その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

すばらしいアリス・紗良・オットのピアノ:F.ルイージ、N響、リストピアノ協奏曲第1番ほか

2023-12-08 07:30:34 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)
 
12月のルイージ、N響の2本目はサントリーホールのBプログラム。Cプロに続いて、Bプロも初日に振替えです。

プログラムは、ハイドン、リスト、レーガーというあまりお目にかからない組み合わせです。どれも聴きごたえ満載でしたが、2曲目のアリス・紗良・オットによるリストのピアノ協奏曲1番が取りわけ印象的でした。

アリス・紗良・オットさんの演奏は、過去に1度触れたことは記憶にあるのですが、失礼ながらあまり良く覚えてませんでした。今回のリストのピアノ協奏曲第1番での演奏は、「一途な姿勢でこれほど多彩な音を放つピアニストなんだ!」と強いインパクトを与えてくれるものでした。
 
紅のドレスでステージに現れた紗良さん。華奢な体躯で、可憐さを匂わせながらも、舞台を支配する独特のオーラ・雰囲気を醸し出しています。第1楽章は力強い打鍵で、激しく情熱的な音色がホール一杯に響きます。第2楽章は柔らかく、優しい。木管とのやりとりも息があってうっとり。そして、第3,4楽章と進むにつれて、さらに憑かれたようにアリスさんはピアノに向かい、激流とも言える演奏となりました。
 
14歳に初めてオーケストラと共演したのがこの曲だったとアンコール前に一言ありましたが、個人の気持ちがとりわけ入った演奏に感じられたのも納得です。ルイージ、N響もアリスさんの熱演に応えるように、前のめりでの演奏でした。
 
終演後はもちろん大拍手。ステージを小走りに行き来するアリスさんが実にチャーミング。人気あるのも納得ですが、人気以上の実力を感じた演奏でした。

アンコールはサティのグノシエンヌ 第1番。激しかったリストとは真逆の静逸な音楽に心が洗われる時間でした。

冒頭のハイドンは、端正で折り目正しい正統派の演奏に聞こえました。N響の美しいアンサンブルが耳に優しいです。

メインのルーガーは全く初めて聞く曲でしたが、モーツァルトのモチーフが姿・形を変えて何度も現れ面白い。音楽的なユニークさや価値は私には分かりかねますが楽しめました。
 
いよいよ来週は第2000回記念の定期演奏会。まさに祝祭曲であるマーラーの交響曲第8番です。否が応でも期待で胸膨らみます。
 
 
 

第1999回 定期公演 Bプログラム
2023年12月6日 (水) 開演 7:00pm
サントリーホール

曲目
ハイドン/交響曲 第100番 ト長調 Hob.I-100 「軍隊」
リスト/ピアノ協奏曲 第1番 変ホ長調
レーガー/モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ 作品132

指揮 : ファビオ・ルイージ
ピアノ : アリス・紗良・オット

No. 1999 Subscription (Program B)

Wednesday, December 8, 2023 7:00pm
Suntory Hall

Program
Haydn / Symphony No. 100 G Major Hob. I-100, Military
Liszt / Piano Concerto No. 1 E-flat Major
Reger / Variations and Fugue on a Theme by Mozart Op. 132

Conductor : Fabio Luisi
Piano : Alice-Sara Ott

コメント
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