠滅により事件そのものがもみ消された形となっているが、2件のストーカー事件には当時の霧島署長、副署長、警務課長とともに、本部長指揮となったため両事件を担当した県警本部の「人身安全・少年課」が深く関わっていた。同課の課長から霧島署の署長へと出世したのは障子田穂積氏。彼こそ、ありもしない選挙違反を捏造して鹿児島県警の名を全国に知らしめた「志布志事件」で、「たたき割り」と呼ばれる違法な捜査手法をもって地域住民を奈落の底に突き落とした警官の一人だったことが分かった。志布志事件の関係者からは、県警に対する厳しい批判の声が上がっている。

 ■志布志事件

 警察が犯した“事件のでっち上げ”として、戦後最悪の事例に挙げられるのが志布志事件だ。2003年、鹿児島県警はその年4月に行われた鹿児島県議会議員選挙曽於郡選挙区で当選した中山信一氏や地域住民ら15人を公職選挙法違反の疑いで逮捕、そのうち13人が起訴され、のちに死亡した一人を除く12人全員が無罪判決を受けている。

 逮捕容疑となったのは会合における現金買収や、焼酎・現金の供与。いずれも県警がでっち上げたもので、捜査過程では、ありもしない出来事を供述させるため、“たたき割り”と称される非人道的な取り調べを行っていた。“たたき割り”とは、脅しや暴力によって精神的に追い詰め、自白を強要する捜査手法。違法であることは言うまでもない。

 “たたき割り”の手法として全国的に報道された「踏み字事件」で、県警の浜田という警部補(当時)は、容疑者と決めつけられたホテル経営者・川畑幸男さんに対し、父親や孫の名前と「こんな人間に育てた覚えはない」「正直になって下さい」などと記した紙を、力づくで踏ませるという違法な取り調べを強行。当日の取調べは、朝の7時過ぎから夜11時過ぎまで続けられ、トイレにも行かせないという理不尽なものだった。浜田警部補は、「水を飲ませて下さい」と頼んだ川畑さんに対し、「白状したら飲ませてやる」と凄んだという。

 一連の違法捜査が行われる中、別の婦人が、「陣営関係者から現金2万円と焼酎2本をもらった」とする嘘の自白を強要される。その婦人の供述内容に変化があったことに腹を立てた県警のある取調官は、婦人を志布志署関谷口交番において強圧的な取り調べを実行。「俺が今言ったことをおらべ!(おらべ=叫べの意)」と迫り、交番の格子窓から外に向けて「私は選挙で焼酎2本とおカネ2万円をもらいました」と絶叫させた。狂気に満ちたこの件を、関係者は「おらばせ事件」と呼ぶ。

 ■「たたき割り」実行者、隠ぺい捜査に関与か

 実は、このおらばせ事件で関谷口交番に無実の女性を連れ込み「たたき割り」を行っていたのが当時警部補(事件関係者の記憶による)として捜査にあたっていた障子田穂積氏だったといい、ハンターの取材に応じた複数の「たたき割り」被害者が「間違いない」として事実関係を認めている。

 その障子田氏の前職は県警本部生活安全部人身安全・少年課長。ストーカー事件を担当する部署の実務責任者だった。ここで、人身安全・少年課が捜査にあたった霧島署員による2件のストーカー事件を振り返っておきたい。

 本田元部長が告発文書に記した霧島署員によるストーカー事件は、県民の信頼があってはじめて作成が可能となる「巡回連絡簿」を悪用した極めてタチの悪い犯罪だ。事件発覚は昨年12月。被害女性の処罰感情が強かったにもかかわらず、犯人の上司である霧島署員と本部生活安全部人身安全・少年課の警察官らが被害者側に捜査過程などを説明。最終的に被害者は、「事件化を望まない」という選択をしていた。ハンターは、「説明」ではなく「説得」だった可能性が高いとみている。

 もう1件のストーカー事件が起きたのは昨年の2月。霧島市内のクリーニング店で働いていた20代の女性に、同署の警察官がつきまとった挙句に自分の名刺を無理やり渡し、しつこく個人情報を聞き出すなどして相手に恐怖心を抱かせた。女性は別の署の現職警官にアドバイスをもらい霧島署に相談したが、同署はいったん作成した「苦情・相談処理票」のデータを削除したり、犯人が映っていたはずの防犯カメラ映像をなかったことして証拠を隠滅。県警は具体的な証拠を消し去ることで事件を矮小化し、不起訴に持ち込んでいた。二つのストーカー事案は、ともに警官の非違行為であることから「本部長指揮」。捜査を担当したのが本部生活安全部の人身安全・少年課だった。

 本部長指揮である以上、2件のストーカー事件で隠ぺいの指示ができたのは県警トップの野川明輝氏ただ一人。その指示のもと、動いたのが人身安全・少年課と霧島署の幹部だったということになる。

 論功行賞ということなのか、人身安全・少年課の課長を務めていた人物は、今年春の異動で霧島署の署長に就任。その新署長こそ、志布志事件で捜査に加わり、前述の「おらばせ事件」で“たたき割り”を行ったという障子田穂積氏である。

 “たたき割り”で鹿児島県警の悪徳ぶりを世に知らしめた警官が、ストーカーや虐待事案の対策を行う人身安全・少年課の責任者だったというのだからブラックユーモアと言うしかない。志布志事件から21年、今度は本部長の指示を受け、2件のストーカー事件の隠ぺいに加担した疑いさえある障子田氏が、地域の安全安心を担う警察署の署長にまで出世したのだから、鹿児島県警の悪しき体質を象徴する人事と言えるだろう。

 ■志布志事件の被害者から怒りの声

 県民や志布志事件の関係者を愚弄するような県警の姿勢に対し、「踏み字」の被害者となった川畑幸男さんが、怒りをにじませながらこう語る。

 「志布志事件を受けて県警は良くなるものと考えていましたが、その頃より悪くなっています。県警トップに隠ぺい指示の疑いが出ているのですから、極めて深刻な事態だと思います。私はたたき割りで「踏み字」をやらされた挙句、逮捕までされましたが、消防団長だったHさんの奥さんは関谷口交番で障子田に脅され、やってもいないのに、人がいる道路に向けて『焼酎2本と現金2万円をもらいましたー』と何度もおらばせられたんです。いずれも人間のやることじゃないです。そんな犯罪行為をやった人が、警察署長として県民の安全安心を守れるはずがありません。かつて犯罪をでっち上げた鹿児島県警が、今度は身内の警察官による卑劣な犯行をもみ消した上に、内部告発した正義の警察官を逮捕して悪者に仕立て上げた。志布志事件の反省など、かけらもなかったということでしょう。絶対に許してならないことです」

 志布志事件弁護団の事務局長だった野平康博弁護士は、「おらばせ事件」の担当調べ官が障子田霧島署長であると認めた上で、次のように話している。

 「いま問題になっている鹿児島県警の警察官による盗撮やストーカーといった犯罪行為は、いずれも本部長指揮となったもの。選挙違反をでっち上げた志布志事件も本部長指揮だった。志布志事件では、具体的な証拠がないまま虚偽の証言のみに頼って立件し、その過程で踏み字に象徴される「たたき割り」という手法をとった。権力の濫用があったのは間違いない。

 一方、今回の問題では具体的な証拠があるにもかかわらず、おそらく本部長の指示で捜査が止まり、ことによっては隠蔽されていた可能性さえある。具体的な証拠があったわけだから、犯罪防止のためにも速やかな捜査がなされるべきだった。しかし、そうはならなかった。これも違った意味での権力の濫用だ。いずれの件でも、不適切かつ違法な捜査が行われており、改めて、報道機関によるきちんとしたチェックの必要性を感じる。志布志事件の時も、最初は報道機関の動きがなく、警察発表だけが垂れ流された。現在の報道機関の姿勢はどうなのか、警察に対する監視を怠ってはいないか、そのことについても議論するべきだ」

 ■論功行賞

 ところで人事といえば、霧島署員による2件のストーカー事件の隠ぺいに関わった疑いのある幹部警察官たちは、今年春の異動で揃って昇進や出世を遂げている。

 2件ものストーカー事件発生を許した上で証拠隠滅などの指示を出した可能性のある前霧島署長の南茂昭氏は県警本部生活安全部長に、前述したように本部の人身安全・少年課長だった「たたき割り」の障子田穂積氏は、ストーカー事件でかかわった霧島署の署長になっている。

 特に南氏については、「警視」が署長のB級署といわれる霧島署から、いきなり「警視正」に昇進して生活安全部長に就任。通常はA級署を経て就く地元出身警察官の最高ポストに抜擢されており、同氏の「2階級特進」に納得のいかない県警関係者は少なくないという。

 また、いったん作成したストーカー事案の「苦情・相談等事案処理票」を翌朝までに消去した疑いのある霧島署の海江田真警務課長は、今年3月に「口頭厳重注意」というわけの分からない“処分”を下されながら、A級署である鹿児島中央署の警務課長に栄転している。

 一連の不可解な人事を差配できるのは、本部長しかいないと思うが……。(中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・鹿児島県警の不正疑惑】  2024年08月05日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・08.02】:中央署「門前払い」の真相(下)| 鹿児島県医師会元職員の強制性交事件に新事実

2024-08-25 06:42:30 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・08.02】:中央署「門前払い」の真相(下)| 鹿児島県医師会元職員の強制性交事件に新事実

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・08.02】:中央署「門前払い」の真相(下)| 鹿児島県医師会元職員の強制性交事件に新事実 

 鹿児島県警の不正疑惑を受け、今月19日に開かれた鹿児島県議会総務警察委員会で質問に立った自民党の鶴薗真佐彦県議会議員と県警が、事前の打ち合わせを確信させる質疑で茶番劇を演じた。

 狙いが腐敗組織の身勝手な主張を既成事実化することにあったのは間違いないが、その中でハンターが注目したのは、2021年秋に起きた鹿児島県医師会の男性職員(2022年10月に退職)による強制性交事件に関する質疑だった。訴え出た被害女性を“門前払い”したことを「受け渋り」という表現でごまかした県議と県警――。改めて被害女性側に確認したところ“門前払い”を巡る新事実が判明、実態は考えていた以上に酷いものだった。

 ■告訴断念を強要

 県議会質疑で県警は、「告訴状の写しを一旦警察側で預かったものの、警察署内の連携不足から、相談の当日に被害者に当該写しを返却(した)」と説明した。しかし、狭い警察署内、しかも応対した強行犯係という少ない人数でのやり取りだ。連携不足が起きるわけがない。ハンターは、これまでの調べで得ていた当日の様子と被害女性側への再取材で、“門前払い”の真相を確認した。

 被害女性が告訴状提出のため鹿児島中央署を訪ねたのは2022年1月7日13時。弁護士が同行したが、中央署は聴取への立ち合いを認めず、被害女性が一人で警察官と向き合うことになった。

 応対したのはマエゾノと名乗る女性警察官で、名刺ももらえなかったかったという。

 聴取が4時間近くに及んだため弁護士は中央署を後にせざるを得なかったといい、被害女性は誰からも助けをもらえない状況で、マエゾノ刑事と対した。

 時間がかかったのは、マエゾノという警察官が、“訴えを聞くフリ”をしながら、告訴を断念するようしつこく迫ったため。しかし、覚悟を決めて告訴状提出に踏み切った以上、被害女性も引くことはできない。彼女はそのやり取りの一部始終を、警察官の目の前で克明に記録していた。そのメモの記述に沿って、当日のやり取りを再現する。

