ふみさんの日々雑感

生活の事、家族の事、大好きなサッカーの事・・・日々いろいろ

老父の中国旅行

2005-04-26 21:25:45 | 父の事
あんなに楽しみにしていた中国旅行が中止になった。中国の暴動の時には、行けるかどうかと心配していたのに、送ってやった中国の写真集を見ながら、楽しみに楽しみにしていたのに・・・。85も過ぎると、突然にガクっと来るみたいで、急に体が辛くなって、中国に行く自信がなくなったと言う。

父は小柄だけど、百姓をしていたので、ホントに惚れ惚れする程の筋肉質の逞しい体の男性だった。それが年をとって百姓を辞めたあたりから、小さくなって行った。老人になって行くという事は本当に残酷な事だと思う。心ではまだまだと思っていても、体は思うように動かず、目も、耳も、声も年取って行く・・・そして、そんな父のそばにいてやれない娘としは、とてもとても辛い。

無口な父が人生の週末に近づき、人生の一番輝く青春時代を、地獄よりも辛い経験をしてであろう、あの戦場だった中国に行って見たいと、ぽつりと言った。すぐに旅行を計画し、この5月10日に出発する事になっていた。連れて行くのが遅すぎた。

母は、たった一人の跡取長男が戦争で戦死してしまい、敗戦で帰ってきた隣町の父をお婿さんとして向かえた。料理を作る事が大好きだっ父は雪の降る冬は町場の料亭に住み込んで料理を習った。私の村では子供の頃、結婚式もお葬式も自分の家で行われた。そして、その時は父はいつも料理作りに行っていた。父がいつか言っていた事がある。「自分のお店を持って料理を作りたかった」と。もし戦争がなかったら、母の所に婿に来る事はなかったろうし、都会に出てお店を持ったかもしれない。新潟の田舎の百姓として、その一生を過ごす父。

老いた二人で、この冬を乗り切ってくれた。もう少し待っていてね。連休になったら、私と姉ちゃんと帰るから。
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