夫の古い友人が自殺した。その人のお父さんは、夫の実家の近くの生まれで、東京で商売をしていた。年子で男ばかり4人の子供がいた。夫は東京に就職で出て来たばかりの頃、知り合いも余りいないので、よく遊びに行っていたそうだ。私は、結婚した時、一度だけ行った事がある。
彼らは月島で魚の仲買をやっていた。朝のNHKの「瞳」のように、狭い道に家がビッシリ建っていた。その時、ご馳走になったお刺身やお寿司が美味しかった事が、今でも忘れられない。
夫も結婚して、子供も生まれて、仕事も忙しくなり、転勤とかでいつの間にか行き来も疎らになっていた。
それが、突然、4人兄弟の長男が去年の暮れに自殺したと、連絡が来た。親戚にも何処にも知らせなかったけど、やっぱり、知り合いには知らせなければと、電話したそうだ。
隅田川に身を投げたそうだ。自転車が橋の上にあり、捜索しても直ぐには遺体は見つからなかったらしい。
お父さんは、随分、前に亡くなり、後を引き継いだ長男と末っ子とで仲買の仕事をしていた。昔は本当に儲かっていたそうだが、今は、大変で、借金もあったそうだ。それと、長男だけ独身で、母親と同居して面倒をみていたそうだ。でも、最近、母親の認知症が酷くなって来て、それでも悩んでいたそうだ。
月島のそのあたりは、今、再開発の話もあり、その事でも悩んでいたそうだ。
年間、何万人の自殺者と新聞に載っていても、どこかで他所事と思っていた。でも、30年も昔に一度会っただけで、顔も忘れてしまった人だけど、それでも、ドキドキする。
65年以上も生きて来て、もう、残りの人生の方がずっと短くなったというのに、何も、ここまで来て死に急ぐ事も無いのにとも思うが。
今、若い人も競うようにあの世に、自分を、又他人を連れて行こうとする。ううん、若い人だけでなく、夫の友人のように、経験も分別もある大人でさえも。
よく、自殺した人の親族や友人が「どうして、自殺する前に相談してくれなかったの」とのコメントをメディア等で聞いたり読んだりする。
でも、死のうと思う程、悩みウツ状態になっている人から相談を受けて、どれだけ力になれるのだろう。
夫の友人のように、仕事の悩みやお金の悩みを打ち明けられて相談されても、どのように助言をしたり、力になってやれるのだろう。
お母さんの介護の問題もそうだ。まだ、介護保険が始まる前に、樋口恵子さんの介護保険の理想を聞いた時、本当に老後は明るいと思った。でも、いろいろな政治家が出て来て、樋口さんの言っていた理念とは、程遠い制度になってしまった。
今、姉の所にいる認知が始まっている母の事を考えても、老人介護の件で、明るい助言など出来ない。
残された3人の弟達が「何とか出来なかったのか」と今でもまだショックから抜け出せないでいるそうだ。ただ、息子が自殺した事を認識できなくなっている母親が、哀れでもあり、救われている事でもあるという。
ショック状態の夫は、早急にお参りに行って来ると言っている。ご冥福を祈ります。
彼らは月島で魚の仲買をやっていた。朝のNHKの「瞳」のように、狭い道に家がビッシリ建っていた。その時、ご馳走になったお刺身やお寿司が美味しかった事が、今でも忘れられない。
夫も結婚して、子供も生まれて、仕事も忙しくなり、転勤とかでいつの間にか行き来も疎らになっていた。
それが、突然、4人兄弟の長男が去年の暮れに自殺したと、連絡が来た。親戚にも何処にも知らせなかったけど、やっぱり、知り合いには知らせなければと、電話したそうだ。
隅田川に身を投げたそうだ。自転車が橋の上にあり、捜索しても直ぐには遺体は見つからなかったらしい。
お父さんは、随分、前に亡くなり、後を引き継いだ長男と末っ子とで仲買の仕事をしていた。昔は本当に儲かっていたそうだが、今は、大変で、借金もあったそうだ。それと、長男だけ独身で、母親と同居して面倒をみていたそうだ。でも、最近、母親の認知症が酷くなって来て、それでも悩んでいたそうだ。
月島のそのあたりは、今、再開発の話もあり、その事でも悩んでいたそうだ。
年間、何万人の自殺者と新聞に載っていても、どこかで他所事と思っていた。でも、30年も昔に一度会っただけで、顔も忘れてしまった人だけど、それでも、ドキドキする。
65年以上も生きて来て、もう、残りの人生の方がずっと短くなったというのに、何も、ここまで来て死に急ぐ事も無いのにとも思うが。
今、若い人も競うようにあの世に、自分を、又他人を連れて行こうとする。ううん、若い人だけでなく、夫の友人のように、経験も分別もある大人でさえも。
よく、自殺した人の親族や友人が「どうして、自殺する前に相談してくれなかったの」とのコメントをメディア等で聞いたり読んだりする。
でも、死のうと思う程、悩みウツ状態になっている人から相談を受けて、どれだけ力になれるのだろう。
夫の友人のように、仕事の悩みやお金の悩みを打ち明けられて相談されても、どのように助言をしたり、力になってやれるのだろう。
お母さんの介護の問題もそうだ。まだ、介護保険が始まる前に、樋口恵子さんの介護保険の理想を聞いた時、本当に老後は明るいと思った。でも、いろいろな政治家が出て来て、樋口さんの言っていた理念とは、程遠い制度になってしまった。
今、姉の所にいる認知が始まっている母の事を考えても、老人介護の件で、明るい助言など出来ない。
残された3人の弟達が「何とか出来なかったのか」と今でもまだショックから抜け出せないでいるそうだ。ただ、息子が自殺した事を認識できなくなっている母親が、哀れでもあり、救われている事でもあるという。
ショック状態の夫は、早急にお参りに行って来ると言っている。ご冥福を祈ります。