 聴取したのは、最初から最後までマエゾノ刑事(被害女性のメモの表現)一人だけ。赤(ピンク)の表紙のA5サイズくらいのノートに聴取内容を書き留めていたが、とても雑な書きぶりで、途中からはノートを開くことさえしなかった。初めから告訴状を受理するつもりがなかったのは確かで、このあと、信じられないやり取りが続く。

 これまで本サイトは、配信記事の中で「組織ぐるみでもみ消しを図った」と何度も述べてきた。マエゾノ刑事が自分だけの判断で告訴受理を拒んだのではないということが分かっていたからだ。被害女性のメモ書きによれば、マエゾノ刑事は、ほぼ30分おきに「上司に確認してきます」と言って離席し、戻る度に別の理由を挙げて告訴状受理が困難であり、事件として立件できない旨を申し向けていた。メモに残された「立件できない理由」は、以下の9点である。

・時間が経ち過ぎている。本当に嫌な思いをしたなら、本当に被害に遭って捜査してほしいと思うなら、最初の時点で警察に連絡しないといけない。なぜこんなに時間が経ってから警察に来たのか。

・加害者が書いた「罪状」という手書き文書やお詫びの手紙などは、加害者が書いたという証拠がない。また加害者が書いたという手紙や「罪状」には具体性がなく 、これも証拠にならない

・被害者の「やられた」という記憶しかない。

・防犯カメラの映像もない。

・被害届を出して現場検証したとしても時間も労力もかかるので大変。

・検事が判断する材料がない。

・被害者にとって精神的にも労力的にも大変。

・任意捜査になるので加害者を呼ぶことができない。加害者の事情聴取は、加害者が出頭しない限り無理。

・相手が出頭していない。

 相手が素人で、弁護士からも引き離していることを幸いに、よくもまあこれだけ被害者を打ちのめすような話ができたものだ。驚くべきは、告訴状を受理できないデタラメな理由を並べ立てたマエゾノ刑事が、何度も発したという次の言葉である。

 私も性被害に遭ったことがあり、それをなくすために警察官になった

 分かりやすいおためごかしだったのは明らかで、この言葉の後には「立件できない」という結論が続いた。性被害をなくすために警官になったのなら、被害女性に寄り添った聴取をするはずだが、マエゾノ刑事のやったことは真逆。聴取中、性被害が複数回だったことをあげつらい、虚偽告訴だと言わんばかりの発言まで行っていた。

 よほど厚い面の皮なのだろう、マエゾノ刑事は被害女性のメモを指さし、「そのメモの最後に、警察は市民の味方、弱い者の見方ですと書いて下さい」と2度も迫ったという。被害女性が「書いてほしければ自分で書いたらどうですか」と言い返したのは言うまでもない。

 マエゾノ刑事の暴走は終わらなかった。聴取の終盤で被害女性に求めてきたのは、「またここに来ますか ?」「告訴状は出さないということでいいですね!」という確認。被害女性は「告訴状は出します」と断言して部屋を出ようとしたところ、その受理を頑として拒んでいたマエゾノ刑事が、告訴状と添付の陳述書をコピーさせてくれと言い出した。当然コピーを許したが、その後の展開が再び被害女性を呆れさせることになる。

 ■告訴状コピー、駐車場で無理やり押し付け

 中央警察署を出た被害女性は、告訴状不受理の顛末を知らせようと同署の駐車場で弁護士にショートメールを打っていた。そこに走り寄ってきたのは一人の男性とマエゾノ刑事。二人の様子から、男性がマエゾノ刑事の上司だとすぐに判断できたという。コンコンと車の窓をたたく男性警察官。窓を開けたとたん、男性警察官は「これ(告訴状のコピー)を返し忘れていました。これはこちらでは受け取れません」と言って告訴状の写しを差し入れてきた。訝しそうに男性を見上げた被害女性に対し、こう告げてきたという。

 コピーをさせていただいたのですが、上司に報告したところコピーも受け取れないとのことだったので。お返しします 」

 本来、告訴状や告発状は、書類上の不備さえなければ、その場で受理すべきもの。しかし現行では、警察が告訴・告発の相談を受けた際、いったんコピーをとって預かり、その後に受理するかどうかの連絡をしてくるのが一般的な対応となっている。被害者に頼んで告訴状のコピーをとらせてもらっておきながら、それをすぐに突き返すという話は聞いたことがない。「返し忘れていました」と「連携不足」も結び付かない。

 異常な対応は、組織的に事件を無かったことにしようとした「もみ消し」の証拠だろう。県警は、県議会でそれを「受け渋り」「連携不足」という言葉でごまかしただけなのだ。実態は受け渋りなどではなく、完全拒否だった。被害女性は、この日の“門前払い”についてこう振り返る。

 「警察官は自分達のことを『正義』だと思っているので 、口調にしても何にしても上からで 、被害に苦しむ私にとってはかなり辛い出来事でした」

 門前払いや不当捜査によって「警察一家」を守ったつもりだろうが、検察が不起訴にしようが、県警がどう言い訳しようが、真実は一つ。「この捜査はおかしい」として内部告発が行われたことを忘れてはなるまい。

 被害女性の代理人弁護士は、次のように話している。
 「県警は、告訴状を受け取らなかったことについて“受け渋り”ととらえても仕方のないものであったとしていますが、その実態は“受け渋り”といった控えめなものではなく、告訴を受けることを強く拒絶されたというものであったと聞いています。

 県警は、県議会の質疑において、告訴状の写しさえも被害女性本人に返したことを認め、そのことについて警察署内の連携不足から生じたことと説明しています。これは、告訴を受けず、その写しを返却した当時の県警の対応について、連携不足から生じた誤りであったと弁明する趣旨のものと理解できますが、連携不足で告訴を諦めさせてしまったら、犯罪者が野放しになってしまうのであって、連携不足などという言葉で片付けられるものではありません。

 また、被害女性はこの時のことについて、事情聴取が終わって警察署を離れようとしたときに、事情聴取を担当した警察官とその上司と思しきもう一人の警察官が追いかけてきて『署内の連携不足で申し訳ないのですが、これは受け取れません』と言われて告訴状の写しを強制的に返されたと言っています。2人の警察官が、一旦は受け取った告訴状の写しを、事情聴取後に帰路についている被害女性を追いかけてまでわざわざ返しているのですから、“連携不足”で誤って返すことになったとは考えにくいと思います。むしろ警察内部で“この件は告訴状の写しさえも受け取ったという痕跡を残すべきではない”という指揮がなされて、受け取った告訴状の写しを返すことになったと考える方が腑に落ちますし、『連携不足で申し訳ないのですが、これは受け取れません』という警察官の言葉とも符合します。

 最後に、先の県警の説明は“警察上層部が間違った指揮をしたのではなく、現場の警察官が間違った判断をして受け取らなかったのだ”という意味にも受け取れますが、責任を現場に押し付けることをすればするほど、警察に対する信頼が失われていくのを理解していただきたいと思います」(中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・鹿児島県警の不正疑惑・鹿児島県議会総務警察委員会】  2024年08月02日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・08.01】:中央署「門前払い」の真相(上)| 鹿児島県議会総務警察委員会、自民議員と県警の茶番

2024-08-25 06:42:20 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・08.01】:中央署「門前払い」の真相(上)| 鹿児島県議会総務警察委員会、自民議員と県警の茶番

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・08.01】:中央署「門前払い」の真相(上)| 鹿児島県議会総務警察委員会、自民議員と県警の茶番  

 続発する鹿児島県警の不祥事を受け、今月19日に開かれた鹿児島県議会総務警察委員会。質問のトップバッターとなった自民党の鶴薗真佐彦県議会議員と県警が、“事前の答え合わせ”をうかがわせる質疑を展開した。報道されてきた複数の警官不祥事について一つひとつ尋ね、それに対する県警側の答弁内容に理解を示す鶴園県議――。腐敗組織の主張を既成事実化することに狙いがあったとみられてもおかしくない茶番劇だった。

 とりわけ、2021年秋に起きた鹿児島県医師会の男性職員(2022年10月に退職)による強制性交事件に関する質疑は、被害を訴えてきた女性に対する侮辱以外の何ものでもない。

 ■県警の主張、丸呑み容認

 鶴薗氏が質問したのは以下の項目についてだ。

 ・野川明輝県警本部長による隠ぺい指示が疑われている枕崎署員による盗撮事件
 ・報道機関であるハンターに対する家宅捜索の問題
 ・捜査当局にとって都合の悪い文書の廃棄を促した「刑事企画課だより」の問題
 ・立件されなかった、霧島署員による巡回連絡簿を悪用したストーカー事案
 ・現職軽視による超過勤務手当の詐取・県警によって証拠隠滅が行われた、霧島署員によるクリーニング店の女性従業員に対するストーカー事件

 いずれも、野川本部長による隠ぺい指示や、組織ぐるみの不当捜査が疑われる事案。ハンターだけでなく、複数のメディアに指摘されてきた「県警の闇」に関するものばかりだ。それらの質問に対する県警側の答弁は、すべてこれまでの会見などで主張してきた“卑劣な言い訳”の繰り返しとなった。

 野川本部長や組織の不正を頭から否定し、警察官による犯罪行為を矮小化するなどして批判をかわそうとする幼稚な内容。内部告発者はもちろん、県警を批判する報道も許さないという、歪んだ組織の強い意志が示された。当然、事件被害者への配慮は皆無。いまも苦しむ関係者に、質疑を通して二次被害を与えた形となっている。

 これに対し、質問した鶴薗氏は子供でさえ信じないであろう県警側の言い訳を、「わかりました」などと一々納得した上で次の答えを促すという三文芝居。その場で初めて出てきたはずの答弁を受けての感想さえも、事前に用意されていた「原稿」を読み上げるという展開だった。自民党のトップバッター鶴薗氏は、県警の主張に疑問を呈するどころか、丸呑みして免罪符を与えるがごとき姿勢に終始した。本稿ではすべてを紹介できないが、詳しいやり取りを知った県民の多くは呆れることだろう。

 ■質疑で露呈した県警と県議の本音

 ハンターが報じてきた内部告発は3件。不当捜査の証拠となった「告訴・告発事件処理簿一覧表」、「闇をあばいてください」で始まる隠ぺいの実態を明かした文書、「○○先輩へ」と記されたストーカー事件の不当性を指摘する文書――。こうした内部告発の発端となったのが県医師会の男性職員による強制性交事件だったことは何度も述べてきた。鶴薗県議はその件に関する質問も行ったのだが、県警側の答えと質問者の発言から、言い逃れする捜査当局の汚なさと性被害に対する無理解が歴然となる。「一部を切り取った」と反論されないよう、強制性交事件に関する質疑のすべてを以下に示す。

鶴薗県議:元巡査長がおかしかったと言っているこの性犯罪事件ではですね、報道各社それぞれ扱いが違うんですけれども、一部の報道では告訴相談で受け渋りがあったようなことがあって、事件捜査にも時間がかかり過ぎたという指摘もありますが、この点も含めて性犯罪事件の概要をちょっと教えていただけませんか。

竹中刑事企画課長:お答えいたします。まず、告訴状によりますと、告訴人の女性は令和3年9月頃、鹿児島県内の宿泊療養施設内で、被告訴人から複数回、性的暴行を受けたとされている事案でございます。

