その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響 6月定期Aプロ/ 指揮:ウラディーミル・アシュケナージ/メンデルスゾーン 交響曲第3番

2016-06-14 21:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 シーズンの最終月を締めるのはアシュケナージさん。小柄で、せっかちに動く彼の所作を眺めていると、どうも子供の時に見た人形劇を思い出して、失礼ながら微笑んでしまう。

 この日のプログラムは前半2曲が全く初めて聴く曲で、後半のメンデルスゾーンも10年以上は聴いていない曲。

 冒頭のバラキレフ「イスラメイ」(本来、カフカス地方に住むカバルド人やアディゲ人が踊るテンポの速い民俗舞曲(プログラムの解説より))は、中央アジアの風の匂いを感じるような音楽。小気味よいリズムと変化のあるテンポが爽快で、演奏会のファンファーレに相応しい。

 続いては、チャイコフスキーの協奏的幻想曲。名前は幻想曲だが、実質はピアノ協奏曲。私は、曲もピアノ独奏のルステム・ハイルディノフさんも初めて。ハイルディノフさんのピアノは、とっても軽快で端正。癖のない自然な演奏スタイルが好感度大。曲はチャイコフスキーらしい親しみやすい音楽で、初めてでも馴染みやすい。アンコールはブルメンフェリストの「左手のための練習曲」。本当に片手で弾いているの?と思うほどの豊かな表現だった。

 休憩後はメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」。むき出しの自然、ごつごつした岩山、打ちつける風雨という私のスコットランドのイメージとは、必ずしも一致しない曲風だけどが、しっかり構築された良い音楽。N響の弦と管の美しいアンサンブルが曲とマッチしていた。アシュケナージさんの指揮姿は、決して格好の良いものではないが、N響から一杯に音を引き出している印象がある。終演後は、8割ほどの入りだったホールから大きな拍手を貰っていた。

 満足度は高かったのだけど、ホールを出ると代々木公園のベトナム祭りが続行中。余韻に浸りたい時に、無秩序な爆音の洪水に身をさらすのは、本当につらい。イベントには全く罪は無いのだけど、NHKホールはホールそのものに加え、この周囲の雑踏、雑音が鬼門だ。何とかならんのだろうか?渋谷行きのバスにお金払って乗るしかないか?


第1838回 定期公演 Aプログラム
2016年6月12日(日) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール

バラキレフ(リャプノーフ編)/東洋風の幻想曲「イスラメイ」
チャイコフスキー/協奏的幻想曲 ト長調 作品56*
メンデルスゾーン/交響曲 第3番 イ短調 作品56「スコットランド」

指揮:ウラディーミル・アシュケナージ
ピアノ*:ルステム・ハイルディノフ


No.1838 Subscription (Program A)
Sunday, June 12, 2016 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall Access Seating chart

Balakirev / Liapunov / “Islamey”, oriental fantasia
Tchaikovsky / “Fantaisie de concert” G major op.56*
Mendelssohn / Symphony No.3 a minor op.56 “Schottische”

Vladimir Ashkenazy, conductor
Rustem Hayroudinoff, piano*


《ベトナム祭りですごい人で》


《アンコール曲です》
コメント
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