その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響 1月定期Cプロ/ 指揮:トゥガン・ソヒエフ/ ベルリオーズ 幻想交響曲 他 ~私的に次期主任指揮者候補~

2016-01-17 12:08:36 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)
 先週の山田和樹さんに続きいて若手指揮者の登場です。今回は、三十代半ばにして、ベルリン・ドイツ交響楽団の首席指揮者、ボリショイ劇場の音楽監督などの主要ポストを務めるソヒエフさん。一昨年初めて聴いた時、とても印象的で今回も楽しみにしていました。颯爽と現れたソヒエフさんは、若手ながらも既に風格を感じさせるものです。

 一曲目のブラームスの協奏曲は、(きっと)生で聴くのは初めて。チェロの優美な音が耳に心地よいです。ただ、恐れていた通り、その音色とともに、私は一週間の疲れがどっと吹き出し、舟漕ぎ状態。「いかん、いかん」と思いつつも逆らえず、第2楽章以下は朦朧とした意識の中のBGMにしてしまいました。ごめんなさいです。

 二曲目はN響で何度も聴いているベルリオーズの幻想交響曲。ずっと前、デュトアさんの指揮で聴いて、なんと色彩豊かな美しい音楽なのかと感嘆しましたが、今回の演奏もまた違った意味で印象深いものでした。

 ソヒエフさんは、オペラも精力的に振っておられるせいか、音楽がドラマチックというか、描写的というか、鮮明に音楽が描く情景が瞼に浮かんできます。まるでオペラを見ているかのよう。ただ、その表現は決して、必要以上にアクセントをつけたりとか、盛り上げたりしているという風ではなく、自然体。

 また、比較的スローなテンポに感じましたが、そのせいか、各パートの聞かせどころや隠し味的なところが、明確に浮き出ていて、聴いていてとても面白い。そして、その各パートが合わさって音楽を奏でることで、この曲のオーケストレーションの素晴らしさも自然と感じさせてくれるものでした。

 N響の演奏もソヒエフさんの思いにしっかり応えてました。いつも思いますが、N響は、幻想交響曲には非常に自信を持っていて演奏している印象を受けます。その土台の上に、指揮者が料理を加えていく、そんな感じです。

 終演後の拍手に応えるソヒエフさんのふるまいも、きびきびしていて気持ちが良いです。ちょっとネゼ=セガンさんに似て感じかな。私的には、気が早いですが、5年後か10年後かわかりませんが、ポスト・パーヴォの次期主任指揮者候補として、強く推薦したいなあ。



第1827回 定期公演 Cプログラム
2016年1月16日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール

ブラームス/ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 作品102
ベルリオーズ/幻想交響曲 作品14

指揮:トゥガン・ソヒエフ
ヴァイオリン:フォルクハルト・シュトイデ
チェロ:ペーテル・ソモダリ


No.1827 Subscription (Program C)
Saturday, January 16, 2016 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall

Brahms / Double Concerto for Violin and Cello a minor op.102
Berlioz / Symphonie fantastique op.14

Tugan Sokhiev, conductor

Volkhard Steude, violin
Péter Somodari, cello
コメント (2)
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