★ 昨日に続いてヴェルディ『ドン・カルロ』より、「フランドルを救え」と親友ロドリーゴは何者かに銃撃されながら皇子ドン・カルロに訴え死ぬ。
そこへ皇帝フィリッポ二世(フェリーぺ二世)が息子のカルロを許すことを告げるが、カルロは親友のロドリーゴを殺したのだろうと父をなじる。
フィリッポ二世は考えは違ってもロドリーゴは心が通じる信頼すべき唯一の男だったと悲しむ。ドン・カルロは父の悲しみや苦しみがわからない。
そこへ民衆が蜂起し、「ドン・カルロを渡せ」と迫る。
大審問官が民衆をなだめると、荒ぶった民衆は突如、神の許しを求めて跪く。
フィリッポ二世はまたしてもローマカトリックの力を見せつけられるのだった。
Don Carlo ( Parte 15 de 17 )
動画の6分30秒ごろはポーザ候ロドリーゴの最後の訴えと死、11分ごろ、皇帝登場。そして民衆の蜂起、大審問官。
それにしてもシラーはドイツ人だが、ヴェルディはローマカトリックのバチカンの本拠地イタリアでよくこれを書いたことと思う。フランドルを救え、というのはヴェルディが支持したイタリア統一戦線に置き換えたのだろうか。
民衆の蜂起も、「無敵艦隊」を誇ったヨーロッパ随一のスペイン皇帝も、ローマカトリックの力には及ばない、これを最後の数分で見事に書いた。

イタリアの指揮者、リッカルド・ムーティ
次回はフィナーレを。
6分30秒頃のところから最後まで、和訳、適当ですが・・・(ベッラ)
【ロドリーゴ】
おききください。もう時間がないのです。 私は自分に雷が向けられるようにしました。あなたさまは皇帝の敵ではなくなった。
「フランドルの扇動者」というのは私なのです!!
【カルロ】
そんなことを誰が信じようか!
【ロドリーゴ】
証拠は私が預かっていた書類、あなたのものです。これで明らかです。私には懸賞金がかけられました。
【カルロ】
全部父王に明らかにしよう。
【ロドリーゴ】
どうぞフランドルの民衆のために我慢なさってください。偉大なことを成し遂げるために。
新しい時代をあなたはもたらすことでしょう。
私はあなたのために死にましょう。
(暗殺者が発砲、ロドリーゴ倒れる。カルロ驚いて駆け寄る)
【カルロ】
死ぬのだって? 誰を狙った!!
【ロドリーゴ】
私をです。
【カルロ】
おお、神よ!
【ロドリーゴ】
おお、わがカルロさま、おききください。お母様がサンジュスト寺院であなたをお待ちです。すべてご存知です。
ああ、私は死にましょう。 カルロさま、私に手を!私は死にますが心は幸福です。
祖国スペインの救い主を生きていただくことが私に許されたのです。
どうか私をお忘れにならないでください。
あなたの手を私に! ああ、フランドルをお救いください。お別れです、カルロさま、ああ・・・。
(ロドリーゴ死ぬ、そこへ皇帝フィリッポ二世が登場。)
【フィリッポ二世】
私の子、カルロよ、剣を返そう。
【カルロ】
お下がりください。 あなたの手は血で穢れた! ああ恐ろしい、私たちは義兄弟の誓いをたてていたのです。
そして私のために死んでしまった!
【フィリッポ二世】
なんと不吉なことを
【カルロ】
あなたには息子はいません。私の心は友のところに・・・
【フィリッポ二世】
(ロドリーゴの死をみて)誰がこの男を私に返してくれるだろうか・・・
【民衆】
我々を潰そうとするものは容赦しない、慈悲の心は持たない!! 復讐に燃えるわれら民の前で!!
【レルマ伯爵】
皇子を解放しろと民衆が騒いでおります。
【フィリッポ二世】
いいだろう、扉を開くのだ!
【レルマ伯爵たち】
何を仰るのか!!
【フィリッポ二世】
言う通りにせよ! 私の望みだ。
【民衆】
なにもかもぶっ壊すのだ。容赦なしだ!!
震えるがいい!!
【エボリ公女】 (群衆の中にまぎれて)
どうぞ逃げてください!
【フィリッポ二世】
何を望んでいるのだ!!
【民衆】
皇子を渡せ!!
【フィリッポ二世】
ここにいる!
【大審問官】
何という冒涜だ!
【民衆】
大審問官さま!
【大審問官】
皇帝の前に跪け!神のご加護を受けた皇帝の前に! 地に伏せよ!!
【民衆】
主よ、お慈悲を!
【フィリッポ二世】
神に栄光を!
【全員】
皇帝陛下に栄光を!
【民衆】
どうかお慈悲を!