出張で釧路へ。滞在時間は20時間ほどだったのですが、仕事以外でのちょっとした出来事がありました。朝食後、せっかく釧路に来たのだからと、チェックアウト迄の時間で釧路川沿いを散策。釧路は3回目ですが、過去に目にしたことない、多数の漁船が停泊していて、実に壮観でした。
船にはそれぞれの地元が書かれていますが、パッと見ただけで、愛媛、境港、気仙沼、八戸、いわき・・・と全国各地の港から集まってきているのが分かります。「お~、さすが釧路。でも何でこんなに・・・?」と興味津々で川岸から眺めていると、船の中で一夜を明かしたと思われる漁師さんたちが、一人、二人と陸に上がってきます。ここで聞かずは、一生の損と、勇気を出して、一人の漁師さん(推定年齢63歳)に突撃。
(以下、R:漁師さん、I:わたし)
I:おはようございま~す。ちょっと良いですか。この船って、何獲るんですか?
R:サンマだよ。でもだめだね。獲れねえ。
I:サンマですか。なんかサンマ獲れなくなってるってききますけど、そうなんですね。
R:全然だめだよ。昔はちょっと道東に行けば獲れたんだけど、もう全然獲れないよ。もう、何百キロって行っても取れるか、どうか分かんねえよ。もう2,3日沖でてるけど、200カイリやらで公海が狭いから、ロシアの領海だって通んなきゃいけないんだよ。いつ捕まるか分からないよ。
I:怖いですね。そういえば、ロシアとの漁業協定の話もニュースに出てましたね。
R:昔は、漁業権買ってたけど、それも買ってねえからな。
I:それって、やっぱりウクライナの戦争の影響ですか?
R:ん?それとは関係ないよ。権利買ったって、獲れっかどうか分かんねえからね。
I:そんな状態なんですね。
R:もう温暖化ってやつどうにかして欲しいよ。もう、サンマ追かっけて日本列島分ぐらい移動しているよ。油代だけで大変だよ。完全な赤字操業だよ。
I:失礼ですが、親父さんは、どこからいらしたんですか?
R:気仙沼だ。(スーツ姿の私を見て)お兄さんはここの人?
I:東京から仕事でちょっと用があって来てるんです。すごい漁船がたくさん集まってて、壮観ですね。かっこいい~、と思って散歩してました。
R:そうだろ。もう全国から集まってるからな。あっちのでかいやつ(船)は、底引き網漁だな。きっとイワシ獲ってるはずだよ。ほら、向こう岸に見えるの(船)あるだろう。あれは、調査船だよ。
I:そうなんですね。この船(おじさんが出てきた船)のあれはライト?
R:そうだよ。あれはぱあーと羽みたいに開くのよ。群れが見つかったら、照らすんだ。
I:群れが見つかると良いですね。
R:もうホント温暖化どうにかして欲しいよ。
I:昨日、仕事先の人と食事したら、ここあたりでもブリが釣れるって言ってたんで、ちょっと私も驚きました。
R:そうだろ。気仙沼だって伊勢海老が取れるぞ~
I:伊勢海老ですか~。親父さんは、しばらく釧路に居るんですか?
R:分かんねえけど、何日かはいるんじゃねえかな。
I:いろいろ教えてもらってありがとうございました。お気をつけて、お仕事なさってください。
R:おー、ありがとな~。
ということで、5分程度の歓談でしたが、釧路ならではの実に楽しい会話でした。
余談ですが、同じ船から出てきた若手漁師さん二人(30歳代前半にお見受け)は、ゴルフバックを持っていて、地元の人らしき人がバンでピックアップ。そっか、停泊中は若手漁師はゴルフに行くのか~と、こちらも妙に納得。
こういう出会いや社会勉強はリモート会議じゃ、あり得ないんだよね~。
2022年9月30日