ITに悩んでいる経営者向けに書かれたIT戦略についての本。私の仕事に関係するので、参考になればと思い手に取ってみた。
まえがきでも触れられているが、海外企業に比べ、日系企業はITの活用が上手いとは言えず、それが国際競争力の差となって表れてきているのは事実だと思う。いまだ、業務効率化、コスト削減の視点でITを使う発想が主で、「攻めのIT」として事業の競争力の源泉やビジネスモデルの中心に置く企業は稀だ。そんな現状に一石を投じる本書の問題意識には大いに賛同できる。
その一方で、本書のコンテンツについては物足りなさが残った。事例研究も短くまとめた分、分析が深いとは言えず、処方箋も具体的というには及ばない。なんとも、切れの悪い、後味の良くない一冊になってしまっている。現場の生々しさ、ホントに苦労しているところや悩んでいるところに触れられてない。コンサル会社がまとめるとこうなってしまうのかなあという思いが残ってしまう。
書かれていることは極めてまっとうだし、考え方の整理、枠組みの設定には有用だ。読まれるかどうかは、ご自身で手に取り、パラパラめくって判断されてほしい。
第1章 IT化による製品・サービスのイノベーション
第2章 業務プロセスとビジネスモデルのイノベーション
第3章 日本企業が乗り越えるべき壁
第4章 実証実験のすすめ
第5章 イノベーションを創発する創造空間
第6章 「攻めのIT戦略」の実現に向けて