本件に係る捜査員と告訴人とのやりとりにつきましては、告訴状の写しを一旦警察側で預かったものの、警察署内の連携不足から、相談の当日に被害者に当該写しを返却していることが事実であります。被害者が受け渋りととらえても仕方のない対応であり、批判については、真摯に受けとめ、今後の反省教訓としたいと考えております。

その上で、一般論として申し上げますと、性犯罪に関する被害の届出がなされた場合は、被害者の立場に立ってこれに対応すべきであり、その対応においては例えば警察が被害届の受理を渋っているのではないかなどと受けとめられることのないよう、県警察では被害者の心情に配慮するよう指導しているところでございます。

また、事件捜査に時間がかかり過ぎとのご指摘につきまして、県警察では、告訴を受理した際、速やかに所要の捜査を遂げて検察庁に送付するよう指導しているところでございます。

他方で、一般論として申し上げますと、性犯罪事件の捜査につきまして、例えば、密室での行為であれば、被害者及び被疑者からその前後関係を含めて詳しく事情を聴取する必要があるほか、被害者と被疑者の関係性、被疑者の認識動機をはじめとする捜査項目が多岐にわたり、捜査事項によっては第三者からの協力も得る必要が生じてくるなど、一定期間、時間を要する場合もあることをご理解いただきたいと思います。以上でございます。

鶴薗県議:この種の事件は、私もOBの仲間の人たちと話をすれば、男女間のいろんな問題、この種の事件は結構多いんだけども、今説明があったように、立件というところまでは、途中でお互いのあれが済んだりして、なかなかという部分を聞きましたので理解してますが、ただ、受け渋りについてはですね、報道によると、他にも鹿児島南署の詐欺事件の件が問題だとされております。・・・(以下、省略)。

 

 まず、この質疑で明らかになったのは、次の3点である。

 1)県警が「受け渋り」という言葉を使って、強制性交事件の初動で起きた被害者に対する「門前払い」を初めて認めた。

 2)告訴状の写しをとりながら、なぜかそれを被害者に渡していた。

 3)鶴薗県議が、性被害の訴えが立件されないことに理解を示した。

 県警の主張の組み立ては、問題の矮小化、あるいはごまかしを狙うためのものだ。受け渋りや捜査の停滞について指摘されたことを一応認めた上で、「一般論」を持ち出して事実上の反論をするという手法である。

 「一般的には、こういうやり方をするものだが、今回は違う方法をとってしまった」という言い方と、「こういうことを言われているが、一般的にはこうやるんだ」では、受け止め方がまるで違ってくる。県警の言い分は、後者の手法によるもの。何の反省もなく、自己都合でルール違反や違法性を否定したと言っても過言ではあるまい。

 県警の答弁以上に問題なのは、鶴薗氏の「男女間のいろんな問題、この種の事件は結構多いんだけども、今説明があったように、立件というところまでは、途中でお互いのあれが済んだりして、なかなかという部分を聞きましたので理解してます」という発言だ。

 「OBの仲間の人たち」が県警のOBなのか県議のOBなのか判然としないが、鶴薗氏は、その連中から聞いた話によって「この種の事件は結構多い」「立件というところまでは、途中でお互いのあれが済んだりして、なかなか」という認識を持つに至ったようだ。個人としてどう考えようが勝手だが、政治家としていかがなものだろう。強制性交(現在は「不同意性交」)などの事件が多いことを問題視するどころか、“立件がなかなか難しい”ことを“理解してます”というのだから、救いようがない。「こんなことではいけない!」という趣旨の発言が一切ないところに、この議員の心底が透けて見える。性被害撲滅には関心がないということだ。そもそも、「途中で」「済んだ」という「お互いのあれ」とは何なのか?

 県医師会の男性職員による強制性交事件では、告訴状を提出しに出向いた被害女性を、窓口になった鹿児島中央署が「門前払い」にしたことが明らかになっている。県警や鶴薗氏ははそのことを「受け渋り」という言葉でごまかしたが、渋ったのではなく、完全拒否だったことは確か。だいたい、「渋る」というのは、いやいやながらでも行為を行った時につかう言葉で、受け取っていない以上「受け渋り」とは言えまい。日本語の使い方を間違っている。

 このお粗末なやり取りの中でハンターが最も注目したのは、県警側が明かした「告訴状の写しを一旦警察側で預かったものの、警察署内の連携不足から、相談の当日に被害者に当該写しを返却」したとする発言だ。「連携不足」で思い起こされるのは、枕崎署員による盗撮事件。実際には隠ぺい指示によるものだったにもかかわらず、「連携ミス」で捜査が遅れたとして片付けたのと同じ逃げ方だ。

 しかし、狭い警察署内で連携不足が起きるわけがない。その日の状況を克明に追えば、県警の議会答弁がいかに都合よく脚色されたものなのか分かる。次稿では、被害女性が残していた記録を基に、県警による「門前払い」の真相を明らかにする。(中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・鹿児島県警の不正疑惑・鹿児島県議会総務警察委員会】  2024年08月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・07.30】:「警察一家」最優先 女性は守らぬ鹿児島県警

2024-08-25 06:42:10 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・07.30】:「警察一家」最優先 女性は守らぬ鹿児島県警

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・07.30】:「警察一家」最優先 女性は守らぬ鹿児島県警 

 「警察一家」擁護のための証拠隠滅、もみ消し、隠ぺい、果ては処分偽装と鹿児島県警の闇は底なしの状況だが、そうした不正によって被害を受けたのは女性ばかりだ。特に、野川明輝本部長が着任した2022年10月以降、事件そのものの存在を隠したり事件化を阻むなどして表面化を避けたケースが急増している。警察官の非違事案はすべて「本部長指揮」。隠ぺい指示を行ったとみられる野川本部長と県警組織には、女性の命や人権を守ろうという意識が欠如している。

 下は、鹿児島県警の不正な対応が明らかとなっている事案をまとめた表だ。2022年1月から昨年12月までに5件。被害者はすべて女性である。

 ■鹿児島県医師会の男性職員による強制性交事件

 2021年秋に発生した鹿児島県医師会の男性職員による強制性交事件(※刑法改正によって強制性交が不同意性交等に変更される前の事件だったため)を巡っては、翌年1月に告訴状を提出しようと鹿児島中央署に出向いた被害女性を門前払い弁護士にねじ込まれて告訴状を受理したものの、10カ月放置し、国会問題指摘されて渋々送検した。不当捜査送検だったことから、当然ながら「不起訴」。しかし、被疑者である男性職員父親が少なくとも2021年の3月まで中央署に勤務していた警部補で、告訴状提出を見越した親子が21年12月頃に同署を訪問し、事件化防ぐ工作を行っていたことが分かっている。

 「警察一家」擁護に走った県警を厳しく批判してしてきたハンターが、不当捜査の証拠として取材過程で入手した「告訴・告発事件処理簿一覧表」の一部を公表する記事を配信したことで、情報漏洩事件に発展したことは周知の通りだ。ハンターも家宅捜索(ガサ入れ)を受けたが、問題の強制性交事件はまだ終わっていない。

 ■クリーニング店の女性に対する霧島署員のストーカー事件

 2023年2月、鹿児島県霧島市内のクリーニング店に勤務していた20代の女性を恐怖が襲った。女性につきまとっていた霧島署の巡査部長が店を訪れ、勤務シフトや出身地、交際相手などの個人情報をしつこく聞いた上で、自分の電話番号を手書きした名刺を無理やり押し付けたのだ。

 霧島署は女性から助けを求められた別の署の警部補から事案の申告を、さらには女性本人からも被害相談を受けながら、「苦情・相談等事案処理票」のデータを消去。さらに、犯人が映っているはずの防犯カメラ映像を隠滅するという手口で事実上の事件もみ消しを図っていた。

 ■13歳未満の少女に対する強制性交事件

 昨年10月、県警は本部留置管理課に勤務する現職の男性巡査長を、13歳未満の少女に対する淫行があったとして強制性交(※刑法改正によって強制性交が不同意性交等に変更される前の犯行だったため)の疑いで逮捕した。逮捕された男は、「俺は警察官だぞ」と脅した上で行為に及んだとされるが、県警はこの事実を伏せて公表。県民の信頼を損なう重大事件であるにもかかわらず、県警はこの件についての記者会見を拒否した。

 警察内部の事情に詳しい関係者の話によれば、強制性交の疑いで逮捕された警察官の父親は、事件当時現職の巡査部長。さらには、妹も警察官という典型的な「警察一家」だった。

 ■内部告発が暴いた枕崎署員による盗撮事件

 「闇をあばいてください」として北海道のジャーナリスト・小笠原淳氏のもとに送られてきた内部告発文書の中に記されていたのが、枕崎署の巡査部長による盗撮事件の顛末。隠ぺいの指示があったことを明かする内容だった。

 事件が発覚したのは、昨年12月のこと。現場は枕崎市内にある公園の公衆トイレで、その個室を利用した被害者女性がドア上方にスマートフォンのような物があるのを目撃する。驚いた女性が声を上げてドアを開けたところ、その場にいた盗撮犯とみられる男が走り去り、近くにとめていた白い車に乗って逃走。被害女性の訴えにより同署が付近の防犯カメラを調べたところ、「白い車」が同署の捜査車輌であることがわかり、事件のあった日時に当該車輌を使っていた職員も特定された。

 現職警官による盗撮の疑いを把握した枕崎署は、当然ながら容疑者である警察官のスマートフォンを差し押さえるなどの捜査を検討。しかし、これに野川本部長が待ったをかけ「静観しろ」「泳がせろ」などと指示し、隠ぺいを図った疑いが持たれている。

 ■巧妙な隠ぺいが疑われる霧島署員によるストーカー事案

 県民の信頼を得て作成されたはずの「巡回連絡簿」を悪用してストーカー行為を行っていたのは、これまた霧島署の巡査長。一昨年4月、パトロール中に立ち寄った事業所で一般の20歳代女性と知り合った犯人は、巡回連絡簿から女性の個人情報を不正入手、ラインなどで仕事の休みを聞き出したり、「抱いていい?」などと不適切なメールを送信する言動に及ぶ。その後も食事の誘いやラブホテルなどについて尋ねるメールを送信。怖くなった被害女性は実際に交際していた警察官に相談したことで、事件が発覚した。

 捜査は尽くされたが、今年2月上旬、捜査は唐突に終了する。被害女性が事件化を望まない意向を示したためだ。というのは1月末、県警は犯人の上司である同署地域課長、被害者担当である同署生活安全課人身安全・少年係員、行為者の取調官である生活安全部人身安全・少年課人身安全一係員の3名が、被害者側に捜査状況や違反態様、行為者に対する措置等を説明するという異例の対応で「説得」。当初強い処罰感情を抱いていたはずの被害女性は、一転して法警告や禁止命令といった行政措置についても求めない意向を示したとされる。形を変えた巧妙な隠ぺい工作が行われた可能性がある。事件はうやむやにされていたが、本田尚志元生活安全部長の内部告発によって表面化。巡回連絡簿を悪用した犯罪だったことが明るみに出た。

 ■期待できない「再発防止策」

 いずれの事件も被害者は女性だ。本来、その人たちに寄り添うのが警察の使命だろう。しかし県警が第一に守ろうとしたのは「警察一家」であり、それによって自分らの経歴に傷が付くのを防いだ県警幹部の「安全・安心」だった。

 今月19日に開かれた県議会警察総務委員会で県警は、強制性交事件での初期対応について「受け渋り」という言葉で門前払いを認めたが、これまで当事者である被害女性には、「受け渋り」についての説明も謝罪もなされていない。

