その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

都響 第809回 定期演奏会Aシリーズ 指揮 大野和士、スクリャービン 「法悦の詩」他

2016-06-11 20:47:26 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 都響会員の友人からチケットを譲り受け、都響の定期演奏会へ潜入。

 この日のプログラムは、何とも魅力的。ブリテン2曲、ドビュッシー、スクリャービンといずれも19世紀後半から20世紀の音楽を音楽監督大野和士さんが指揮しました。

 最も印象的だったのはイアン・ボストリッジさんが独唱したブリテンの「イリュミナシオン」。 ボストリッジさんを聴くのは初めてでしたが、強烈な印象が残りました。長身で細身の体格、面長の顔立ちは、エル・グレコの絵に登場しても全く違和感ない外見。その歌声は、芯が通っていて、陰影があり、実に深みがあるテノールでした。声量の大きさでは無く、歌の表現力で聴かせるタイプ。弦楽器のみで構成する都響のアンサンブルとの調和も良く、胸に沁みわたるパフォーマンスでした。是非また聴いてみたいテナーです。

 「イリュミナシオン」以外も、演奏機会はさほど多くはないであろう曲でしたから、それぞれ楽しみました。「法悦の詩」のクライマックスの爆発的な大音響なんかは、生演奏ならではのダイナミックさです。ただ、正直言うと、私が聴き慣れていないためかもしれませんが、「イリュミナシオン」の以外は曲は胸に迫る感動は味わえませんでした。全般的に、演奏が淡白((「4つの海の間奏曲」)だったり、立体感がもう一つ(「法悦の詩」)と感じられました。演奏中は楽しんでいても、ホールを後にすると綺麗に流れ去ってしまう。そんな感覚です。ボストリッジが強烈すぎたのかな。

 ユニークなプログラムですが、東京文化会館はほぼ満員の盛況ぶりでした。都響の定期会員さんはとってもお行儀が良い感じ。気持ちの良い演奏会でした。



第809回 定期演奏会Aシリーズ
日時:2016年6月8日 19:00開演(18:20開場)
場所:東京文化会館ホール

指揮/大野和士
テノール/イアン・ボストリッジ *

曲目

ブリテン:歌劇『ピーター・グライムズ』より「4つの海の間奏曲」op.33a
ブリテン:イリュミナシオン op.18 *
ドビュッシー:《夜想曲》より「雲」「祭」
スクリャービン:法悦の詩 op.54 (交響曲第4番)


Subscription Concert No.809 A Series

Date: 8. June 2016, 19:00 (18:20)
Hall: Tokyo Bunka Kaikanseat

ONO Kazushi, Conductor
Ian BOSTRIDGE, Tenor *

Britten: Four Sea Interludes, op.33a from "Peter Grimes"
Britten: Les Illuminations, op.18 *
Debussy: Nuages and Fêtes from "Nocturnes"
Scriabin: The Poem of Ecstasy, op.54 (Symphony No.4)
コメント
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