レンブラントなどの明暗法を用いたオランダ絵画が大好きなのですが、その元祖とも言えるカラヴァッジョの作品を中心に集めた特別展に足を運びました。
フェルメールほど少なくは無いですが、カラヴァッジョの作品は確認されているものは全世界で60点強ぐらいしかないとのこと。そのうちの11点を集めたという、力の入った展覧会です。
カラバッチョとその画風を取り入れた「カラヴァジェスキ」の絵を加え、50数点が「風俗画」「静物」「肖像」「光」「斬首」と言ったテーマごとに展示されています。明暗法好きの私には「光」の展示がため息ものでした。「エマオの晩餐」、「エマオの晩餐」、「煙草を吸う男」など、黒地の背景が醸し出す静謐さ、その背景から浮き出るように明るく照らされた人物たち。絵の魔力に吸い寄せられそうになります。
《カラヴァッジョ「エマオの晩餐」、1606 年、油彩/カンヴァス、ミラノ、ブレラ絵画館》
《ヘリット・ファン・ホントホルスト「キリストの降誕」、1620 年頃、油彩/カンヴァス、ウフィッツィ美術館》
《ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「煙草を吸う男」1646 年、油彩/カンヴァス、東京富士美術館》
今回、世界初公開という《法悦のマグダラのマリア》には、その妖気的な表情に目を奪われます。私には法悦(神の教えで極上の悦びに浸っている)というよりも、より性的なエクスタシーに近いものに感じられました。目を凝らさないと見えてこない、黒の背景に埋め込まれた十字架も妖気さを加えています。
《カラヴァッジョ「法悦のマグダラのマリア」油彩・カンヴァス、個人蔵》
日曜日の訪問で会場は混み合ってはいましたが、人の頭越しにしか鑑賞できないような環境ではありませんでしたので、良い方だったと思います。12日までの開催ですが、未見で興味のある方は無理を押してでも、お出かけしたほうがよいかと思います。
2016年6月5日訪問