 また、霧島ストーカー事件で被害に遭ったクリーニング店の元従業員女性には、犯人や担当課長に「口頭厳重注意」を与えたというが、県警は被害女性に対して、この点についての説明や謝罪を行っていない。県議会であたかも「処分」を下したかのように装ったが、「口頭厳重注意」は結果が公文書化されないもの。ここでも被害者無視の体質が如実に表れている。ブラック組織鹿児島県警に、「反省」という言葉はない。

 県警は近く「再発防止策」をまとめ公表するとしているが、出てくるのは間違いなく自分達がやってきた事件のもみ消し、隠ぺい、証拠隠滅の否定を前提としたごまかし策だとみられる。今月19日の警察総務委員会で県警が主張した、一連の非違事案の「要因」自体が、以下のように自分たちに都合のいい内容だからだ。

(1) 個々の職員が非違事案を起こしてしまう、その一線を超えてしまうということ。職責や倫理感が欠如していた。

(2) 情報漏洩が2件発生した。警察組織として個人情報保護に関する認識が不足していた。個人情報の重要性に対する感覚が麻痺していた。

(3) 刑事企画課だよりの問題もあったが、幹部が指示をして確認をするというところの基本が徹底できていなかった。枕崎員の盗撮事件も、本部からの指示がうまく署に伝わっていななかった。本部と警察署との連携という部分にも問題があった。

 (1)と(2)は、2件の内部告発を、情報漏洩=守秘義務違反だと決めつけた県警側の立場でしか事案を捉えていない証拠だ。内部告発を認めれば、首が飛ぶのはキャリヤの県警本部長以下、隠ぺいなどに関わった幹部たち。本当に「一線を越えた」り、「職責や倫理感が欠如」しているのは、警官不祥事を隠すため、被害者そっちのけで不正に走った野川本部長以下の幹部たちだろう。

 個人情報の重要性は、警察官なら当然分かっているはず。しかし、それを理解した上で内部告発しなければならない「組織の腐敗」があったという点を、県議会は改めて追及すべきだ。

 (3)については、言い訳がお粗末すぎて話にならない。問題となっている「刑事企画課だより」で、警察・検察にとって都合の悪い証拠の廃棄を促したことへの反省は皆無。一連の警官不祥事における幹部指示による隠ぺいを、県警本部や幹部の指示が伝わらなかったという話にすり替え、幹部らの身の安全を図ろうとする卑劣な主張である。

 一つひとつの事件について、なぜ隠ぺいや証拠隠滅が行われたのか、なぜ内部告発のあとでゾロゾロと真実が出てくるのかを明確にしない限り、本当の再発防止にはつながらない。県警側の幼稚な言い訳を前提とした「再発防止策」は、努力目標にすらならない。県民が求めているのは、警察一家ではなく県民を守る組織なのだ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・鹿児島県警・「警察一家」擁護のための証拠隠滅、もみ消し、隠ぺい、果ては処分偽装と鹿児島県警の闇】  2024年07月30日  06:40:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・07.26】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(5)| 鹿児島県警の県議会答弁に虚偽の可能性|「口頭厳重注意」「業務指導」の記録不存在

2024-08-25 06:40:50 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・07.26】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(5)| 鹿児島県警の県議会答弁に虚偽の可能性|「口頭厳重注意」「業務指導」の記録不存在

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・07.26】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(5)| 鹿児島県警の県議会答弁に虚偽の可能性|「口頭厳重注意」「業務指導」の記録不存在  

 鹿児島県警による事件隠ぺい疑惑を受けて今月19日に開かれた県議会の総務警察委員会で、県警側があたかも「処分」であったかのように答弁した内容が、実は正式な記録として残らない、“形だけ”のものだったことが分かった。実効性のない対応だったことになり、県議会側がけむに巻かれた格好だ。

 ■処分台帳に記載なし

 問題の答弁は、第三の「内部告発」で改めて注目されることになった、霧島署員によるストーカー事件に関する質問に対して発せられた。

 2023年2月に起きたこの事件の被害者は、鹿児島県霧島市で起きたクリーニング店で働く20代の女性。霧島署は女性から助けを求められた別の署の警部補から事案の申告を、さらには女性本人からも被害相談を受けながら、「苦情・相談等事案処理票」のデータを消去したり、犯人が映っているはずの防犯カメラ映像を隠滅するという手口で、事実上の事件もみ消しを図っていた。

 警官の非違事案であることから、本部長指揮。霧島署が証拠隠滅を実行し、野川明輝本部長指揮の下、県警組織をあげて事件のもみ消し、矮小化を図っていた可能性が高いことが分かっている。

消された処理票データ|鹿児島県警不当捜査・もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(1)
消えた防犯カメラ映像|鹿児島県警不当捜査・もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(2)
頻発したもみ消し・隠ぺいの背景|鹿児島県警不当捜査・もう一つの“霧島署員ストーカー事件”(3)
被害女性と一問一答|鹿児島県警不当捜査・もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(4)

 19日、県議会総務警察委員会でこの事件について聞かれた県警は、本件に関する警察関係者への対応を次のように答弁した。

2023年6月に霧島署長(現在の県警本部生活安全部長)、副署長、警務課長に対し「業務指導」

本年3月、ストーカー行為を行っていた霧島署の巡査部長に「口頭厳重注意」

同月、霧島署警務課長に改めて「口頭厳重注意」

 あたかも「処分」を行ったと言わんばかりの答弁だったが、「口頭厳重注意」も「業務指導」も、正式な記録である『処分台帳』には残らない。本当に実行されたかどうかさえ分からない話なのだ。

 まず、「懲戒処分」とは、職員の服務上の義務違反に対して、任命権者が、公務員関係の秩序を維持するために、国家公務員法第82条または地方公務員法第29条に基づき行う制裁的処分で「免職」、「停職」、「減給」、「戒告」の4種類がある。

 懲戒に及ばない程度のケースに対して行われるのが「監督上の措置」と称されるもので、「訓戒」と「注意」があり、鹿児島県警の場合は「本部長訓戒」と「所属長訓戒」、「本部長注意」と「所属長注意」がある。

 ハンターが県警への情報提供で入手していた令和元年から今年6月までの「懲戒処分」「訓戒処分」「注意処分」それぞれの台帳を確認したところ、霧島署関連の「注意処分」は1件もなかった。

 県警が県議会で正式答弁した「口頭厳重注意」が台帳に記載されないはずがない。おかしい。警察官の処分を所管する県警警務部監察課に確認したところ、「口頭厳重注意」は監督上の措置に至らないもの――つまり「処分」ではなく、さらに「業務指導」は、その口頭厳重注意にも至らないケースのことだという。

 すると、県議会で県警生活安全部人身安全・少年課が県議会議員の質問に答えた際に述べた事件当時の霧島署長、副署長、警務課長に対する「業務指導」、本年6月にストーカー行為をはたらいていた霧島署の巡査部長に行ったという「口頭厳重注意」、同月に行った霧島署警務課長に対する「口頭厳重注意」は、いずれも記録に残らない――つまり昇進などに何の影響も及ぼさない形だけの対応だったことになる。実際に指導や注意が行われたという証拠がない以上、県議会の場における県警側の発言は、虚偽の疑いさえある。「やってます」という印象を与えるための弥縫策だったとしか思えないが、県議会も県民も、ずいぶんなめられたものである。

 当該事案は、初動捜査にあたった霧島署が苦情・相談等事案処理票を消去したり、防犯カメラ映像という重要証拠の隠滅までしてもみ消し、隠ぺいを図ったものだ。その結果、犯人は「不起訴」。腐敗組織を挙げて無罪放免にしておきながら、わざわざ実効性ゼロの「口頭厳重注意」などというインチキ処分を報告したのは、後ろめたいところがあったからに違いあるまい。(中願寺純則)

 *初稿で、霧島署長(現在の県警本部生活安全部長)、副署長、警務課長に対し「業務指導」が行われた年を2022年と誤記しておりました。正しくは「2023年」です。訂正しております。(7月26日 08:00)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・鹿児島県警による事件隠ぺい疑惑 県警の闇】  2024年07月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・07.24】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(4)| 被害女性と一問一答|鹿児島県警不当捜査

2024-08-25 06:40:40 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・07.24】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(4)| 被害女性と一問一答|鹿児島県警不当捜査

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・07.24】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(4)| 被害女性と一問一答|鹿児島県警不当捜査 

 警察組織によるもみ消しや証拠隠滅の疑いが出ている、2023年2月に鹿児島県霧島市で起きたクリーニング店で働く20代の女性に対するストーカー事件。事件捜査の初動を担うはずだった霧島署は、野川明輝本部長指揮下の県警本部と連携し、「苦情・相談等事案処理票」のデータを消去したり、犯人が映っているはずの防犯カメラ映像を隠滅するという手口で、事実上の事件もみ消しを図っていた。

 1年半近く被害を訴えてきた女性(以下、「Aさん」)は21日、県警への不信感と、いまだに続く犯人への恐怖について涙まじりにハンターの取材に応えた。

 ■県議会前日、県警本部から突然の電話

――19日に県議会の総務警察委員会が開かれ、改めて霧島署員によるストーカー事件のことが取り上げられました。前日に何かあったと聞きましたが?
Aさん:18日に突然、県警人身安全・少年課の捜査員から連絡がありました。「明日、県議会の委員会に野川本部長が出席しますが、あなたの事件について質問が出るかもしれません。事件のことを答弁してもいいですか」というような内容でした。

――これまで、事件のことについて県警からの連絡は何回くらいあったのでしょうか?
Aさん:私は、事件のことについて何の説明も謝罪も受けていません。何度も求めてきましたが、ずっと黙殺されてきました。

――県警には何と答えたのですか?
Aさん:隠すことは何もないですから、話してもらって結構ですよと答えました。ただし、本当のことを話してください、と。実際のところ、「そんなことは止めて下さい」と言わせたかったのではないでしょうか。そんな気がしました。そのあと、総務課からも電話がありましたから。

――県警の総務課からですか?
Aさん:はい、県警の総務課から、同じ内容の電話でした。呆れて話すこともありませんでした。

 ■事件発生当時の状況

――嫌なことを思い出させて申し訳ありませんが、霧島署への相談初日――つまり昨年の2月19日前後の経過を改めておうかがいします。よろしいですか?
Aさん:二度とこんな事件が起きないよう、できるだけのご協力をしなければいけないと思っています。結構ですよ。

――犯人のことを認識したのはいつでしたか?
Aさん:じつは、職場の先輩から「注意した方がいい人がいる」と教えられていました。で、2月19日の前の段階で、私の車のそばに不自然に駐車している車があって、なにか見られているなと感じていました。あ、この人がそうなんだとわかったのは、19日にその男性が、霧島署の巡査部長の名刺を押し付けてきた時でした。

――どのようなやり取りでしたか?
Aさん:私の勤務シフトや出身地、付き合っている人はいるかなど、個人情報をしつこく聞かれ、携帯の電話番号を手書きした名刺を押し付けられました。もちろん、受け取りませんと断ったのですが、無理やり押し付けられました。受け取りたくなかったのですが、ちょうどお客様方が帰宅される頃で、一番忙しくなる時間帯。男性の後ろには別のお客様が並んでいましたから、名刺を受け取るしかなかったんです。ようやく帰るまでは、ずいぶん長い時間に思えました。私は、これ嘘だったんですけど、彼氏がいて週末はいつも一緒に出掛けてると言ったんです。付きまといをあきらめてくれると思ってそう言ったんですが、まったく効果なく、お構いなしにいろんなことを聞いてきました。

