幻のマシン

1993年9月28日にエストリルサーキットで行われたテストにセナのドライブで初登場したマクラーレンMP4/8B。
1993年シーズンを戦うMP4/8のシャシーにランボルギーニ3512エンジンを搭載したマシンで、数回テストに使用されただけで実戦には登場していない幻のマシンだ。
このマシンテストでは、フロントウイング翼端板にグッドイヤーのマークが施されている以外は何もマークはなく、真っ白なマシンだったのが特徴。

またV8エンジン用のシャシーにV12エンジンを搭載したので、若干ホイールベースが長くなるなど、オリジナルのMP4/8と違う点もいくつか見られた。
その後、イギリスのシルバーストーン・サーキットでハッキネンがテストしていた最中に、とてつもないエンジンブローに見舞われた。
ドライバーのハッキネンは「（エンジンは）素晴らしかった。馬力がどんどん出る。ホントに素晴らしかったよ。飛んでいるようだった。でもハンガーストレートからストウコーナーに向かうとき、爆破したんだ…いや本当に爆発したんだよ！これまた、すごかった。たぶん僕が経験した中で最大のエンジンブローだったよ。エンジンの破片やピストンが僕を追い越して右や左だけでなく、あらゆるところに飛んでいった。またヘルメットの上を飛んでいくのも見えたほどだった。ホントに大爆発だった。おかげでシャシーの床には穴が開いてしまった。僕のF1キャリアの中で最も特別な瞬間のひとつだね。そしてあの信じられないような音といったら…ショッキングだった」とコメント。

このことが直接の原因になったかどうかは分からないが、結果的に1994年型マシンのMP4/9にはプジョーエンジンの搭載が決定。
ランボルギーニとの提携はご破算となった。

もし爆発していなければ、どうなっていたのか？
F1の歴史を変えたかもしれない！？