家人のお勧めで読んでみた。タイトルは「家康」で始まるが、物語の主人公は家康の江戸作りに、実際に手足を動かした人たちである。未開の地であった江戸で、治水を行い、貨幣、水道、石垣、天守閣を作り、世界の都市のインフラが整備されていくプロセスが物語で描かれる。
読みやすし、面白い。東京居住者には、地名も思い当たり、話が身近。司馬遼太郎の歴史小説なら、「余談だが・・・」として2-3ページで描かれるであろうエピソードに一話一話が割り当てられている。当時の様子を思い浮かべながら、技術と誇りを持つ主人公達の動きを追うのは、何とも楽しい読書体験だった。
どこまでが史実で、どこからが創作なのかはわからないところはあるが、新しい時代の前向きなエネルギーに満ちた空気を感じることが本書の一番良いところだろう。おすすめ。