2人の美術研究家が、伝説の美術収集家からアンリ・ルソーの絵に酷似した作品の鑑定を競わされる。往年のルソーと鑑定の進行が交互に描写され、物語は、過去と現実が交錯しながらミステリータッチに展開する。
絵画というテーマの新鮮さ、スリリングなストーリー展開、ルソーやピカソといった歴史的画家たちの登場など、面白さには事欠かない。ページをめくる手が止まらない。アマゾンのポイントが高いのも納得。
筆者の絵に対する愛情もにじみ出ている。一枚の絵をこう見るのね、と勉強になるところも多かった。
個人的に、アンリ・ルソーの絵は昔から好きなので、フィクションとは言え、人間ルソーの生活を追うのも楽しめた。あんな素朴な絵を描く人だから、きっと本書で描かれている純朴なルソーは、当たらずとも遠からじというところだろう。
絵好きの人にはもちろんのこと、そうでない人にもお勧めしたい。