その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

栗原 昇 『図解 わかる! 経済のしくみ』 ダイヤモンド社

2014-09-04 21:24:03 | 


 サラリーマン歴も20年を超えてしまった「慣れ」なのか、それともスマフォ、Webの記事斜め読みが癖になってしまったのか、それとも加齢により気が短くなったのか、最近どうもいけない。新聞、雑誌等の記事の読み方が滅茶苦茶「雑」なのである。パーッと斜めに読んで分かった気になっている。昔は一つ一つの記事の意味合いや背景、ロジックを丁寧に読んでいたつもりだけど、近頃はじっくり読むことがやたら面倒くさい。

 これはいかんということで、最近、分かったつもりになっていることでも、もう一度基礎に戻ってみようと意識している。手始めに、経済「学」から始めることにした。チャートと図が両開きの1/3を占める、経済入門の入門の本として、ブックオフで100円で買った。昔は、この手の図解で分かった気にさせる本は「絵本」扱いして、馬鹿にしていたのだが、感覚的に理解できるし、文章が少ないので、無駄な文章はほとんどないという点において、格好よりも実だなと見直した。

 本書は、マクロ経済について、基本的な仕組み、政治との関係性、金融との関係性、世界経済における日本など、非常にわかりやすく書かれている。「えー、そうだったの!」とサプライズとなるような未知の情報は殆ど無かったが、「そういえば、そうだったよな」「こんな指標、最近は完全に飛ばしていたなあ~」などと振り返りにもってこいの本であった。新しい知識を身につけるより、古びて、記憶の底に沈殿している知識の棚卸をしたほうが、一定の年齢を超えてなお賢くなろうとするためによっぽど効率的かもしれない。

 2010年発刊なので、アベノミクスについて触れられていないのは残念だったが、こればかしは致し方ない。書棚には難しい本を取っておくよりも、パッと取り出して、あやふやなところをリファレンスできるこのような本の方が有益だろう。



(もくじ)
1 経済の基本的なしくみ―経済のメカニズムと基本的な知識についてまず理解しておこう(そもそも「経済」とはなんだろう?
経済成長とは何か? ほか)
2 産業と経済の関係は?―産業構造や企業経営と経済の密接な関係を見てみよう(産業構造はどう変化してきたか?
産業の空洞化とは、どういうことか? ほか)
3 政治と経済の関係は?―行政活動が経済に果たす複雑で微妙な役割についても見ておこう(国が経済に果たす役割とは?
地方自治体が経済面で果たす役割は? ほか)
4 金融と経済の関係は?―経済を動かしているカネの流れとしくみについて押さえておこう(そもそも金融のしくみとは?
日銀で果たしている役割とは? ほか)
5 世界経済と日本の課題―激動する国際経済と日本経済が直面する課題について見ておこう(国際通貨制度の歩みを見ておこうWTOの役割は? ほか)


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