「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            「太陽族」 認知症

2008-11-05 06:13:33 | Weblog
テレビ朝日制作の「ドキュメンタリー宣言”消えてゆく妻の記録”認知症の南田洋
子よ」を見た。見たというより"のぞいた”だけで、すぐにチャンネルを消してしまっ
た。老妻は最初から見る気持ちがなかった。夫、長門裕之の懸命な介護や妻へ
の愛情には頭が下がるのだがー。

長門裕之と南田洋子とが昭和31年、石原慎太郎の芥川賞作品「太陽の季節」の
映画に共に出演、これが縁で二人は結婚した。僕ら夫婦とだいたい同じ世代だ。
二人の若さあふれる演技は今でも強い印象として残っている。そして、その後の
二人の”おしどり夫婦”ぶりは,皆から羨ましがられていた。

テレビで南田洋子のやつれた姿をみた。あの半世紀前の、僕らが抱いていたイメ
ージは、失礼だがない。あの「太陽の季節」が話題になった頃、自由奔放に愛を
語り、行動する若者たちのことを「太陽族」と言った。

人間には、それぞれの"美学”がある。南田洋子の先輩女優、原節子は"永遠の美
女”と呼ばれたが、42歳で銀幕をさった。ずっと落ちるが(失礼)僕の小学校時代の
友達も、長い間、病床にあるが、頑固に僕らの見舞い申し入れを拒否している。やつ
れた姿を見せたくないのだ。

「太陽族」だとか「アプレ」(フランス語のapreからきた言葉で、戦後派)といわれた僕
らの世代もいつのまにか"たそがれ”を迎えた。さいわい周囲には認知症はいないが、
僕にかぎっていえば、やはり病気とはいえ認知症になったらテレビには出してもらいた
くない。