その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響定期Bプログラム 指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット/ニルセン交響曲第3番ほか

2022-10-28 07:23:47 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

10月のブロムシュテット祭りもいよいよ最終日。最後のプログラムはグリーグ、ニルセンの北欧プログラム。北欧出身のブロム翁ならではの選曲に期待が更に膨らみます。

前半のグリーグのピアノ協奏曲は超有名曲ですが、実演に接した記憶は20年以上前に1度きり(記録も無いので正確性も危い)。今回のピアノ独奏、ムストネンさんを聴くのも初めてです。打鍵が強い個性的な演奏でした。

サントリーホールのステージ後ろのP席からのピアノ曲は、屋根(ふた)に音が遮られる感じがして、聴くのに苦手意識があります。そのせいなのか、ムストネンさんの演奏との相性なのか分かりませんが、音楽自体は馴染みがあるはずなのに「あれ、こんな曲だっけ???」と感じながら、没入できないままに終わってしまいました。

しかし後半のニルセン交響曲第3番では大逆転。今年のブロム翁祭りの締めくくりに相応しい熱の入った素晴らしい演奏を堪能しました。厚い弦のアンサンブル、美しい木管の調べ、突き抜ける金管が組み合わされ、ブロム翁の指揮の元、開放的で、清らかで、透明感ある音楽が創られました。

特に、第2楽章はバリトン、ソプラノが加わり、盛田麻央さん、青山 貴さんの美声が合奏の中に絶妙に溶け込んで、美しさが極められた感じがしました。そして、第4楽章では、ステージはブロム翁と楽員さんたちの思いが最高潮に達する「気」がひしひしと伝わってくる特別な空間となっていました。その場でこの音楽を聴く機会を得た自分の幸運に自然と感謝の気持ちが湧くほどです。

終演後は当然ながら暖かく大きな拍手が寄せられました。「ありがとう」「お疲れ様でした」「来年もまた是非、元気な姿を見せてください」・・・、そんな気持ちが一杯詰まった拍手。N響を聴き始めて四半世紀になりますが、私の記憶では、この一ヶ月は特別な、将来、伝説となりうる一月だったと思います。

 

定期公演 2022-2023シリーズBプログラム
第1967回 定期公演 Bプログラム

2022年10月27日(木)開演 7:00pm [ 開場 6:20pm ]
サントリーホール

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
ピアノ:オリ・ムストネン

ソプラノ:盛田麻央
バリトン:青山 貴

グリーグ/ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
ニルセン/交響曲 第3番 作品27「広がり」

 

No. 1967 Subscription (Program B)
Thursday, October 27, 2022 7:00pm [ 6:20pm ]
Suntory Hall

Conductor: Herbert Blomstedt
Piano: Olli Mustonen

Soprano: Mao Morita*
Bariton: Takashi Aoyama*

Grieg / Piano Concerto A Minor Op.16
Nielsen / Symphony No. 3 Op. 27, Sinfonia espansiva*

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