「の・ようなもの」(監督 森田芳光)の35年後を描いた作品。「の・ようなもの」で助監督を務め、その後も森田監督と一緒に仕事をした杉山泰一が監督。落語家に入門した若者の日々がコメディ要素も含みながら淡々と描かれる。
森田監督が急逝された後に、森田監督に所縁のある人たちが集まって作った映画ということで、映画そのものから哀悼の気持ちがにじみ出ていると思うのは私だけだろうか?物語も、師匠の十三回忌一門会に向け、弟子たちが師匠を偲ぶというお膳立ても偶然ではないだろう。暖かい人の気持ちや人の縁に思いを感じる映画だ。
ただ、むか~し「の・ようなもの」を観ている私には、この映画ならではの懐かしさ、面白さが理解できるのだけど、初めての人にはどうだろうか?起承転結はあるものの、スローで起伏の小さい展開は、少々観ていてつらいかもしれない。悪く言えば、「毒にも薬にもならない」と言えなくもない。
主演の松山ケンイチが素朴で真面目な若者を好演。確か、4年前に観た「僕たち急行 A列車で行こう」(監督 森田芳光)も似たようなまったり映画だったが、彼にはこういう役柄がよく似合う。
キャスト
松山ケンイチ:出船亭志ん田
北川景子:夕美
伊藤克信:出船亭志ん魚
尾藤イサオ:出船亭志ん米
でんでん:出船亭志ん水
野村宏伸:出船亭志ん麦
鈴木亮平:蕎麦屋の出前
ピエール瀧:渡辺孝太郎
佐々木蔵之介:みやげ物屋の店主
塚地武雅:銭湯の男
宮川一朗太:弁当屋のオジちゃん
鈴木京香:都せんべい女主人
仲村トオル:居酒屋の主人
笹野高史:床屋の主人
内海桂子:秋枝婆さん
三田佳子:斉藤女会長
スタッフ
杉山泰一:監督
堀口正樹:脚本
大島ミチル:音楽