★★たそがれジョージの些事彩彩★★

時の過ぎゆくままに忘れ去られていく日々の些事を、気の向くままに記しています。

雨の日と貸本屋

2021年04月17日 23時41分25秒 | 徒然(つれづれ)
 久しぶりに終日降り込められた。
 中学生の頃、学校からの帰り道に貸本屋があった。
 日曜日が雨の予報の時は、土曜日に下校途中でその貸本屋に寄って、日曜を家で過ごすために2、3冊借りたものだ。

 貸本屋には漫画雑誌や週刊誌ももちろんあったが、メインは貸本屋専用の漫画本や劇画本だった。
 耐用期間を長く保つために、普通の漫画雑誌より厚手の紙で、外側は透明のビニールカバーで覆われていた。

 当時の貸本漫画は月刊や週刊の漫画雑誌への登竜門だった。
 漫画雑誌の人気漫画に比べて完成度は低いものの、そこには将来の手塚治虫や藤子不二雄を目指す、中堅作家の熱気が溢れていた。
 そんなわけで、特に劇画作家のほとんどが貸本漫画からスタートしている。

 そんな独特の世界観の貸本漫画が好きだった。
 それは、プロのミュージシャンの完成された安定の楽曲より、アマチュアの粗削りな可能性に満ちた歌のほうが、時として心を揺らすのに似ている。

 もう街で貸本屋を見かけることはない。
 漫画喫茶は存在するが、懐かしい貸本屋とは似て非なるものだ。
 

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