60年前に取り違えられて、本来なら裕福な家庭で育つはずだった人が、貧困の生活を送らなければならなかったとニュースで知った。
たとえ多額の慰謝料を受け取ったとしても、人生をやり直す事は出来ない。本当に辛い出来事だ。
私達家族がずっと昔、関西に住んでいた頃。
記憶が定かではないが、娘が幼稚園児だった頃だと思うが、赤ちゃん取り違え事件があった。
丁度、娘と同じ年頃に育った子だった。
ウチの娘が生まれたのは、東京に住んでいた時の近所の産院だった。
なぜか、その病院では、娘が生まれた日も、その前日も男の子しか生まれなかった。だから、新生児室にはピンクの産着を着ていたのは、ウチの娘だけだった。
夫と、ウチの子が間違いだったと知ったらどうするだろう、と話した事がある。
その間違えられた子供達は、何回か両方の家族で一緒の時間を持ち、最終的には本当の家族の元に行ったはずだ。
でも、一番大変な赤ちゃん時代、そして、可愛くなって来た幼稚園時代まで育てたら、たとえ、違うと言われても絶対に手放せない、と夫に言った事を覚えている。
出来るなら、その子も二人ともウチの子にしたいと、私は手放せないと。
この前見た映画 、「もう一人の息子」 を思い出す。
この取り違えられた赤ちゃんは、イスラエル人とパレスチナ人。
湾岸戦争の混乱で出産した病院で取り違えられたのだ。
フランス系イスラエル人の息子は18歳になり兵役時の検査で家族ではないと分かる。
確かに、息子は両親にはまるっきり似ていない。まして人種が違うのだから。
こよなく息子を愛していた父親は、激しく傷つき妻の浮気を疑う。
そして、やっと辿り着いた本当の息子はパレスチナ人として、あの壁の向こうに住んでいた。
両親が初めて会った時、両方の父親は、いたたまれずに部屋を出てしまう。
残された母達は、涙を流しながらも、持って来た息子の写真を見せあい、どんな子かをお互いに話しあう。
イスラエル人として育った息子には妹がいて、パレスチナ人とした育った息子には、同じくらいの妹がいて、そして、仲良しの大好きな兄がいる。
どうしても現実が受け入れらず向き合えない、父親や兄の男達。
息子に弟にどう接していいのか分からない。
特にパレスチナ人の兄は、大好きな弟が憎悪の対象のイスラエル人だった事にショックを受け、どうしても受け入れる事が出来ない。まして、イスラエル人として育った実の弟も受け入れる事が出来ない。
それぞれの父親達は、育てた息子にも実の息子にも、平静に接する事が出来ないで話も出来ない。
その点、母親達は、現実を受け入れ、育てた息子を抱きしめ実の息子にも愛おしさを感じて行く。
葛藤する息子達も、いつか現実を受け入れ、お互いに話し合い未来を考えて行く。
ラストの方で、やっと現実を受け入れたイスラエル人の父親が、育てた息子を愛おしそうに抱きしめ、「愛している」 と言うシーンに胸が詰まった。
女性監督らしい丁寧な作りで、母親達の細やかな心の動きに私の気持ちも沿って行った。
壁の向こうとこっちの、人々の暮らしのまるっきり違う世界。
土色の世界と、緑豊かな青い海の視覚的にも違う世界。
それぞれの正反対の世界を自分の故郷として育った彼らは、どちらの世界を選ぶのだろう。どう生きて行くのだろう。
たとえ多額の慰謝料を受け取ったとしても、人生をやり直す事は出来ない。本当に辛い出来事だ。
私達家族がずっと昔、関西に住んでいた頃。
記憶が定かではないが、娘が幼稚園児だった頃だと思うが、赤ちゃん取り違え事件があった。
丁度、娘と同じ年頃に育った子だった。
ウチの娘が生まれたのは、東京に住んでいた時の近所の産院だった。
なぜか、その病院では、娘が生まれた日も、その前日も男の子しか生まれなかった。だから、新生児室にはピンクの産着を着ていたのは、ウチの娘だけだった。
夫と、ウチの子が間違いだったと知ったらどうするだろう、と話した事がある。
その間違えられた子供達は、何回か両方の家族で一緒の時間を持ち、最終的には本当の家族の元に行ったはずだ。
でも、一番大変な赤ちゃん時代、そして、可愛くなって来た幼稚園時代まで育てたら、たとえ、違うと言われても絶対に手放せない、と夫に言った事を覚えている。
出来るなら、その子も二人ともウチの子にしたいと、私は手放せないと。
この前見た映画 、「もう一人の息子」 を思い出す。
この取り違えられた赤ちゃんは、イスラエル人とパレスチナ人。
湾岸戦争の混乱で出産した病院で取り違えられたのだ。
フランス系イスラエル人の息子は18歳になり兵役時の検査で家族ではないと分かる。
確かに、息子は両親にはまるっきり似ていない。まして人種が違うのだから。
こよなく息子を愛していた父親は、激しく傷つき妻の浮気を疑う。
そして、やっと辿り着いた本当の息子はパレスチナ人として、あの壁の向こうに住んでいた。
両親が初めて会った時、両方の父親は、いたたまれずに部屋を出てしまう。
残された母達は、涙を流しながらも、持って来た息子の写真を見せあい、どんな子かをお互いに話しあう。
イスラエル人として育った息子には妹がいて、パレスチナ人とした育った息子には、同じくらいの妹がいて、そして、仲良しの大好きな兄がいる。
どうしても現実が受け入れらず向き合えない、父親や兄の男達。
息子に弟にどう接していいのか分からない。
特にパレスチナ人の兄は、大好きな弟が憎悪の対象のイスラエル人だった事にショックを受け、どうしても受け入れる事が出来ない。まして、イスラエル人として育った実の弟も受け入れる事が出来ない。
それぞれの父親達は、育てた息子にも実の息子にも、平静に接する事が出来ないで話も出来ない。
その点、母親達は、現実を受け入れ、育てた息子を抱きしめ実の息子にも愛おしさを感じて行く。
葛藤する息子達も、いつか現実を受け入れ、お互いに話し合い未来を考えて行く。
ラストの方で、やっと現実を受け入れたイスラエル人の父親が、育てた息子を愛おしそうに抱きしめ、「愛している」 と言うシーンに胸が詰まった。
女性監督らしい丁寧な作りで、母親達の細やかな心の動きに私の気持ちも沿って行った。
壁の向こうとこっちの、人々の暮らしのまるっきり違う世界。
土色の世界と、緑豊かな青い海の視覚的にも違う世界。
それぞれの正反対の世界を自分の故郷として育った彼らは、どちらの世界を選ぶのだろう。どう生きて行くのだろう。