――その日は、県外の実家に帰ったそうですね。
A:とにかく怖かったんです。自分が住んでいるところを知られるのではないかという恐怖。頭の中がおかしくなりそうでした。

 ■警察に絶望し苦しんできた日々

――翌日には別の署の警察官に相談して、Aさん自身が霧島署に被害相談に行かれてます。その経緯と、霧島署でAさんに応対したのは誰でしたか?
Aさん:はい、よく来店されるお客様がいらして、警察官の制服をクリーニングに出されていたので、思い切って話しました。霧島署の人だと思い込んでいたので、名刺を返してもらおうと考えたのですが、別の署の方だというのは後日知りました。すぐ相談に行くようにという連絡があったので、2月20日に霧島署に出向いたのです。応対したのは警務課長の○○○さんです。

――どのような対応でしたか?
Aさん:一通り話を聞いて、『調べて連絡します』ということでした。霧島署の巡査部長から押し付けられた名刺は、その時に警務課長に返しています。気持ち悪かったのでコピーも取っていません。そのあと、霧島署には、その巡査部長が23日にクリーニング店のある商業施設に来ていたことも伝えています。

――それから、事態はどう動きましたか?
Aさん:何の連絡もないので電話すると、「会議で忙しかった。名刺を渡したことは認めているが、23日は、クリーニング店がある商業施設内のダイソーに行っただけだと話している」という回答でした。えっ、その程度の話?と驚きました。

――そこで本部に苦情を申し立てた?
Aさん:そうです。もう県警本部しか頼れない状況でしたから。最初に相談に乗ってもらった警察官の方からアドバイスをもらって、それ以降、何度も本部に相談しました。

――しかし、事態は動かなかった?
Aさん:あとはハンターで記事にされた通りです。ただ、改めて申し上げておきたいのは、県警本部の総務課とは何十回も話しましたが、その時の記録も一切残っていないということ。そして、霧島署の初期対応が二転三転する際、私が嘘をついていると言わんばかりの、バカにした態度をとられたことは、どうしても話しておきたいと思っていました。絶対に許せません。

――ところで、Aさんは、県警の杜撰な事件対応について県の公安委員会に苦情を申し立てられ、回答をもらっておられます。回答の中に、“防犯カメラなどの関係資料を精査しましたが、2月20日から少なくとも3月3日までの間、当該署員が、勤務先及びその直近の駐車場に接近した客観的な証拠は認められませんでした”という記述がありました。
一方、19日の県議会では、18,19日の防犯カメラ映像には問題の巡査部長の車が映っており、静止画として残したが、あとの画像は消去した旨を答弁しています。ハンターでは証拠画像を隠滅したと報じていたのですが(既報)、Aさんは、どうみますか?
Aさん:私に名刺を渡した日と、その前日の映像は残っているということですよね。そんな説明は、これまで一度だって聞かされていません。私に対しては、県の公安委員会が、正式文書の中で「防犯カメラなどの関係資料を精査しましたが、2月20日から少なくとも3月3日までの間、当該署員が、勤務先及びその直近の駐車場に接近した客観的な証拠は認められませんでした」と通知してきています。18日と19日の静止画のことを私に知られると、具体的な証拠だとして騒がれると思ったんじゃないでしょうか。事実の隠ぺいですよね。そもそも、警察は最初、2月23日に犯人がダイソーに行ったと認めていたのに、あとになって「行っていなかった」と言い出しました。どれもこれも支離滅裂。証拠隠滅は明らかです。ずいぶん、姑息なことをやっていたんだと呆れています。警察署も県警本部も信じられないとなると、どこを頼ればいいのでしょうか?私は、本当のことを知りたいし、犯人を改めて罰してほしいと訴えたいです。

――検察は不起訴にしましたが、検事調べの様子を覚えていますか?
Aさん:女性の検事さんでしたが、事情を聞かれたのはほんの1時間程度。私の話を、「はい、はい」という軽い感じで聞いていました。防犯カメラの映像が消されるなど、具体的な証拠がなくなっていたわけですから、事件ではないと思い込んでいたんではないでしょうか。私の話を真剣に聞いていなかったのは確かでしたから。検察官は、2月18日と19日の防犯カメラ映像に、犯人の車なり人物なりが映っていたことを知っていたのでしょうか?ぜひ、確認してもらいたいと思います。

――鹿児島県警に言いたいことは?
Aさん:事件からずっと、友達と会う、親と会う、買い物に行くといった普通の暮らしができませんでした。気が休まる時間がなかった。何一つ解決せず、毎日恐怖を抱えて生きていくのがつらかった。お風呂に入るにも、鍵をかけたどうか何度も確認するほどだったんです。警察は助けてくれないという絶望感から、死にたいと思ったこともありました。そんなことがずっと続いてきたんです。これを機に、ぜひ真相を明らかにしてほしいと願っていますが、県警はまず、映像が残っていたことを含めて、これまでの事を謝罪すべきではないでしょうか。

 ■判明した証拠隠滅の手口

 下は、記者とAさんとのやり取りの中に出てくる、苦情申し立てに対する鹿児島県公安委員会の結果通知である。

 2月20日から少なくとも3月3日までの間、当該職員が、勤務先及びその直近の駐車場に接近した客観的証拠は認められませんでした。》とある。防犯カメラ映像の確認開始日を「2月20日」にしたのは、明らかなごまかし。それ以前からの映像――とりわけ巡査部長が被害女性に名刺を押し付けた「2月19日」とその前日の「2月18日」の映像のことに触れていないのは、県警が意図的にストーカーの証拠を隠滅した証左だろう。県警の虚偽を見抜けなかった公安委員会は、無能と言われても文句は言えまい。

 公安委員会は《県警察に対して関係職員に迅速かつ十分な対応を行うよう厳正に指導することを要請》したとあるが、県警が《迅速かつ十分》な対応をとったのは、事件隠ぺいのための措置だった。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・鹿児島県警・警察組織によるもみ消しや証拠隠滅の疑い 県警の闇】  2024年07月24日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・07.19】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(3)| 頻発したもみ消し・隠ぺいの背景|鹿児島県警不当捜査

2024-08-25 06:40:30 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・07.19】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(3)| 頻発したもみ消し・隠ぺいの背景|鹿児島県警不当捜査

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・07.19】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(3)| 頻発したもみ消し・隠ぺいの背景|鹿児島県警不当捜査 

 2023年2月に鹿児島県霧島市で起きたクリーニング店で働く20代の女性に対するストーカー事件。霧島署は女性から助けを求められた別の署の警部補から事案の申告を、さらには女性本人からも被害相談を受けながら、「苦情・相談等事案処理票」のデータを消去したり、犯人が映っているはずの防犯カメラ映像を隠滅するという手口で、事実上の事件もみ消しを図っていた。昨年10月に南日本新聞が事件の概要を報道していなければ、真相が闇に葬られていた可能性が高い。

 これまで報じてきた通り、主体的にもみ消しや隠ぺいに関わったと考えられるのは、当時の霧島署長で現在は県警本部生活安全部長の南茂昭氏と野川明輝本部長。霧島署員によるストーカー事案のもみ消し・隠ぺいは、本田尚志元生活安全部長が北海道のジャーナリスト・小笠原淳氏に送ったとされる内部告発文書に記されていたものとほぼ同じ構図、同じ登場人物だ。本田氏は、内部告発文書に「署員によるストーカー事案2件」と記述している。

 ■元生活安全部長による内部告発との関係

 本田元部長が小笠原氏に送った告発文書の2枚目には、『鹿児島県警の闇』として、次の四つの問題点が記されている。

鹿児島県警の闇

1 霧島署員による警察の保有する情報を悪用したストーカー事案

2 枕崎署員による盗撮事案の隠蔽

3 警視による超過勤務詐取事案の隠蔽

4 署員によるストーカー事案2件を発生させた霧島署長、南茂明警視(*原文ママ。実際は「茂昭」)の警視正昇任とストーカー取締部署である生活安全部長着任

 本田氏は上記の4で、「署員によるストーカー事件2件」としており、1件が被害女性の意向で事件化しなかったという「巡回連絡簿」を悪用した霧島署員のストーカー事件だ。そしてもう1件が、本シリーズ()・()で報じてきた、警察による証拠隠滅が疑われるクリーニング店勤務女性へのストーカー事件である。

 このうち、告発文記載のストーカー事案については、「本県警察官によるストーカー容疑事案を認知し、捜査を開始したが、被害者が事件の立件を望まず、捜査を終結した」とある。本当だろうか?

 それがどのような「事件」だったのか、小笠原氏による記事(6月7日配信)の該当部分を再掲しておく。

 同署地域課に所属し、ある駐在所に勤務していた30歳代の男性巡査長(当時)が、業務を通じて不正に取得した個人情報をもとに悪質なストーカー行為を行なっていたという。

 同巡査長は一昨年4月、パトロール中に立ち寄った事業所で一般の20歳代女性と知り合う。当初は月に一回程度の巡回の際に世間話をする程度の関係だったが、およそ1年を経た昨年4月ごろから、2人は個人的にLINEのやり取りをする間柄となった。巡査長が駐在所の巡回連絡簿から女性の個人情報を不正入手し、携帯電話番号にメッセージを送信したのがきっかけだったとされる。

 同女性に頻繁にLINEを送るようになった巡査長は、仕事の休みを聞き出したり「抱いていい?」などと不適切なメールを送信する言動に及び始めた。女性は努めて当たり障りのないメッセージを返していたが、その後も食事の誘いやラブホテルなどについて尋ねるメールが送られてくるようになったため、昨年暮れになって交際相手に被害を相談することにした。この「交際相手」が加害者の同業者、つまり警察官だったことで、事件は県警の知るところとなる。本部人身安全少年課の調べに対し、巡査長は「若くて好みのタイプだったので男女の関係になりたかった」などと供述、不適切な言動があったことを認めるに到った。

 被害女性の自宅や勤務先が駐在所の近くにあることから、所轄署は巡査長を駐在所勤務から外し、署内で勤務させる措置をとる。事件の調べにあたった本部は、上の供述やメッセージの記録などから、巡査長の行為がストーカー規制法に抵触する可能性を確認、年が明けて本年1月に捜査員3人が被害女性宅を訪ね、女性と両親に謝罪した上で捜査状況などを説明していた。

 この訪問からさほど時間を経ていない2月上旬、捜査は唐突に終了する。被害女性が事件化を望まない意向を示したためだ。女性の本意は定かでないが、県警にとっては好都合な結論だったと言ってよい。立件されない以上は報道発表の必要がなく、事実関を隠蔽し続けることができるためだ。実際、今に到るまで一切の経緯が公表されていない。ただし、巡回連絡簿が犯罪に使われたという事実は極めて重く、県警はその点だけでも公表して謝罪するべきだろう。

 最終的に、被害女性が「事件化を望まなかった」という理由で捜査を終結したことになっているが、本田氏の告発文書の記述内容を詳細に検討すれば、通常ではあり得ない経緯が存在していたことが分かる。

