その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

なんてたってブロムシュテット・・・N響C定期/ ブロムシュテット/ チャイコフスキー交響曲第5番ほか

2014-09-21 14:34:47 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 9月になり、いよいよコンサートシーズンの開幕です。私は昨年と同じD席ながらも中央の後ろから右袖側のゾーンに席替えをし、舞台に近づきました。N響は昨年と同じく、9月は全てブロムシュテットさんが振ります。御年87歳とのことですから、この日、満員となったNHKホールの聴衆を含めて、もしかしたら最高齢かもしれません。

 全く年齢を感じさせず、颯爽と現れたブロムシュテットさんを聴衆は暖かい拍手で迎えます。その暖かい拍手の余韻が残る中で始まったモーツァルトの第40番は、端正で瑞々しく、何とも見通しの良い演奏でした。淡々としていると言えば淡々としているので、物足りなく思う方もいるかもしれませんが、曲の美しさを音楽そのものに語らせるという音楽つくりです。

 休憩後のチャイコフスキー交響曲第5番では、そのスタイルが更に強く出ていたと思います。「大仰に感情を吐露するのではなく、節度を保った表現のなかから豊かな情感や緊密な音のドラマを紡ぎ出すという方法論」と飯尾洋一氏がプログラムで紹介していますが、まさにその通りでした。

 そうかと言って、気持ちが入っていないわけではありません。ブロムシュテットさんのコントロールとされつつも、曲・作曲家に対する愛情が目一杯折り込まれた棒に、N響の皆さんも集中力100%で全力でぶつかる見ごたえ、聴きごたえたっぷりの演奏でした。弦・管ともにパワフルな演奏で、ちょっと金管が勇み足というか荒れるようなところもありましたが、むしろN響はこのぐらいしてくれた方が良いと思います。広いNHKホールの隅々にまで響き渡るスケール感でした。

 きっと、こういう抑制された中での熱い演奏というのは、なかなか録音では伝わらないかもしれません。より骨太ではありますが、ハイティンクさんの音楽も似たようなところがありました。これこそが生のコンサートならではの醍醐味でしょう。終演後の割れんばかりの拍手が、同じ思いを示していたと思います。


≪デング熱騒ぎで閉演中の代々木公園の影響か、ずいぶん人影少ないNHKホール前の通り≫



第1788回 定期公演 Cプログラム
2014年9月20日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm

NHKホール モーツァルト/交響曲 第40番 ト短調 K.550
チャイコフスキー/交響曲 第5番 ホ短調 作品64
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット


No.1788 Subscription (Program C)
Saturday, September 20, 2014 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)

NHK Hall

Mozart / Symphony No.40 g minor K.550
Tchaikovsky / Symphony No.5 e minor op.64

Herbert Blomstedt, conductor
コメント (5)
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