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■ 習近平「尖閣発言」の真意と中国今後の出方
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9月17日に「尖閣対立」についてメルマガを発信して以来、事態の推移はある程度、筆者の私の予測する通りの展開となっている。
その時のメルマガでは私は、おそらく中国政府は9月18日を期にして「反日デモ容認」に区切りをつけ、沈静化を図る方向へ転じるだろうと予測していたが、案の定、19日から反日デモがぴったりと止まったことは周知の事実である。
また、9月17日当時、「千隻の中国漁船は尖閣を目指して出航」との情報が日本で大きく取り上げられて一触即発の緊迫となっていたが、私はメルマガでは「中国漁船による日本領海の大挙侵入は果たしてあり得るか」との疑問を呈していた。
結果的には、今の原稿を書いている9月21日朝現在、中国の漁船は一隻たりとも日本の領海に入ってこなかった。
やはり中国政府は、日本との全面対決につながる最後の一線を踏み切れなかったわけである。
その間、確かに中国の漁業監視船などの公船は一時に十数隻も日本の領海との接続水域に入ってきたが、もっとも心配されている漁船による領海侵犯はいっさいなかった。
漁業監視船は大量にやってきていることは、別の見方からすれば、その役割の一つはむしろ、中国の漁船が日本の領海に入っていかないよう「監視」することにあるのではないかと思われる。
もちろん、漁船を大挙に尖閣近隣の海域に行かせたのも当の中国政府であろう。
しかしその目的はあくまでも日本に対するデモンストレーションであり、日本政府に圧力をかけるための行動なのだ。
それを持って日本領海に侵入して日本との全面対決にもっていく意思と胆力は今の中国政府にないと見てよいであろう。
こうした中で、中国の次期最高指導者となる予定の習近平氏は19日、日本の尖閣国有化を「茶番」だと批判して発言したことが日本でも報じられて、「これでは中国政府はよりいっそうの強硬姿勢に出るのではないか」との声も上がっているが、筆者の私はまったくそう思わない。
習近平の発言を丹念に読んでみれば、私はむしろほっとした面がある。
というのも、中国メデイアの公表した習近平氏の発言を最初から最後まで読めば分かるように、彼は一応日本政府への批判を展開しているものの、その言葉使いの激しさは他の指導者を超えることは決してなく、むしろより「穏便」な表現となっていることが分かる。
たとえば温家宝首相はこの件にかんしては「領土問題は一歩も譲れない」という余地の残さない超強硬発言を二度も口にしたが、習近平発言にはこのような過激な表現はいっさいない。
そして彼は、日本側の国有化の動きを「茶番」だと批判した点も実に興味深い。
だいたい、相手のやっていることを「茶番」だと嘲笑うのには、「真面目に受け止める必要のないただの茶番だ」というニューアンスが含まれているのは普通である。
つまり習近平氏は日本側の動きを「茶番」だと矮小化することによって、「われわれはとしては過剰反応しなくても良い」というような姿勢を暗に示している、とも考えられるのである。
実際、習近平自身の立場からすれば、彼はむしろ、現時点での尖閣問題の拡大化・激化を望んでいないはずである。
というのも、彼は今年秋に開催予定の党大会に次期最高指導者に選出される予定である。
習氏の気持ちからすれば、彼は今一番心配していることはむしろ、秋の党大会開催の予定が何かの突発的出来事によって延期されたり中止されたりして自分の次期指導者就任に支障が生じてくるようなことであろう。
もしそうなった場合、今の最高指導者である胡錦涛総書記は「国家の非常事態」を理由にして習氏への権力委譲を拒むことさえあり得るのである。
したがって、党大会が予定通りに開催されて自分が首尾よく次期総書記になることを誰よりも待ち望んでいる習近平氏こそは 実は、今回の「尖閣紛争」で日本との全面対決になるようなことを避けたい思いである。
日本の一部の新聞報道は「習近平氏は今回の対日強硬姿勢・反日デモを主導した」と報じているようだが、それはいかにも、分析力の足りない憶測的な報道であろう。
とにかくそういうこともあって、今の中国政府は日本との全面対決をやるつもりはないだろうと私は思う。
おそらく今後、監視船や軍艦を近海に出したり日本に対する経済制裁を示唆したりして日本政府に圧力をかけながら、何らかの落としどころを探していくというのは中国政府の基本方針となろう。
それにたいし、主権にかかわる問題で、それこそ「一歩も譲らない」というのは日本国政府のとるべき基本姿勢であり、しばらくの間は、「静を持って動を制する」のも悪くないと思う。
( 石 平 )
☆ アメリカが日本を支持したことも大きいと思うが・・・石平氏の文を読んで納得する。
習近平氏はソフト路線に切り替えたけれど、どこでどう転ぶかはわからない。
なにしろシナ内部がもめていることは確かだ。
ロシアも偵察にきている。
日本にとって「領土」に関する外交は、今の民主党には無理である。
そしてシナの日本人を有事の際、いかに守るか、今回はあのような「暴動」の中で、大変な思いをしたことである。
シナの日本人・日本企業とも、今までと同じようにはいかない。また日本政府は何も考えていないことも不安であった。
あのような「反日暴動」はテロであり、決して許されるものではない。