今年で5回目となる調布の音楽祭。日曜日に盛況のうちに終わりました。エクゼクティブ・プロデューサー(随分、大げさなタイトルですが)である鈴木優人氏のユニークな企画(「フェスティバルオーケストラ」の創設や有料公演のテーマ設定(「深大寺・チェンバロリサイタル」や「ツイマ—マンのコーヒーハウス」など)に加え、アットホームな雰囲気、そしてバッハ・コレギウム・ジャパンなど世界レベルの演奏が楽しめることもあって、都合で行けなかった第2回を除いては、毎回お邪魔してます。今年は、いよいよネーミングに「国際」をつけて改名し、新しいロゴマークも発表し、未来への一歩を踏み出す決意を示しています。
年々、プログラムも充実しています。また、プログラムとは関係ないですが、今年はオープンステージがある文化施設「たづくり」にスターバックスが無料のコーヒーサービスを提供してくれたのが、来訪者にとっては「超」がつくほど嬉しかった。私自身はこの音楽祭の大きな魅力の一つが、市民音楽家や地元の桐朋の音大生らによる無料コンサートなのですが、スターバックスのコーヒーをすすりながら、リラックスした雰囲気で生演奏を楽しむって、これぞ音楽の楽しみという体験をさせてもらいました。
来年以降、調布「国際」音楽祭がどういう展開をするのか楽しみです。まさに分岐点に立っていると思いました。自治体主催の音楽祭である以上、税金の使い方として適正であるべきでしょう。また、なによりも、この音楽祭の生来の良さは、市民・学生参加型の音楽の近さとBCJのような世界レベルのプロの演奏家のプログラムとの絶妙なバランスにあると思うのですが、このバランスがどうこれから変化していくのか?「国際」と名を打ったのは、予算も増やして、どんどんプロの演奏会を増やして、日本有数の音楽祭にしていくという成長ビジョンなのか?そうだとすると、今のメインホールであるグリーンホールは国際音楽祭の本拠地としては寂しい施設です。
私個人の思いとしては、「国際」などつけなくても良いから、今のこのローカルなスタイルを継承して欲しい。もし、真の国際音楽祭にするなら、近隣の狛江・府中・三鷹・武蔵野・多摩あたりとタッグを組んで、多摩国際音楽祭にして、大々的にプロモーションをかけてはどうかと思います。中途半端な成長戦略は、この音楽祭の生来の良さを失うことになりはしないか危惧します。来年以降、調布国際音楽祭がどう変わっていくのか?主催者は、ルピコン川を渡ってローマを目指すのか?応援したい音楽祭だけに、今後に目が離せません。