未来予想図なんていらない

　同居していた母方の祖母が亡くなったのが94歳、父親が76歳、母親が68歳で亡くなった。
　それらの年齢が私の人生の里程標になっている。

　現在、私は母親の寿命を超えた。
　次は父親の寿命に挑戦だ。

　今の健康状態から考えると、父親の寿命を超える可能性は高いはずだ。
　祖母の寿命を超えるのは、平均寿命からいっても難しそうだ。

　3人とも晩年は病に臥せり、寝たきりの状態だった。
　そう考えると、健康寿命はもっと短いはずだ。

　しかし、健康なうちに何かをやっておこうという考えはない。
　もう未来予想図を描く歳でもない。
　言ってはなんだが、人生、やり残したことはない。

　残りの人生、平穏無事に過ごし、ある日突然ポックリ逝けたら、それに越したことはない。
　老後は何事もないということが幸せなのかもしれない。
　果たして、思い通りにうまくいくだろうか。

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つつがなしや友がき

　数年来のコロナ禍のせいで、学生時代やサラリーマン時代の連中との定期的な飲み会が激減した。
　かろうじて、2、3人の飲み会が不定期的に存続している。

　4年前に定年退職し、70歳も目前となり、先のことを考えると、旧交を温める機会もそう多くはないはずだ。
　ゴールデンウイーク明けには、コロナが感染症5類に引き下げられるようで、飲み会も以前の頻度に戻したいとも思う。

　しかし、この歳になると、声をかけていいものかどうか迷ってしまう。
　コロナ禍におけるブランクで、相手の健康状態が気になってしまう。

　同年代の芸能人や著名人の訃報が珍しくない昨今、もしかすると、親しかった連中が鬼籍に入っている可能性もなきにしもあらずだ。
　それでなくとも、病に臥せっているかもしれない。

　そんな思いが脳裏をかすめ、こちらから改まって誘うのは気が引けてしまう今日この頃だ。
　とりあえず、春になりコロナ禍が落ち着くようであれば、旧友たちに連絡を取ってみようと思う。
　このまま、去る者日々に疎しにはしたくないものだ。
　

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