 行為者のメッセージ内容に嫌悪感を示すとともに、被害者の連絡先の入手方法を危惧し、「今後同様の被害者を生まないためにも、刑事手続きや行政手続きができるのであれば、その対応をとってもらいたい」旨申し立てた》(告発文書より)――これが被害者の当初の意向だ。しかも、捜査過程で、「巡回連絡簿」という警察への信頼の上に作成されたデータが悪用されたことまで判明している。では、なぜ事件化されなかったのか――?本田氏の告発文書に、その謎を解く鍵となる記述があった。

 それによると捜査の結果、ストーカー事件であることを確認した県警は、なぜか即座に立件せず、被害者側への「説得」に動く。以下、本田氏の告発文の記述。

⑺ 被害者及び両親への説明

被害者への説明にあたっては、同人の意向を伺い、両親も同席することとなり、令和6年1月29日、霧島警察署で、行為者の上司である同署地域課長、被害者担当である同署生活安全課人身安全・少年係員、行為者の取調官である生活安全部人身安全・少年課人身安全一係員の3名が説明を実施した

被害者及び両親に謝罪した上で、捜査状況や違反態様、行為者に対する措置等を説明した。被害者は、事件化について、いったん保留し家族協議して決定する意向を示した。

 通常、警察が被害者にここまで丁寧な対応を行うのは稀だという。これは、『捜査状況や違反態様、行為者に対する措置等』の説明というより、事件化を望まないように誘導したと見るべきだ。その結果、次の記述につながる。

⑻ 被害者の意向確認

令和6年2月1日、霧島警察署において、前記被害者担当官及び行為者取調官の2名が被害者の最終的な意向確認をした結果、同人は、両親と話し合った結果として、

・県警本部員が行為者を厳しく取り調べたと聞いていること

・異動したり何らかの処分を受けると教えてもらったこと

・これ以上行為者と関わり合いたくないこと

・110番ステムの登録もしてもらっていること

を理由として、事件化を求めない意向を示した。また、被害者は、法警告や禁止命令といった行政措置についても求めない意向を示した

 当初、「刑事手続きや行政手続きができるのであれば、その対応をとってもらいたい」として強い処罰感情を持っていた被害女性が、県警側の説得を受けて一転、「法警告や禁止命令といった行政措置についても求めない意向を示した」となる。しかも、県民と警察との信頼の上に作成された巡回連絡簿を悪用した犯罪だというのに、被害女性が立件を望まなかったという理由から、軽い処分で済まされた可能性がある。被害者をうまく丸め込んだ、事実上の事件隠ぺいだったという見立てが成り立つ。

 ■隠蔽の背景

 ここで今回のシリーズで報じてきた「もう一つの霧島署員ストーカー事件」を振り返ってみる。

 昨年1月に霧島市で起きたクリーニング店で働く20代の女性に対する霧島署員のストーカー事件では、いったん作成された「苦情・相談等事案処理票」のデータが消去され、犯行の具体的な証拠となる防犯カメラの映像も「ない」ということにされている。本部指揮になったあとも捜査は進展せず、事案発覚から1年も経って、事実上の事件もみ消しによる「不起訴」が決まる。つまり、霧島署員による二つのストーカー事件は、新聞報道や本田氏の内部告発がなければ表面化することなく、闇に葬られていた可能性が高いということだ。

 クリーニング店で働く20代の女性に対する霧島署員のストーカー事件の認知は昨年1月で、不起訴の結論が出たのは今年1月末頃。一方、事件化が見送られたストーカー事案は昨年の5月頃に発生し、12月に認知されている。この件では、県警本部人身安全・少年課と霧島署の担当など3人がかりで女性側を「説得」した結果、「本部長指揮を受けて」(本田氏の告発文より)、今年2月6日に事件化が見送られる。

 野川輝明本部長 ― 南茂昭霧島署長体制の下で起きた2件の警察官ストーカ―事件は、昨年12月から今年1月にかけての時期が重なっており、同署と本部が、あってはならない警察官不祥事を抱え込んでいたことが分かる。そして2件とも、手口こそ違え、組織的に隠ぺいされた疑いが濃い。隠ぺいの背景にあったのは、警官不祥事の頻発だ。野川氏が本部長に就任したのは2022年10月。それ以後、県警を巡る不祥事が続出していた。下に主な出来事をまとめたが、腐敗組織がもみ消しや隠ぺいに走った理由が見えてくる。

 野川本部長の就任後、「警察一家」が批判される事案が頻繁に起きていたことに驚きを禁じ得ない。当然ながら野川氏の管理・監督責任が問われることになるが、もみ消しや隠ぺいが成功していれば、同氏のキャリアに傷がつくことはなかったろう。

 強制性交事件の不当捜査、霧島署員による2件のストーカー事件、枕崎署員の盗撮、13歳未満の少女に対する淫行事件――。いずれも報道や内部告発によって表面化しており、隠ぺいが失敗に終わった形だ。野川氏がどう責任逃れをしようと、警察庁がキャリアを庇おうと、真実は一つ。元巡査長や本田氏の内部通報がなかったら、強制性交事件に光があたることもなかったし、2件のストーカー事件の真相が明かされることもなかった。枕崎の盗撮も、うやむやにされていたのは確かだ。組織の闇を暴こうとした二人の警察官が、逮捕されるいわれはあるまい。

 勾留開示請求の法廷で本田元生活安全部長は、「不都合な真実を隠ぺいしようとする県警の姿勢に失望した」と訴えた。警官による非違事件は、「本部長指揮」が決まり。隠ぺいの指示が出せるのは本部長だけだ。野川氏が間違った選択をした理由は、自分の保身――つまり鹿児島県警本部長に就任して以来、次々に発覚する警官不祥事によって自らのキャリアに傷がつくのを避けたかったからだとしか思えない。

 霧島市のクリーニング店で働いていた20代の女性は、卑劣な犯人が不当な捜査によって不起訴になったため、いまも恐怖に震える毎日が続いている。(中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・鹿児島県警・警察組織によるもみ消しや証拠隠滅の疑い 県警の闇】  2024年07月19日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・07.18】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(2)| 消えた防犯カメラ映像|鹿児島県警不当捜査

2024-08-25 06:40:20 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・07.18】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(2)| 消えた防犯カメラ映像|鹿児島県警不当捜査

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・07.18】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(2)| 消えた防犯カメラ映像|鹿児島県警不当捜査 

 2023年2月に鹿児島県霧島市で起きたクリーニング店で働く20代の女性に対するストーカー事件。鹿児島県警霧島警察署は女性から相談を受けた別の署の警部補(現在は退職。本稿では「警部補」)から報告を受け、さらには女性からの被害申告にも応じておきながら、いったん作成した「苦情・相談等事案処理票」のデータを削除していた。署員の犯罪行為に蓋をしようという魂胆だったとみられるが、同署の対応に不信感を抱いた女性が県警本部に苦情を申し立てたことで、次の工作に手を染めざるを得なくなる。重要証拠の隠滅だ。

 ■あるはずの防犯カメラ映像が・・・

 昨年2月20日に女性の被害相談を受け、アドバイスをしていた別の署の警部補は同月23日、女性が勤務するクリーニング店がある商業施設の駐車場に、ストーカー行為を行っていた警官が車で入ってくるのを偶然目撃。クリーニング店の前を通過したあと、そのまま駐車場を出ていくまでを現認していた。警部補は、犯人を目撃したことを女性に伝え、身辺に注意するよう助言していた。

 下の写真①が、女性が務めていたクリーニング店(今年になって閉店)。犯人の車はこの店舗の前を通過していた。実は、この店舗が入っていた建物の端には防犯カメラがある(写真②)。クリーニング店の前を通過していれば、犯人の車は確実に防犯カメラに写っていたはずだ。警部補は女性に注意を促し、霧島署による捜査の進展を待った。しかし、同署に動きはなく、被害女性にとっては恐怖の時間が継続する状況となっていた。

 捜査に進展がなかったことから、被害女性は3月15日、霧島署に出向き防犯カメラの確認を含め霧島署としての善処を強く求めた。ところが、副所長と警務課長は、それまで「(犯人の)警察官は、(クリーニング店がある商業施設の)敷地内にあるダイソーに買い物に行っていた」としていた説明を一転させる。「2月20日から3月3日までの防犯カメラの記録には映っていなかった」――あり得ない言い訳と曖昧な態度に立腹した女性は、怒りを露わにして席を立ったという。

 記者も現場に行き確認したが、犯人の車両が複合商業施設に入ってくるルートに防犯カメラに死角はない。映らないはずがないのだ。

 何が起きていたかは瞭然。犯行が行われていたと推定できる時期の防犯カメラのデータだけが削除されたか、“映っていない”ことにされたかのどちらかだ。この段階で、ストーカーとしての犯行を裏付ける具体的な証拠が闇に葬られたとすれば、事件化を阻止するための隠ぺい工作だったと言わざるを得ない。その後の展開からすると、やはり問題の防犯カメラデータは抹消されたと考えるべきだろう。証拠の捏造や隠ぺいは、鹿児島県警の常套手段だ。

■紆余曲折の事件経過

 ストーカー事件の存在をないものにするため、「苦情・相談処理票」のデータを消去するという“もみ消し工作”、次いで実行された具体的な証拠となる防犯カメラ映像の“隠ぺい”――。不正に走った霧島署と歩調を合わせるように、県警本部の捜査も停滞し、ようやく実況見分に踏み切ったのは事件発覚から5カ月以上経ってからのことだった。初めから立件する意思のない捜査である以上、送検されても「不起訴」となるのは当然。紆余曲折の事件経過をみれば、二転三転した説明やデタラメな対応から、いかに不当な捜査だったかが分かる。

 鹿児島地検が不起訴処分を決めたのは、事件発生から1年も経ってからだった。その間、被害女性は何度も県警に説明を求めたり苦情を申し立てたりしていた。もちろん、犯人が近くにいるという恐怖からだ。霧島署に残されているべき「苦情・相談等事案処理票」がなかったことも、防犯カメラ映像が消え失せていることも指摘されていたはずだが、県警や検察は一顧だにしなかった。

 ストーカー被害を示す具体的な証拠が隠ぺい工作によって葬り去られていたにしろ、検察が被害者と参考人の聴取を行ってから不起訴処分を決めるまでの時間はわずか1週間。捜査を尽くしたとは言えまい。警察・検察が一体となって、警察官の犯罪行為を隠ぺいした格好だ。新型コロナウイルスの療養施設において起きた「警察一家」絡みの強制性交事件で、警察の不当捜査が疑われていたにもかかわらず、検察があっさり不起訴にしたケースと構図が重なる。

 クリーニング店に勤めていた被害女性は、犯人が不起訴になったことでその後も恐怖の毎日を送ることになった。しかし、今日に至るまで警察からは何の説明も謝罪もないという。“不起訴だから説明の必要はない”とでも判断しているようだが、書類送検の事実を隠していたことは事実。しかも、不起訴にするため、霧島署が証拠の隠滅を図っていたとすれば言語道断の所業である。

 ところで、当該事案のもみ消しや隠ぺいに関わったと考えられるのは、当時の霧島署長で現在は県警本部生活安全部長の南茂昭氏、同署の警務課、県警本部の人身・安全少年課、そして野川明輝本部長だ。本田尚志元生活安全部長が北海道のジャーナリスト・小笠原淳氏に送ったとされる内部告発文書に記されていた霧島署員によるストーカー事件とほぼ同じ構図、同じ登場人物である。これが何を意味するか――。(以下、次稿)(中願寺純則)

