ロシアでは日本のフィルムは購入できないと言われており、私達はフィルムを日本から全て持って行ったのだが、研究室持ちのフィルムは全てS氏が所持していたのだった。ここでフィルムが失われてしまうと、せっかくのロシア調査が全く出来なくなってしまうのだ。結局、S氏が1時間後にフィルムを持って戻ってきたので、一同ほっとしたのだった。
F氏と212号室に泊まることになる。しかし窓がうまく閉まらない!。そのためすきま風が吹き込んでしまい、とても寒い。ヒーターは少し暖かいが、それでも15~16℃位にしかならない。F氏が、窓が割れそうなほどの強さで窓枠を蹴ったのだが、やはり閉まらない。カーテンを外して詰めてみたりもしたが、やはりすきま風は止められず、次第に寒くなる一方だった。
だいたい部屋の前に来た時にまず扉が開かない。不思議なことに、キーを3回ぐるぐる回さないと鍵が開かない。しかも多少のこつを必要とする。他人が入れないのは良いが、下手すると自分まで入れないから困ったものだ。更に水もお湯もうまく出ない。トイレは冬期仕様でもないのに、水が常時チョロチョロ流れているという有様。お湯が出た部屋もあったが、そのお湯も錆びだらけで、バスタブにお湯を溜めたら、湯舟が真っ赤。なんだかすごい所に来ちゃったものだと思った。先が思いやられる。
とりあえず部屋に落ち着いて、それから何故かお金の整理をする。空港での両替で、5,000円がおよそ12,000RBになったのだが、大きな金額のルーブル紙幣はあまり出回っておらず、小額紙幣が多いので、大量のお札になってしまい、札束というものを初めて持つことになった。そうなると、明日以降の身の安全を考えて、お金を小分けにする作業が必要になる。日本円にすれば5,000円でしかないのだが、ロシアではなかなかの大金なのだ。奇妙なことだが、みなほとんど同時にお金の整理をし、床一面にお札を並べてみたりしていた。
一方、F氏は日記を書き始める。普段あまり片づけをしないと言っていたのに、まめに日記を付けたりするので、これはやや意外。ただ日記といっても絵日記みたいなものだったけど・・・。
結局、やはり寒過ぎたため、F氏と私は他の部屋にお邪魔して寝ることにした。H君の部屋に、ベッドのクッションごと持ち込んで寝る。シャワーも使わせて貰ったが、やはり湯加減のコントロールは相当難しかった。もとの部屋よりは暖かかったが、やはり床付近は冷たい。寝ていてちょっと寒いなぁとも思ったが、疲れていたのでそのまま寝てしまった。