その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

行動展 @国立新美術館

2014-09-27 21:16:32 | 美術展(2012.8~)


 Miklosさんからご招待券を頂き、国立新美術館へ行動美術協会が主催する「行動展」という展覧会に足を運びました。行動美術協会というのは初めて知ったのですが、「1945年、敗戦後に設立された公募美術団体で、戦後「旧二科会が、旧体制のまま再建されることに反対して、新しい時代に適合する美術団体をめざして結成された」(Wikiより)そうです。その行動美術協会が毎年秋に開いているのがこの行動展です。

 国立新美術館は丁度、別室で「オルセー美術館展」を実施中でヒトヒトの混雑ぶりでしたが、こちらの行動展は現代美術ということもあってか、ゆっくりマイペースで鑑賞できる、本来あるべきである、静かで落ち着いた美術空間でした。



 展示作品は今年の公募入賞作品や会員達の作品だちですが、現代風のシュール系な絵やデザイン絵が目につきました。普段は、それこそ「オルセー美術館展」のように過去の画家の作品を見ることが多いのですが、今回、久しぶりに「今」の画家さんたちの絵を見て、また違った刺激・エネルギーを感じたのが印象的でした。絵から「時代の空気」「時代のエネルギー」を感じるんですよね。きっと昔の絵も、制作当時はその時代の空気を放っていたのでしょうが、時とともに薄れて行くのでしょう。
 
 今回は、Miklosさんのご友人である広友正嗣氏の絵を中心に鑑賞しました。


広友正嗣《ラテンの海苔》

 ユニークでしょう?前衛雑誌の表紙にもありそうな、ナンセンス・ユーモアたっぷりで、私の好きなノリです。タイトルからして「ラテンの海苔」です。離れて全体像を見ても、近くでディテールを追っても、どちらも楽しく、結構な時間を前で過ごさせてもらいました。こまわりくん、フセイン大統領、アリと猪木、スーパーマン・・・現実と架空の人たちが交じり合っているのも面白く、一つ一つの人物を追っかけてました。あのグループダンスも「チャーリーとチョコレート工場」の大人子供達の踊りを思い出して、笑ってしまいました。シュールでコミカルなところが何とも好みです。

 ちょっと一部を拡大紹介いたしますと・・・


《絵の左下部分》


《左部分中央の無力となったフセインさん》


《フセインさんの上部のキューピーさん。その上にはコマワリ君も》


《右手中央にはアリ対猪木の格闘技世界一決定戦》

 もちろん、展示はこういうユーモアたっぷりの絵ばかりではありません。現代絵画ならではなの様々な形式、メッセージを持った展示群になっています。通して見てみると、歴史のふるいにかけられた「名画」と比べると完成度、技術においては及ばないまでも、「今」に生まれた絵ならではの新鮮で力強いメッセージを感じます。歴史の霞ばかり食べていてもダメだなあとの想いを強くしました。


 ※行動展は9月29日までです。


 2014年9月23日
コメント
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