通勤電車での出来事

朝の通勤電車はいつも込んでいる。普通電車から急行に乗り換える。込んでいるけど、いつもよりは余裕があるように感じた。
出発してすぐ、女性の怒声「さわるんじゃないよ！！ばかやろう！！」「さわってなんかいないじゃないか」「触るんじゃねー！！離れろ！！くそジジイ！！あっちへ行け！！」
電車の中がし～～～んとなる。もともと静かな電車内だけど、まるですべての音が一瞬消えてしまったような気がした。そっと横目で見ると、男性は両手で文庫本を読んでいた。入り口ではないので、そのあたりはそんなに込んでいるようには思えないし、女性が言うような状態ではないように思う。反対に女性の方が何か妖しく見える。花粉症の大きなマスクをして、つり革につかまって本を読んでいる。若くは見えないし、髪は寝起き見たいだし、化粧はしていないし、服もおしゃれではない。どう見ても、男性がさわりたくなるような女性には見えない。
男性は両手で本を持って読んでいたので、多分、ゆれた拍子に体が触れたんだと思う。それにしても女性のドスのきいた声と言葉には、今思い出してもドキドキする。その女性は途中で降りる時、口の中で何かブツブツ言いながらキョロキョロと降りていった。何かその男性が気の毒になった。

会社でその事を話したら、男性達が「電車の中ではなるべく女性の近くに行かないようにしているし、絶対に疑われないように気を使う」って言っていた。たしかに無実なのに疑われるのはかわいそうだと思うが、痴漢の不愉快は経験した女性でないと分からないだろう。うら若き時、触られるだけでも泣きたいくらいだったのに、見せる痴漢に会った時は、もうショックでショックで会社に行っても仕事が手につかなかった。今度、朝にも女性専用車が走るという・・・