その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

終幕を感じる寂しさ/ 宮本輝 『長流の畔: 流転の海 第八部』 (新潮社、2016年)

2016-07-24 08:25:15 | 


 学生時代から読み続けてきた『流転の海』シリーズ。いよいよ次巻が最終巻という。時代は昭和38年、確実に戦後日本の一つの時代の変わり目を迎えている中、主人公松坂熊吾も66歳となり人生の晩秋を迎えている。

 これまでと同様に本巻においても、変わる日本・世界の背景にして、主人公のダイナミックな思考と行動力、主人公を巡る多様な市井の人々の人生、夫々が織り込まれて物語は進んでいく。大きな社会の潮流と人のディテールが絶妙に組み合わされ、不思議なリズム感で進行するこの物語を二十年以上追いかけてきた。その終わりが近づいている。

 どういう結末で終わるのか?楽しみというよりも、寂しさを感じてしまう一冊である。
コメント (2)
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