講談社新書歴代第2位の発刊数(第1位は渡部昇一『知的生産の方法』)を上げている『タテ社会の人間関係』の続編として、タテ社会の枠組みを活用して現代日本を読み解く一冊。(筆者自身が書いているように、筆者は「タテ社会」という言葉は使っておらず、日本の組織の特徴を「場の共通性に根差したタテ関係が強い小集団」にあると言っているのを、編集側が「タテ社会」という言葉でまとめている)
2匹目のドジョウ感満載であるが、1967年発刊の前著の分析枠組みは今も色あせておらず、前著の復習や理解を深めるのに役立つ(ただ、全体の半分近くが前著の元論文がそのまま掲載されているだけなのは、どうかと思う)。日本を取り巻く環境は大きく変わりつつも、タテ関係の小集団によるデメリットが、長時間労働やいじめと言った現代の社会問題の背景の一つにもなっていることが理解できる。
改めて、デジタル化はグローバルゼーションで日本を取り巻く内外の環境は大きく変わっているが、根っこの特徴はまだまだ根づよく残存していることに気づかされる。
初めて中根さんの本に触れる方は、まず原著『タテ社会の人間関係』を読むのをお勧めしたい。本書は余裕があればで良いかな。