アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

しゃべりながら弾けますか?(仲道郁代さん)

2010年08月18日 | ピアノ
NHKの講座で、仲道郁代さんのショパン講座が始まったというので、いそいそと本屋さんへ。

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でも、テキストを見てみると、んーこれは違う、さすがに。これから、ショパン「を題材に」ピアノというものを始めてみようかね、という人向けの番組らしい。ショパンの曲を(そのまま)弾くのではなくて。これはこれでニーズがあるんだろうけど…スーパーなピアノレッスンじゃなくて、かつ入門者用でもなくて、中級向けというのはやってくれないもんだろうか。

ショパンなら、スケルツォやエチュードじゃなくてやさしめのノクターンかワルツあたり。メンデルスゾーンの無言歌とか、ベートーベンでもワルトシュタインとかじゃなくてなんとか弾けそうなやつがいいです。勝手を言わせてもらえば。

さらに私にリクエストを尋ねてくれるなら(^-^)、仲道さんによる、ショパン前奏曲の「語り弾き」をやってほしい~

「語り弾き」というのは何かというとですね。

私が持っている本で、「至福のピアノ」という、仲道さんのDVD BOOKがあるのですが、その中にブラームスの間奏曲Op.118-2の演奏があって、仲道さんはこれをなんと、しゃべりながら弾いています。

「弾き語り」というと、あくまでピアノとアンサンブルをする歌をうたうわけですね。それじゃないですよ…ピアノを演奏しながら、心に思い描いている「気持ち」を語るんです。本来は、「音」ですべて語るべきところ、実験的に、どんな気持ちが音作りの底流にあるのかを口に出してみようということです。

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今の自分は、静かで平和なのだ
振り返れば、昔がやさしく切なくよみがえってくる
あんなことこんなこといろんなことがあった
たくさんの出会いもあった
でも、もしあのとき、なにかが変わっていたら
何か違う道を選んでいたら
これほどのさみしさと悲しさに苦しまなくてもすんだかも

でもすべてが遠い昔のこと
なげいても失われたものは戻らない

でも後悔はしていない

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聞いていると、音楽の中で「納得!」という部分に、言葉がハマっていきます。単に、説明という意味で、音楽のどの部分にどういうイメージをつけて弾くのかを表したかったら、アテレコすればいいだけのことなんですけど(あるいは字幕をつけるとか)、仲道さんは、あくまで弾きながらしゃべっています。イメージが湧き上がる、それを押さえきれずに口から出てしまっているかのように。

こんなことができるのって、ふつうのことなんでしょうか?? いくらピアニストでも、みんなこれができるわけじゃないような気がします。

しゃべるのとピアノ弾くのって、脳みその中の似たリソースを、違うように使うから競合すると思うんだけど?? 仲道さんは、口から先に生まれたタイプというか(^^;; とにかく抵抗なくぺらぺらしゃべれるみたいで、前に一度コンサートを聞きにいったときも、曲の合間に天然トークを繰り広げ、それでもって、マイクをおくとそのとたんに弾きだすんですよ。

まぁ、しゃべりながら弾く必要はなにもないと思うんです。けどね、いろいろなイメージを持っている…同時にはしゃべれないにしても、しゃべれるくらいの中身を明確に…ということがやはり演奏の「味」「個性」を作るのでしょうね。

歌いながら弾くタイプのピアニストっていますね。誰とはいわないけどグールドとかね。アマチュアでも、つい歌っちゃう人もいれば、先生に「歌いながら弾いてみて」といわれて決してできない人もいる(例:私)。それはそれで、できないものはしょうがないからおいとくとして、語るべき中身を考えてみるというアプローチもおもしろいかもしれません。

ここまで書いてきてふと気がついたんですが、このDVD BOOKはもう何年も前に買ったもので、そのときに見たら…まぁ、おもしろいことはおもしろかったんですが、へぇーという感じで、あまりぴんと来なかったんですよね。それが今回見直してみたら、とても「仲道トーク」のいろんな部分に納得できる部分が多くて、すごくおもしろかったんです。

それに、私がここ何回かやっている、ショパンのプレリュードを弾くにあたっていろんなことを考えてだーっと書くというスタイルや内容の方向性みたいなもの(レベルの差はおいとくとして)は、実は仲道さんのDVDにそこはかとなく影響を受けたものではないかと思い至ったのです。いや何年も見てなかったんですけどね。

つまり、このDVD BOOKのオビにある、「ピアノってこんなに自由に楽しめるんだ!」に少しは近づけたのかもしれない…と思ったわけです。

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