「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            老人ばかりの「火の用心」

2010-12-28 07:49:12 | Weblog
”火事と喧嘩は江戸の華”といわれたほど昔から東京は火事の多い所だった。徳川時代267年間に江戸の町に49回も大火が起きている。同じ時代、京都は9回、大阪は6回というから、いかに江戸で大火災が多かったがわかる。戦前の東京もそうだった。僕の記憶の中にも何度か野次馬みたいに消防自動車の後を追っかけて火事現場を見に行ったことがある。

そのせいなのか、東京では暮になると、町内ごとに”火の用心”の夜回りをする習慣がある。わが町でも昨夜8時から町会長宅前に20人ほどが集まって2組に別れ拍子木を叩きながら”火の用心”と町中を回った、と参加した老妻からの報告があった。本来なら男性の僕が参加しなければならないのだが、夜は一杯飲んでしまうので。

老妻の話では夜回りに参加したほとんどが60歳以上の年寄りで、しかも女性だったという。子どもは一人もいなかったそうだ。昔は”火の用心”の夜警といえば子どもたちの行事だったような気がする。僕も寒い夜空の下、”火の用心、マッチ一本火事のもと”と大きな声で町の中をまわった記憶がある。

子どもの数が減ってきたこともあるが、地域社会と子どもとのかかわりが薄れてきている。戦前、僕らが子どもの頃は、大人たちが、地域の子どもたちの面倒をよくみてくれた。例えばお正月には広っぱでタコ上げ大会をしたり、初午には甘酒を造ってご馳走してくれたりした。また、子どもたちも町内の清掃には積極的に参加した。やはり、子どもの時から地域社会の活動に参加させるよう、大人たちが教えないと、将来、地域社会に無関心な人間ばかりが多くなってしまう。