その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

原田マヤ 『楽園のキャンヴァス』 (新潮文庫 2014)

2016-07-14 22:14:54 | 


 2人の美術研究家が、伝説の美術収集家からアンリ・ルソーの絵に酷似した作品の鑑定を競わされる。往年のルソーと鑑定の進行が交互に描写され、物語は、過去と現実が交錯しながらミステリータッチに展開する。

 絵画というテーマの新鮮さ、スリリングなストーリー展開、ルソーやピカソといった歴史的画家たちの登場など、面白さには事欠かない。ページをめくる手が止まらない。アマゾンのポイントが高いのも納得。

 筆者の絵に対する愛情もにじみ出ている。一枚の絵をこう見るのね、と勉強になるところも多かった。

 個人的に、アンリ・ルソーの絵は昔から好きなので、フィクションとは言え、人間ルソーの生活を追うのも楽しめた。あんな素朴な絵を描く人だから、きっと本書で描かれている純朴なルソーは、当たらずとも遠からじというところだろう。

 絵好きの人にはもちろんのこと、そうでない人にもお勧めしたい。
コメント
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