『エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』より‐えまおゆうさん
(公演プログラムより)
「‐女優になって6年経った今だからこそ、200%隙のない美しさを追求したい‐
阪急電車の車内吊りで見た雪組初演のポスターには『エリザベート』の文字しかなかった。実際観て、歌だけで綴るこれまでにない舞台に衝撃を受け、続演の星組版も何度も立ち見し、大好きな作品になりました。トートを演じたいと思っていたのが、トップお披露目公演で挑戦する機会をいただき、嬉しかったですね。お披露目のプレッシャーもあり、稽古中に声をつぶしたりもしましたが、大作を前に新生雪組が一丸とならざるを得ず、客席も温かく迎えてくださって、作品のパワーのお陰で無事初日を迎えることができました。
公演前、彩吹真央さんと白羽ゆりさんとオーストリアに行ったら、二人は実在の人物を演じるので、宮殿や博物館で刺激を受けているんですが、私は全く発見がなく・・・。その後イタリアに行き、受胎告知やキリストを描いた宗教画を見るうち、天と地、神と悪魔、そういったものを感じて、自分の中で流れができていきました。稽古中に小池先生から爬虫類っぽくしたら良いかもと言われ、蛇とロックをテーマに、忍び寄るぬめっと感も大切に、動きを工夫しましたね。
今回、退団して初めて宝塚メイクと衣装で男役をやりますが、女優となって6年経ち、パンツでもスカートでもニュートラルに自分でいられるようになった今だからこそ、やっと全面的に男役をやる気になれたのかもしれません。今年『サラ・ベルナール』の対トロールで、女優の役、しかも自分にないような感情の激しい役どころを演じて、やっと女優としてスタートラインに立てた気がしていて、宝塚時代はとにかくきれいに見えることを心がけていましたが、“生きていくとは決してそれだけではない、だから舞台上でいつも美しくあることは必ずしも必要ではない”。そう、一から芝居を勉強し直している最中なんです。そんな今だからこそ、今回、架空の黄泉の帝王トートを演じる上では、歌の表現も含め、200%の隙のない美しさを追求していきたいですね。」