始まりはマクド

　午前8時前、まだ起床していない家内を起こさぬよう、抜き足、差し足、忍び足で家を出る。
　隣のローソンでスポーツ報知を買い、冷たい風の中を目的地へと急ぐ。
　土曜の早朝で、通勤通学の人出はほとんどない。

　1分ほど歩くと、黄色いMをデザインした広告塔が眼前に現れる。
　久しぶりのマクドナルドだ。
　ドライブスルー横の裏口から店内に入る。

　想定通り一番乗りだ。
　カウンターにて一番安いソーセージマフィンとアイスコーヒーのコンビを注文。
　番号札を受け取り一番奥の席にてサーブを待つ。

　運ばれてきたコーヒーの容器のデザインがいつもと異なっていた。
　よく見れば、アイスコーヒーを頼んだのにホットコーヒーがトレーに載っていた。
　思わず交換すべく腰を浮かしたが、安物のために店員の手を煩わすのもどうかと思い、交換は諦めた。

　今日は黒革のライダースジャケットを着用しようと思ったが、テレビのマクドのCMでキムタクが同じ格好をしていたので、デニムのGジャンにした。
　真似をしていると思われるのが嫌だったのだ。

　ソーセージマフィンは冷めたほうが旨いので、スポーツ報知を隅々まで読みながら2時間を潰す。
　帰る直前に冷めたコーヒーとソーセージマフィンを食し、マクドをあとにする。

　午前10時過ぎ、日はまだ頂点に達せず、始まったばかりの今日1日の長さを疎ましく思う。

　

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