 *昨年3月15日に霧島署に出向き説明を求めたのは、警部補ではなく被害女性でした。訂正いたします。(2024年7月18日 8時21分)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・鹿児島県警・警察組織によるもみ消しや証拠隠滅の疑い 県警の闇】  2024年07月18日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・07.17】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(1)| 消された処理票データ|鹿児島県警不当捜査

2024-08-25 06:40:10 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・07.17】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(1)| 消された処理票データ|鹿児島県警不当捜査

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・07.17】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(1)| 消された処理票データ|鹿児島県警不当捜査 

 「警察官のストーカー被害にあった女性が、再三にわたり県警本部に事件の詳細な説明と謝罪を求めていますが、拒否され、被疑者からの謝罪の言葉もありません。 どうか、今も苦しんでいる被害女性を助けてください。お願い致します」――ハンターに送られてきたメールからは、被害女性に寄り添ってきた人の切実な思いが込められていた。公益通報問題で鹿児島県警と対峙する中、ハンターは取材を開始した。

                  ◇    ◇    ◇

 2023年2月19日、鹿児島県霧島市のクリーニング店で働く20代の女性に、霧島署に勤務する警察官(以下、「X」)が無理やり自分の名刺を押し付けた。それ以前からXに待ち伏せされるなど付きまとわれていると感じていた女性は翌日、別の署に勤務していた顔見知りの警部補に相談。警部補は翌20日、霧島署の警務課長に事案を告知し、女性も同課長に被害状況を申告した。

 その後、最初に女性から相談を受けた警部補が女性の周辺をうろつくXを現認したことで典型的なストーカー事案であることが明らかになったが、捜査段階で組織的なもみ消し・隠ぺい工作が行われ、結果的に今年1月下旬、「不起訴」となっている。

 この事案こそ、今年4月3日、ハンターに寄稿している北海道のジャーナリスト・小笠原淳氏に届いた封書の中の文書に記されていた「署員による2件のストーカー事案」のうちの1件である。今回、新たにハンターが入手した文書や関係者の証言から、隠蔽指示疑惑の野川明輝県警本部長が、この件についても把握していたことが明らかとなった。ハンターは、本部長や当時の霧島署長(現・生活安全部長)による組織をあげての隠ぺい工作があったとみている。

 ■今年2月に内部告発

 今年2月、鹿児島県警の元警部補のもとに1通の封書が届いた。中に入っていたのは1枚の文書(*下がその文書)。「週刊現代」を読んで文書送付を思い立った形だ。県警内部で情報収集したらしく、「被害女性のために色々苦労されているとお聞きしました」とあり、そのあと、霧島署管内で起きたストーカー事案について述べている。

○○ 先輩へ

1 申し訳ありません。
 突然ですが、週刊現代を読みました。
 先輩が、被害女性のために色々苦労されているとお聞きしました。
 霧島のストーカー事案について、一言言わせてください。
 何故あのような対応をしてしまったのでしょうか。

2 あの事案は、最初の対応が大きく間違っていると思います
  まず、ストーカー事案でありながら、ストーカー事案としての対応を全く取っていません
  相談の中でストーカー事案と認められる場合は、
   ストーカー事案に関する相談受理票
   ストーカー事案に関する処理票
の作成が必要となります。
  ストーカー事案に関する相談受理票等は、通常警察署のストーカー事案担当係が作成するものです。
  今回、ストーカー事案に関する相談受理票などを作成していないことは、文書の開示請求をすることで直ぐに明らかになります。

3 ストーカー事案に関する相談受理票、ストーカー事案に関する処理票も作成していないと思いますので、開示請求して文書がなければ、霧島署がストーカー事案として組織的に対応していなかったことがわかります
  まだこのような対応をしている警察官おり、警察署があることは信じられません

4 今回の件は、当時の担当課長一人だけが悪いという雰囲気が組織内にあり、とても心配しています。(勿論責任はありますが、むなしいです。)
  何より、根本が改善されない限り、今後も同じような事案が発生すると思います。
  それぞれの立埸において、責任があると思います。

5 いずれにしても、ストーカー事案(生安部門)と監察事案(警務部門)は、別々の部門(係)が同時並行に、分けて対応する必要があります。
  これが常識です。
  参考まで。

 この文書にある週刊現代の記事というのが、次の画像である。

 

 現代の記事は今年1月の誌面に掲載されたもので、鹿児島県警霧島署にストーカー事案のもみ消し疑惑があることを報じていた。

 前掲の郵送された文書はこの記事を受けて発出されており、初動捜査に間違いがあったことや霧島署の組織的隠ぺいを示唆する内容だった。整理番号をふって項目ごとにまとめ、確認した事項を2~3文字空けて列挙するという文書の作成方法は、警察官特有のものだ。

 さらに、元警部補に送られてきた文書にある「今回の件は、当時の担当課長一人だけが悪いという雰囲気が組織内にあり、とても心配しています」という記述は、昨年秋、県警本部で流れていた“霧島署の署長と警務課長が一方的に「ストーカーではない」と判断した”という話と一致する。明らかに事情を知った上での内部告発である。

 告発者は、2023年2月に発生したクリーニング店の女性に対するストーカー事件の処理方法について、霧島署による初動捜査の間違いを指摘した上で「組織的な対応」を怠ったと断言、さらに「根本が改善されない限り、今後も同じような事案が発生する」と強い懸念を示している。

 「霧島署」「ストーカー事案」「事実上の隠ぺい」――。捜査情報を漏洩させたとして逮捕・起訴された本田尚志前生活安全部長が、北海道のジャーナリスト小笠原淳氏に送ったとされる内部告発文書にあった“霧島署員のストーカー事件”と同じ構図が浮かび上がる。

 霧島署管内で起きた二つのストーカー事件は、現職警官による犯行であるという点と、事実上のもみ消しが疑われるという点(この点については後述する)、そして最も重要なこととして、現職警官の非違事案であるため「本部指揮」として扱われたものだったという3点が共通する。

 事実、本田前部長は、立件対象となった自身の内部告発文の中に「署員によるストーカー事案2件を発生させた霧島署長」と記しており、県警本部がクリーニング店で働く20代の女性を被害者とするストーカー事件を把握していたことが分かる。

 本田氏の内部告発文が指摘する霧島署長とは、現在、本田氏の後任として生活安全部長に就任している南茂昭氏。南氏が霧島署長であった時代に、管内で起きた現職警官による2件のストーカー事件が、いずれもうやむやに処理されていたことに疑念を抱くのは記者だけではなかろう。では、もみ消しが疑われるクリーニング店の女性に対するストーカー事件とはいかなるもので、どのような展開をたどったのか――。入手した資料や取材結果から検証する。

 ■野川本部長の決裁印

 初期の段階で“もみ消し工作”を主導したのは、霧島署の当時の署長と警務課長だ(昨年既報)。ある時期から、これに県警本部も加わったとみられる。警官の非違行為は本部指揮であることから、警官不祥事の隠蔽指示で問題になっている野川本部長も、当該事案を掌握していた。その証拠が、昨年4月25日に作成された「苦情・相談等事案処理票」。決裁欄には、野川本部長の印が押されていた。

 

 この件では、その後も被害者側から県警本部への相談・苦情が続き、4月25日以降、6月22日に2件、同月26日に1件と計4回、処理票の決裁文書に野川本部長が押印していた。野川氏は、当該事案を「知っていた」ということだ。

 この件は昨年10月、鹿児島県警が、霧島署に勤務する50代の男性警察官をストーカー規制法違反の疑いで書類送検しながら公表していなかったことを地元紙・南日本新聞がスクープしたことで表面化。被害女性が霧島署の警務課長に相談したが、その際の「苦情・相談等事案処理票が残されていなかった」――ことになっていた。というのは、これこそが隠蔽工作の結果。後述するが、実は今回の取材で、霧島署への相談初日に処理票が作成されていたことが分かった。

 皮肉な話だが、ストーカー事件発生当時の霧島署の署長は、今年春、ストーカーや盗撮などの事案を所管する生活安全部長に就任した南茂昭氏。先月21日に国家公務員法違反の疑いで起訴された本田尚志氏の後任である。隠蔽工作が事実なら、県警幹部による新たな事件=犯人隠避の可能性が浮上する。本部指揮事案である以上、その共犯(もしくは主犯)は野川本部長ということになり、その読みを裏付けるような話もある。

 別の県警関係者によれば、ストーカー被害を訴えていた女性が県警本部に苦情を申し立ててから、霧島署長が何度も県警本部に呼び出されていたという。異例だったとされる複数回にわたる署長呼び出し――それができるのは本部長だけだと考えるのが普通だろう。そこで、警官不祥事のもみ消しが相談されたという見立ても成り立つ。

 県警は「一般論として、監察事案や被害届を受理した場合などは(処理票は)作らない」と説明してきたが、真相は違う。そもそも、本件では相談初日の段階で被害届など提出されていないし、監査事案にもなっていない。前述したとおり、警務課の課長と署長が一方的に「ストーカーではない」と決めつけ、本部長の指示もあって事件を隠ぺいした疑いが濃い。それを証明する事実を、複数の元警察官が証言しているからだ。

 ■消された相談初日の処理票データ

 今回、新たな情報提供を受け取材したところ、とんでもない証言が飛び出した。被害女性が相談したその日に、「ない」とされてきた処理票が作成されていたというのだ。経緯を知る人物(以下、「A氏」)に話を聞いた。

――クリーニング店で働く20代の女性に対するストーカー事案が、最初に霧島署に申告された昨年の2月20日に、「苦情・相談等事案処理票」が作成されていたというのは事実ですか?
A氏:事実です。この目で見ましたから。

――見たというと?
A氏:その日は、別の警察署の現職警官から副所長にストーカー事案の報告があり、その件についてだったと思いますが、署長、副署長、警務課長の3人が署長室で話し合っていました。直後に警務課に対し、課長から「当該事案の訴えがあった場合は、直接私に回すように」という指示があり、実際に被害相談に来た女性と警務課長が会っています。それからすぐだったはずですが、処理票のデータが作成されていたんです。処理票にストーカーとして名指しされていたのが、警務課長の下にいる警務課の職員だったことに驚いたことを覚えています。『えっ』という感じでしたから。前後の流れからいって、処理票の作成者は被害者の話を直接聞いた課長しか考えられません。

――その処理票はどうなりましたか?これまでの報道では、「なかった」ということになっていますし、県警は「監察事案や被害届を受理した場合などは作らないから、そもそも作成されていない」と説明してきました。一体何があったのでしょうか?
A氏:処理票はプリントアウトされて課長や署長の決裁が行われるのですが、当日は時間が遅かったため、翌朝の決裁になったのです。ところが、翌朝になって、処理票のデータが消されていたんです。

――その時は、データが消された理由について誰かに確認されましたか?
A氏:いいえ。何らかの理由で削除しただけだと思い、そのままになりました。いまになって思えば、その時点でストーカーではないと一方的に判断され、あえて記録を残さなかったということではないかと……。

――本当にデータが消されたんですね?
A氏:間違いありません。

――隠ぺいが図られたということですね。
A氏:そうとられてもおかしくないですし、実際、去年の10月に南日本新聞が、県警が本件を書類送検しながら公表していなかったことを報じましたから、『やっぱりな』と感じました。

 前述したように、これまで県警は事件認知日である2月20日の処理票がなかったことについて、「一般論として、監察事案や被害届を受理した場合などは作らない」と説明してきた。しかし、「2月20日」の段階では監察事案になっておらず、被害届も出されていない。つまり、相談があったのが事実なら、逆に処理票がなければならないのだ。今回の新証言は、「一般論として、監察事案や被害届を受理した場合などは作らない」という県警側の主張を根底から覆すものといえる。

 問題の2月20日の処理票のデータが、翌日になって消されていたというなら、その段階から事件のもみ消しを図っていたともとれる。「なかったこと」にするつもりだったということだろう。理由は一つしかない。霧島署から犯罪者をだせば、幹部の責任が問われるからだ。警察幹部が、保身のために被害者を見捨てたというわけだ。

 では、どの段階で「本部指揮」になったのか――?

