
チューリヒには2011年11月にロンドンからの週末1泊旅行で一度訪れたことがあります。その際にチューリッヒ美術館にも足を運びました。西欧の美術館ではどうしてもルネッサンス期を中心とする中世美術のコレクションが膨大で、それらに目を奪われがちですが、チューリッヒ美術館は近代絵画の充実したコレクションが新鮮でした。

《2011年11月訪問時の美術館外観》
本展覧会はその同館ならではの印象派から現代にいたるまでの名画を揃え、西洋近代絵画史を概観する展覧会です。モネ、セザンヌ、ルソー、ドガ、クレー、ムンク、ピカソ、ミロ、ダリ、マグリット・・・、意地悪くいえば、名作つまみ食い的な趣もあるのですが、美術史の教科書に必ず出てくるような画家たちの作品をコンパクトに通しで見る機会はなかなかないと思います。
私のお気に入り3点は以下のとおりでした。ちょっと画像ファイルの取込み元の違いでサイズがあってませんが、ご容赦を。
入館して最初のコーナーがセガンティーニ。つかみとしては私には最高でした。今年5月に大原美術館で見た《アルプスの真昼》が今でも記憶に残りますが、この絵も繊細な色使いと精緻なタッチが印象的でした。

ジョバンニ・セガンティーニ 《虚栄(ヴァ二タス)》 77*124
シャガールの絵や版画は何枚も見たり、頻繁に見ると飽きがちなのですが、たまに見ると良いですね。この絵は、シャガールが亡き妻との日々を思い出して描いたものらしいのですが、シャガールらしいほのぼのとした夢想的な世界の中で、画家の愛する妻への暖かい想い出が滲み出ています。

マルク・シャガール 《婚礼の光》123*120
表現主義のコーナーにベックマンの作品が数点展示されていました。こちらは、楽屋で出番を待つ女優さんたちを描いたこの作品には、力強い線と肉感あふれる人物から強烈な迫力を感じました。

マックス・ベックマン 《女優たち》160*120
まあ、いつものことですが会期末の訪問でしたので、12月15日までの開催です。