その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

アカデミア美術館所蔵 ヴェネティア・ルネッサンスの巨匠たち @国立新美術館

2016-09-17 19:43:00 | 美術展(2012.8~)
 ヴェネティアのアカデミア美術館は、ロンドン駐在時に週末の弾丸旅行で2回訪れた。ヴェネティアが誇る美術館という割には、入口が狭く、内部も全般に暗くて、作品も無造作に展示してあり、「あれっ?」と拍子抜け感があったのだが、そのコレクションはベリーニ、ティツィアーノ、ティントレットなどべネティア・ルネッサンスを代表する画家たちをもれなくカバーしていて流石と唸らされた。特に、ヴェロネーゼの『レヴィ家の饗宴』は横幅12mもある超大作には肝を抜かれた。


『レヴィ家の饗宴』※これは本展覧会での展示はありません

 そのアカデミア美術館の作品による美術展ということで、7月の開催間もない時期に国立新美術館に行ってきた。金曜夕刻時に訪れたのだが、ルノアール展はとっても混んでいたが、こちらは始まったばかりということもあってか余裕を持ってみることができた。

 入口を入るといきなりポスターにもなっているベッリーニの「聖母子(赤い智天使の聖母)」に目を奪われる。色合いが何とも艶やかだ。ヴぇネティア派は「絵画においてはデッサンを重視したフィレンツェ派とは異なり、画面を色を使って構築し、流動的で詩的な雰囲気で人間の感覚に直接訴えかける効果を追求した」というWikipediaの通りである。



 本展の目玉であるティツィアーノの《受胎告知》は410×240 cmというその大きさから来る迫力もさることながら、ダイナミックかつドラマティックな表現はクリスチャンでなくとも胸を打つ。これ以外にも、同じくティツィアーノの《聖母子(アルベルティーニの聖母)》やヴェロネーゼの《レパントの海戦の寓意》など、どれも目が釘付けにされるものばかり。


ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 《受胎告知》 油彩/カンヴァス 410×240 cm サン・サルヴァドール聖堂


ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 《聖母子(アルベルティーニの聖母)》 油彩/カンヴァス 124×96 cm


パオロ・ヴェロネーゼ(本名パオロ・カリアーリ) 《レパントの海戦の寓意》 油彩/カンヴァス 169×137 cm


 ヴェネティア・ルネッサンスに興味のある人には是非。10月10日までなのでです。


第1章 ルネサンスの黎明―15世紀の画家たち
第2章 黄金時代の幕開け―ティツィアーノとその周辺
第3章 三人の巨匠たち―ティントレット、ヴェロネーゼ、バッサーノ
第4章 ルネサンスの終焉―巨匠たちの後継者
第5章 ヴェネツィアの肖像画
コメント
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