その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

小野 壮彦『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』 (フォレスト出版 、2022)

2023-03-14 07:49:25 | 

タイトルを含め「刺激的」な一冊です。10年以上前の個人的な話になりますが、著者が所属していたエゴンゼンダー社をはじめ、世界的なエグゼクティブ・サーチの会社とクライアント側としておつきあいがありました。彼らとの協業は、仕事ぶりなど学ぶことも多く、とってもエキサイティングな経験でした。本書は、著者のエゴンゼンダー社での経験をもとに、人材の見方・選び方についてのノウハウを開陳した一冊です。

会社を離れたとはいえ守秘義務やしがらみもあるでしょうし、読者の経験値もいろいろでしょうから、相当、気を遣って、シンプルに分かりやすく書かれています。が、袈裟の下に鎧が垣間見られますので、注意深く読みたい一冊です。

個人的には、人材の4層モデル(上(表面的に見えるもの)から①経験、知識、スキル、②コンピテンシー、③ポテンシャル、④ソースオブエナジー)を夫々の構成要素に分解して説明してくれているのは、フレームワークとして腹落ちするもので、実務にも即使えると思います(似たようなモデルは他にもあるのでしょうし、本当の難しさは、言ううまでもなく、それを使いこなせるかどうかなのです)。

また、人を能力的な優秀・普通の縦軸と、人としての善悪の横軸で、マトリックス化して対策を講じるところなど、いかにもコンサル会社的なリアリズムです。更に人を評価するということは、自分を知ること(自分のバイアスを知る)というのも、強く首肯できるところでした。とある採用候補者のアセスメント報告書が例示されていますが(これも公開用にかなりの編集が施されていると想像しますが)、彼らの世界の入口がチラ見できます。

ビジネスの世界に居る限り、評価するのも、されるのも、避けることはできないので、一度読んでみて損はないと思います。

 

■本書の構成
序章 「人を選ぶ」ということの意義
第1章 「人を見る目」を分解する
第2章 人を「階層」で捉える
第3章 相手の本質を見抜く実践メソッド
第4章 人を見る達人となるために
第5章 地雷を踏まないための知恵
第6章 人を選ぶ現場で今起こっていること
終章 「人を見る力」がもたらす究極の喜び

コメント
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