その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

間違いの悲劇!・・・大野和士/都響/ブルックナー交響曲第6番

2019-01-12 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 今まで時間間違いの経験はあったけど、ホール違いの間違いは初めて。駆け足で18:50に上野に到着したら、文化会館は閑古鳥。一瞬何が起こったのか分からず、まさか今日に限って時間違ったっけ?と思いチケットを見てみたら、何と会場はサントリーホール。あまりの自分のアホ加減に頭が真っ白になった。踵を返して、サントリーホールに向かうが当然開始には間に合うわけもなく、到着は19:25頃。意外と上野からサントリーホールって時間かかるんですよね。

 悔しかったのは、自分的にはコパチンスカヤさんによるシェーンベルクのバイオリン協奏曲がこの日のメインだったこと。コパチンスカヤさんは、以前、N響定演で聴き、チャーミングで溌溂とした演奏ぶりがとっても印象的だった。その記憶が残る中、今回は前列2列目の被りつき席を偶然ゲット。期待感が大きかっただけに、あまりにもショックすぎる。ホール内のバーのモニタ越しに聴く現代曲のつまらないことといったら・・・。こういう曲はやっぱり現場で見て聴かないとね。

 曲が終わったら、会場の係の人が「アンコール(があれば)お聞きいただけますよ」と言うことでホールに入れてくれた。白いドレスに身を包んで、難曲を弾き終わった安心感と割れんばかりの歓声に対する嬉しさが混じった演奏家の素敵な笑顔が見えた。これだけの拍手なんだから、どんなアンコールをやってくれるのだろうと期待に胸を膨らませたが、最後はバイオリンすら持たずに舞台袖から登場。悔しさが更につのる数分間だった(涙)。

 休憩後のブルックナー交響曲6番は全く初めて聴く曲。何の予習もしてなかったので、音を追いかけるだけで精一杯で、全体の構成や構造は殆ど分からなかったが、第2楽章の美しさには胸を打たれた。ベートーベンの第9のの第三楽章に匹敵するような天上の音楽。うっとりと酔いしれる。そして、躍動感あふれる第三楽章も力強く、クリアで良い。前列2列目なので、管は遠くから聞こえてくるが、手が届きそうなところにいるバイオリン陣の音は直撃する。力強さと美しさが並立した弦パートの演奏に胸が震えた。

 ブルックナーが良かったから多少は持ち直したものの、聞き逃した残念さと、こんな基本事項を間違えるような自分の情けなさ、入り交じった複雑な思いを噛みしめたまま溜池を後にした。


日時:2019年1月10日(木)19:00開演(18:20開場)
場所:サントリーホールホール

指揮/大野和士
ヴァイオリン/パトリツィア・コパチンスカヤ

シェーンベルク:ヴァイオリン協奏曲 op.36
ブルックナー:交響曲第6番 イ長調 WAB106(ノヴァーク版)

Date: Thu. 10. January 2019, 19:00 (18:20)
Venue: Suntory Hallseat

Artists
ONO Kazushi, Conductor
Patricia KOPATCHINSKAJA, Violin

Program
Schönberg: Violin Concerto, op.36
Bruckner: Symphony No.6 in A major, WAB106 (Nowak edition)

コメント (2)
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