★★たそがれジョージの些事彩彩★★

時の過ぎゆくままに忘れ去られていく日々の些事を、気の向くままに記しています。

思い出の喫茶店

2012年12月09日 13時19分04秒 | 徒然(つれづれ)
会社の近くの商店街の中に、昭和の雰囲気を色濃く残す、小さな喫茶店がある。
以前勤めていた会社に嫌気が差して、密かに再就職活動をしていた時、今の会社の中途採用に応募した。それまでにも数社面接を受けたが、ピンと来る会社はほとんどなかった。
採用通知をもらって辞退した会社もあった。

今の会社の一次試験の会場が、その喫茶店の近くだった。
一時間程も早く目的地の近くへ来てしまったので、その喫茶店に入り、コーヒーを飲み、スポーツ新聞を読みながら時間を潰していた。
試験の時間が近づくにつれて、他の会社の例もあり、行くのがだんだん億劫になってきた。さんざん悩んだ挙句、この会社で終わりにしようと、ふんぎりをつけて喫茶店を出た。

会場に行くと、就職シーズンでもないのに、30名程が集まっていて、その会社の人気に少なからず驚いたものだ。会社説明を聞くうちに、給与や福利厚生、会社環境などが、今までの会社とは雲泥の差だとわかった。これはヤバイと、俄然本気モードになった。

運よく採用され、半年後には、会社は大証二部に上場、後年、東証一部に上場して大企業の末席を汚すまでに成長した。そして僕は今の会社で定年が遠からず見える今日まで勤めてきた。あの時、あの喫茶店で試験に行く決断をしなかったら、僕の人生は大きく変わっていただろう。

その喫茶店は、今も同じ場所に、同じ佇まいで存在する。
会社へ入って30年近く経つが、以来そこへ行ったのは5~6回程で、そのたびに脳裏に懐かしい痛みにも似た感傷が去来する。

定年退職の日には絶対に行こうと思っている。
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1 コメント

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Unknown (名無し)
2012-12-10 14:18:33
とてもいい話ですね。
「たそがれオヤジ」のこれまでの人生は、ご本人しかわからないものですが、淡々とした文面に哀愁を感じました。
最後の行では、胸が熱くなりました。
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