その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

映画 「幕が上がる」  (監督 本広克行、 2015)  ~期待を大きく上回る佳作~

2016-01-02 19:44:54 | 映画


 年末にDVDで視聴。とある演劇部の高校生たちの成長物語。平田オリザさんの原作ということと、ももクロが主演ということで、期待半分、不安半分で借りてみたのだが、私のツボにはまる傑作だった。アイドル映画どころか、演劇をテーマにしたスポ根映画である。

 主演のももいろクローバーZは、私が3年前に帰国した時はグループ名すら知らず、職場の同僚たちからは恐竜を見るような目で見られたのだが、いまだ個々のメンバーは全くわからない。が、本映画での各人の自然で伸び伸びとした演技にはとっても好感が持てた。いまどきの女子高校生があんな感じなのかどうかは知らないけど、演技になんら違和感はないし、はつらつとして良かった。

 映像を引きしめていたのは、新任の高校教師役で彼女たちを指導することになる吉岡先生役の黒木華。CFで見たことあるぐらいだったが、存在感のあるいい女優さんですね。若きころの田中裕子に面影が似ていて、派手な容姿ではないのだが、演技や台詞回しの一つ一つに重みがある。これから追いかけてみたい女優さん。

 演劇がどう成り立っているのかという「演劇入門」の映画版でもある。脚本、演出、俳優・・・それぞれの役割が、結集されて一つの舞台を作っていく。高校の演劇コンクールを舞台として、いくつかの高校生演劇のショットが流れるが、それらも演劇表現の多様性を表し、また映画のリアリティを高めていた。

 大泣きすることはないのだが、場面場面で涙線が緩むこと数多し。自信を持ってお勧めしたい。

スタッフ
監督 本広克行
原作 平田オリザ
脚本 喜安浩平
音楽 菅野祐悟

キャスト
百田夏菜子 高橋さおり(さおり)
玉井詩織 橋爪裕子(ユッコ)
高城れに 西条美紀(がるる)
有安杏果 中西悦子(中西さん)
佐々木彩夏 加藤明美(明美ちゃん)
黒木華 吉岡美佐子(吉岡先生)
ムロツヨシ 溝口先生
清水ミチコ さおりの母
志賀廣太郎 滝田先生
コメント
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