「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

連日連夜 停電だった70年前の東京

2016-10-13 06:37:39 | 2012・1・1
昨日の午後、東京は一時58万戸が電気が停まり大騒ぎになった。一瞬、僕はテロかなと思ったが、どうやら送電線用の地下テーブルの劣化による発火らしい。しかし、一時にせよ、最大の都市インフラである電力が、かくも簡単にストップするものかと、大都市機能の脆弱さに改めて驚いた。停電が昼間でよかったが、夜間だったら大混乱になったであろう。

戦中から戦後すぐの時代にかけて、東京は連日連夜停電が続いた。極端の電力不足によるものだ。写真は昭和22年10月14日から17日までの亡父の日記だが、連日「停電」の字が書かれてある。敗戦から2年過ぎているのだが、まだまだ、戦災の復興はならず都民は、暗闇のなか、ロウソク生活をしていた。同じ年の8月の亡父の日記には、停電でも蚊の襲来止まず、7時半蚊帳の中に逃げ込むとあり、また、別の日の日記には、電力調整から、本日、湯屋(銭湯)早朝5時開業ともあった。

現代人にとって電気は空気のような存在で、その有難味が解からない。70年前、わが家は貧しく、内職に手動のプレス器で電気の部品を作っていたが、停電になると、それが出来ず、困った。しかし、今は社会全体がその当時とは違う。テレビの画面をみていたら、中央官庁でさえ、エレベーターが停まったり、自家発電で緊急手術が行われたり、信号がストップして事故まで発生している。

横浜の病院の点滴殺人事件をはじめ、何か社会全体のタガが緩んんで来ているように老人の目には映る。今回の停電も、35年間、部品を交換していなかったの原因だという。豊かさからくる緩みに見えてならない。