その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ウフィツィ美術館展 @東京都美術館

2014-12-04 20:36:20 | 美術展(2012.8~)


 いつも通り会期終了が迫ったこの時期に、ウフィツィ美術館展を見に東京都美術館を訪れました。ウフィツィ美術館には2010年5月にロンドンからの週末フィレンツェ旅行の時に訪れたことがあります。フィレンツェの中でも一際印象に残ったこの美術館の展覧会が日本で行われるなんて、日本の展覧会市場ってホントにすごい吸引力ですね。(ちなみに、今回初めて知ったのですが、「ウフィツィ」とはイタリア語のUfficio(英語のオフィス)から来ているとのことです)


《2010年5月訪問時のウフィツィ美術館の様子》

 流石に、超有名な《春》と《ヴィーナスの誕生》来日していませんが、サンドロ・ボッティチェリの《パラスとケンタウロス》を目玉作品として、イタリア・ルネッサンス期の作品が集まっています。

 これだけまとまってルネッサンス期の作品を鑑賞するのは久しぶりだったので、興奮してしまいました。鮮やかな色合い、細部に至るまで丁寧で明確な描写、安定感があって迫力ある構図、イエス・キリストの受難や聖母子像、受胎告知といった定番ではあるけど神聖なテーマに、強烈に惹きつけられ、一枚一枚に見入ってしまいます。展示作品は75点なのでそう多くはないのですが、重厚な作品群の前に立つと鑑賞に時間もかかるし、かなり疲れます。

 フィレンツェでは教会にあるフレスコ画の独特の温かみある絵に痛く感動したのですが、フレスコ画も何枚かあったのは驚きでしたし、嬉しかった。

 目玉のボルティテェリの作品群には、丸みを帯びた肉体表現や、放心したような独特の人物の表情など、独特の個性が感じられます。《パラスとケンタウロス》は、現地で一度見ているはずなのですが、《ヴィーナスの誕生》の隣にあったせいか、上の写真には写っているのですが、記憶には残っていませんでした。改めて観ると、その描写や含意など作品が放つ魅力に引き付けられます。

 この手の展覧会にしては不思議に空いていて、ゆっくり見られたのも良かったです。当地よりも部屋の照明をぐっと落とした暗めの空間の中で、絵にスポットライトが当たる様は、絵が光を放っているようにも見えて神秘的で神々しい雰囲気を醸し出していました。出口近くで上映していたウフィツィ美術館の紹介ビデオも現地の雰囲気を知るのに良かったと思います。

 12月14日日曜日までです!


サンドロ・ボッティチェリ 《東方三博士の礼拝》


ドメニコ・ギルランダイオ 《聖ヤコブス、聖ステファヌス、聖ペテロ》
コメント (4)
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