2月21日(土)バービカンホールにて
日本からの引っ越し公演をしている「Shun-kin」の最終公演に行って来ました。谷崎潤一郎の「春琴抄」をベースにした演劇です。過去に、原作を読み、映画(誰の監督作品か忘れました)も見ましたが、話のエキセントリックさにちょっと趣味の違いを感じていました。今回は、深津絵里が出ているという理由だけで、ミーハーな私は「それなら行く」と会社の同僚について行きました。(写真は日本公演のポスターの転載)
聞くところによると、英国で相当有名らしいSimon McBurneyよいう人が演出を担当していることもあってか、1ヶ月近くほぼ毎日行ったこの公演も、毎回ほぼ満員という話でした。昨夜も満員で、ぱっと見、四分の一くらいが日本人でした。日本語上演(英語の字幕)なので、安心して見ていられます。
作品は素晴らしいものでした。明治時代の商家という環境における、純粋であり、倒錯もした佐助と春琴の愛情が、俳優と演出が噛み合って、緊張感の中に美しく表現されていました。
個人的には、晩年の佐助役を演じた俳優さんが素晴らしいと思いました。なぜか、彼の正坐姿に打たれました。先日見た「阿弥陀堂だより」のお梅さんの正坐姿もはまってましたが、昨日の正坐も型がはまっていた。過去の人生観、人間観、愛情が全て凝縮されていたような気がしました。
あと、ロンドンで見るからでしょうか。三味線の作法、人々の身のこなしなどなど、いろんなところに日本的な「美」を感じます。日本で見るとそこまで意識しないかもしれません。こうした「美」は、今の日本にはだんだん無くなってきているかもしれません。
ちょっと疑問を感じたところが一つだけあります。本劇は、今の日本で「春琴」のラジオドラマを収録しているという舞台設定なのですが、ナレーター役の中年女性が若い恋人と携帯電話でやりとりする場面は余計な気がします。春琴と佐助の愛の形は現代にも見られるという、過去と現代の継続性を表していると思うのですが、ちょっと蛇足に感じてしまったのは私だけでしょうか。
ちなみに、隣に座っていた英国人は、終わると"absolutely amazing!!!"と言っておりましたが、この作品を外国人が、どう理解したのか、とても興味があります。
(★★★★★)
Shun-kin
Complicite / Simon McBurney
21 February 2009 / 19:45
Barbican Theatre
Inspired by the work of one of the most important Japanese writers of the twentieth century, Jun'ichiro Tanizaki , Shun-kin tells the tale of devotion, passion and power, where beauty is unforgiving and love is blinding.
Moving between the neon glow of Japan and the vanished world of Meiji, Shun-kin discovers the moments of light in a world of darkness. Emerging from traditional Japanese culture, this powerful performance shows us just how close beauty and violence can really be.
◇Timesの批評
◇終演後のあいさつ。白い衣裳が深津絵里
◇Simon McBurney(中央)を交えて
日本からの引っ越し公演をしている「Shun-kin」の最終公演に行って来ました。谷崎潤一郎の「春琴抄」をベースにした演劇です。過去に、原作を読み、映画(誰の監督作品か忘れました)も見ましたが、話のエキセントリックさにちょっと趣味の違いを感じていました。今回は、深津絵里が出ているという理由だけで、ミーハーな私は「それなら行く」と会社の同僚について行きました。(写真は日本公演のポスターの転載)
聞くところによると、英国で相当有名らしいSimon McBurneyよいう人が演出を担当していることもあってか、1ヶ月近くほぼ毎日行ったこの公演も、毎回ほぼ満員という話でした。昨夜も満員で、ぱっと見、四分の一くらいが日本人でした。日本語上演(英語の字幕)なので、安心して見ていられます。
作品は素晴らしいものでした。明治時代の商家という環境における、純粋であり、倒錯もした佐助と春琴の愛情が、俳優と演出が噛み合って、緊張感の中に美しく表現されていました。
個人的には、晩年の佐助役を演じた俳優さんが素晴らしいと思いました。なぜか、彼の正坐姿に打たれました。先日見た「阿弥陀堂だより」のお梅さんの正坐姿もはまってましたが、昨日の正坐も型がはまっていた。過去の人生観、人間観、愛情が全て凝縮されていたような気がしました。
あと、ロンドンで見るからでしょうか。三味線の作法、人々の身のこなしなどなど、いろんなところに日本的な「美」を感じます。日本で見るとそこまで意識しないかもしれません。こうした「美」は、今の日本にはだんだん無くなってきているかもしれません。
ちょっと疑問を感じたところが一つだけあります。本劇は、今の日本で「春琴」のラジオドラマを収録しているという舞台設定なのですが、ナレーター役の中年女性が若い恋人と携帯電話でやりとりする場面は余計な気がします。春琴と佐助の愛の形は現代にも見られるという、過去と現代の継続性を表していると思うのですが、ちょっと蛇足に感じてしまったのは私だけでしょうか。
ちなみに、隣に座っていた英国人は、終わると"absolutely amazing!!!"と言っておりましたが、この作品を外国人が、どう理解したのか、とても興味があります。
(★★★★★)
Shun-kin
Complicite / Simon McBurney
21 February 2009 / 19:45
Barbican Theatre
Inspired by the work of one of the most important Japanese writers of the twentieth century, Jun'ichiro Tanizaki , Shun-kin tells the tale of devotion, passion and power, where beauty is unforgiving and love is blinding.
Moving between the neon glow of Japan and the vanished world of Meiji, Shun-kin discovers the moments of light in a world of darkness. Emerging from traditional Japanese culture, this powerful performance shows us just how close beauty and violence can really be.
◇Timesの批評
◇終演後のあいさつ。白い衣裳が深津絵里
◇Simon McBurney(中央)を交えて