 一向に動かない霧島署の対応に不信感を抱いた被害女性は、3月10日、14日と続けて県警本部に苦情申し立てを行っていた。その際の「苦情・相談等事案処理票」が残っていることは確認できている。

 このあと女性は、4月20日に「告訴状」と題する文書を本部に送付。この告訴状送付を受けての県警側対応が、野川本部長の決裁印が押された前掲の「苦情・相談等事案処理票」となる。ただし、ここまでの間に、2月20日に作成された霧島署の処理票データは消されていたということだ。

 処理票データを消して犯罪事実を隠そうとしていた霧島署は、いきなり本部指揮になったことで慌てたことだろう。このあと、霧島署は処理票データ削除に続いて次の隠蔽工作に手を染めることになる。 (以下、次稿)(中願寺純則)

 *本文中、本田元生活安全部長が起訴された日について「今月21日」と記しておりましたが、「先月21日」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。(7月17日午前10時54分)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・鹿児島県警・警察組織によるもみ消しや証拠隠滅の疑い 県警の闇】  2024年07月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・06.24】:鹿児島県警「姑息」の証明|破綻した組織防衛の弥縫策

2024-08-25 06:36:10 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・06.24】:鹿児島県警「姑息」の証明|破綻した組織防衛の弥縫策

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・06.24】:鹿児島県警「姑息」の証明|破綻した組織防衛の弥縫策 

 組織内で行われた不当捜査の実態を内部通報した2件の事案に揺れる鹿児島県警。発端となったのが、2021年に鹿児島県医師会の男性職員(2022年10月に退職)が起こした強制性交事件のもみ消しと、それに続く不当な捜査指揮だったことは報じてきた通りだ。

 でっち上げ、不当捜査、隠蔽と何でもありの同県警だが、都合の悪い話が外部に知られたと分かったとたん、火消しのための弥縫策を打ち出し、体面を保つことに躍起となっている。6月21日に行われた野川明輝県警本部長の会見と記者レクの模様が報じられているが、その内容もまた、子供が笑いそうな創作でしかなかった。以下、「姑息」の証明である。

 ■「刑事企画課だより」

 ハンターは昨年1月、鹿児島県警に「令和元年から本年度までの鹿児島県警察本部職員の懲戒処分台帳、訓戒処分台帳及び注意処分台帳」の開示請求を実施。2月、開示された文書のうち「犯罪捜査の対象となった事案の捜査の記録」を請求した。

 これに対する県警の回答は「存否応答拒否」。つまり対象文書が存在するかどうかについても明らかにしない、というものだった。北海道警や福岡県警は開示するのに、存在さえも認めない鹿児島県警。この問題に詳しい北海道在住のジャーナリスト、小笠原淳氏も開示請求し、同様の存否応答拒否を受けて審査請求を行っている。

 県警の対応についての小笠原氏の第一報は、昨年10月配信の《鹿児島県警の闇(上)|警官不祥事の捜査記録を存否応答拒否で隠蔽》という記事。同氏は、不開示決定から2カ月を経た7月23日に存否応答拒否の決定を不服として鹿児島県公安委員会に審査請求。翌8月、申し立てが県情報公開・個人情報保護審査会に諮問され、1カ月を経た9月になって県警が「弁明書」を提出、さらに1カ月が過ぎた10月に同氏が改めて「反論書」を提出していた。

 開示請求から審査請求までの経過を批判した小笠原氏の記事に反応したのが、鹿児島県警の刑事企画課。同年10月発出の「刑事企画課だより」(以下、「刑企だより」)で、《事件記録の写しは、送致(付)した事件全てで作成し、保管する必要はありませんので、写しを作成する前に、その必要性を十分検討しましょう》、《現に保管している事件記録の写しについても、保管の必要性を適宜判断し、保管の理由が説明できず、不要と判断されるものは速やかに廃棄しましょう》などと、警察にとって都合の悪い捜査記録の作成を否定すると同時に、存在するものの廃棄を促すという形で、隠蔽姿勢を露わにする(参照記事:【独自入手】鹿児島県警で組織的隠蔽加速|捜査記録「速やかに廃棄」指示)。刑企だよりが発出された直後、県警OBなどから「廃棄が始まっている」との情報が寄せられていたことを付記しておきたい。

 刑事企画課が文書廃棄を促したのは、小笠原氏の審査請求が認められ、存否応答拒否という処分が取消された場合を懸念したからに他なるまい。隠したかったのが「警察官の犯罪行為」であることは容易に想像がつく。現在問題になっている『再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!』という記述も、“組織にとってマイナスになる文書はすべて廃棄せよ”という意味だ。

                 ◆   ◆   ◆

 小笠原氏がこの刑企だよりを批判したあと、県警は次の「姑息」に手を染める。記載内容が問題視された刑企だより『NO,20』から約50日後、『NO,23』で批判の対象となる文言を削り、次のように改変したのだ。悪質な隠蔽工作だったと言わざるを得ない。

《「被害届の即時受理」は、被害届を出さないと言っているものまで受理することを求めているものではありません

全文削除

《被害者が秘匿録音していることもありますので、対応等の言動には十分注意してください》

全文削除

《「警察にとって都合の悪い書類だったので送致しなかったのではないか」と疑われかねないため、未送致書類であっても、不要な書類は適宜廃棄する必要があります》

《必要なものは検察庁に確実に送致するほか、その写し等については、犯罪捜査規範施行細則等に基づき、適切に保管管理し、保管管理が不要と判断したものは、関係者のプライバシー保護の観点等からも、確実に廃棄する必要があります》

再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!》

《国賠請求や再審請求等が提起された場合には、その対応に必要なものは引き続き廃棄せずに保管管理する必要があります》

 刑企だよりの改変について県警側は、ハンターが報じたことで「誤解を招く」と判断し記述を改めたとしているが、記事化していなかったらより多くの証拠文書が闇に葬られていた可能性が高い。前述したように、刑企だよりに促されて廃棄された文書があったことは確かで、証拠隠滅に走ったとみられてもおかしくない鹿児島県警の行為は、徹底的に糾弾されるべきだろう。

 ■盗撮犯逮捕の真相

 情報漏洩があったとして前生活安全部長を国家公務員法違反の疑いで逮捕した県警の野川本部長は、前部長が北海道の小笠原氏に送ったとされる文書に記されていた枕崎署員による盗撮事件について、「必要な対応がとられていた」と主張している。“必要な対応”とは“盗撮犯の逮捕”ということらしいが、それは後付けの言い訳。実際には、4月8日のハンターへの家宅捜索でみつけた前生安部長の告発文の内容を精査し、あわてて立件したというのが真相だろう。

 

 まず県警が 手を付けたのは、ハンターのパソコンデータにあった告発文書の出所調査。記されていた3件の隠蔽事案のうち2件がストーカーと盗撮という生活安全部マターの話だったため、詳細を知り得る立場の職員を絞り込むのは容易だったはずだ。

 次に、当たりをつけた生活安全部関係者のパソコンデータを解析、あるいは復旧させ、残っていた内容を確認。ハンターのパソコンにあった画像データと同じものを作成していた前生安部長を、情報漏洩の犯人として特定していたとみられる。この段階で前生安部長の身柄をおさえることが可能となっていたはずだが、組織の体面を守るため、先にやらなければならないことがあった。盗撮犯の逮捕である。

 前生安部長は告発文書の中で、盗撮事案の発生場所や犯行に及んだ枕崎署の警察官が特定されていたことも明かしている。告発内文書にある盗撮事案を放置しておけば、いずれハンターが記事化して「隠蔽」がバレるのは必至。そうならないためには、先んじて盗撮事案を立件し、「必要な対応がとられていた」という言い訳を用意する必要があった。前生安部長が告発文に記した隠蔽の内容がすべて事実だったとなれば、まさに「内部通報」の証明。いまになっての本部長の強弁は成立しなかった。すべてを闇に葬るはずだった盗撮事案は、こうして立件された。つまり、前生安部長の告発がなければ盗撮犯は捕まっていなかったということだ。

 県警としては、盗撮犯の逮捕前に告発文が世に出ることは避けねばならない。だからこそ、ハンターに対しては告発文について一切触れず、「告訴告発事件処理簿一覧表」のデータ削除にのみ、こだわった。事件発生から5カ月も経っての立件は、決して胸を張れるものではあるまい。盗撮犯は、昨年12月から今年4月のハンターへの家宅捜査までの間、おそらく自由に動きまわっていたはずだ。県警は犯人を監視していたというが、四六時中捜査員を張り付けるのは無理な話。犯人の枕崎署員は長期間野放し状態であり、組織の目を盗んで犯罪行為を重ねていた可能性さえある。鹿児島県警が守りたかったのは、県民の安心・安全ではなく、「組織」なのだ。

                ◆   ◆   ◆

 もう一点、崩れている野川本部長の会見での主張がある。野川氏は盗撮犯逮捕が遅れた原因を、自身が「証拠が乏しい」と判断したことだと話している。しかし、これには不同意。事件が、「野川発言はウソだ」と言っても過言ではない経過をたどっていたからだ。

 盗撮事件が起きた枕崎市内の公園に設置された防犯カメラの映像から、犯行時に使用された白いクルマが捜査車輛だったことは、時日を置かずに分かっていた。そもそも、証拠が足りない段階で本部に警官の非違事案として「速報」するわけがない。事実、速報後は犯行に及んでいた警察官のスマホを差し押さえて解析し、事情聴取まで終えていたというのが実態だった。

 何らかの理由で犯人逮捕が遅れたとしても、せいぜい数日間。5カ月もかけて証拠を揃えなけれならない事案ではなかった。少なくとも、前生安部長が北海道の小笠原氏に告発文書を送った「3月28日」の時点では、すべての証拠が出尽くしていたとみるのが普通だろう。誰の指示であったにせよ、犯罪者を野放し状態にしていたのは確かで、その責任は野川県警本部長にある。タレントの伝言ゲームでもあるまいに、本部長の言葉が枕崎署に伝わる段階で「誤解された」という言い分も幼稚すぎて笑うしかない。

 盗撮を隠蔽していたとすれば、それを指示した人物も実行した者たちも、「犯人隠避」という罪を犯していたことになる。疑われているのは県警トップと、鹿児島県警という組織体だ。その犯罪行為について、疑惑を持たれている鹿児島県警が調査し、本部長が潔白を主張したというのだからとんだ茶番だろう。泥棒が、「自分で調べてみたけど、私はシロです」と言っているようなものではないのか。多くの国民は、どうやら腐敗組織の弥縫策を見抜いており、こう思っているはずだ――「姑息な連中だ」――と。(中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・組織内で行われた不当捜査の実態を内部通報した2件の事案に揺れる鹿児島県警・でっち上げ、不当捜査、隠蔽と何でもありの同県警だが、都合の悪い話が外部に知られたと分かったとたん、火消しのための弥縫策を打ち出し、体面を保つことに躍起】  2024年06月24日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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