かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

日本の高校生は本当に勉強離れで漫画や携帯が友なのか?

2006-03-02 22:11:21 | Weblog
 ようやく雨も上がって一転春らしい陽気となりました。もう少し暖かになれば、本当にバイクにとっては一番望ましい気候になります。まだ寒さもちょっとばかりは戻ってくるでしょうが、一月前のとてつもなく痛い寒気はもうやってはこないでしょうし、本当に冬を越したのだな、と実感させられる今日この頃です。

 さて、今朝の新聞に今時の高校生の意識を調査した結果の記事が出てました。日米中韓、という何でこの4つの国だけなの? とその調査対象からして少し首をかしげたくなるような記事でしたが、中身は日本の高校生達の、その他3カ国に比べて目立つ勉強への無関心や、携帯、漫画などへの強い関心を憂える内容でした。まあゆとり教育などというバカな実験で子供達を翻弄して恥じない我が国のことですから、こういう憂えがでるのも不思議ではない、といったんは思ったのですが、どうもよく読んでみると中身がヘンです。例えば、どんなタイプの生徒になりたいかという設問で、米中韓が「勉強がよくできる生徒」を67.4%~83.3%と非常に高率でトップに上げているのに対し、日本は「クラスのみんなに好かれる生徒」が48.8%でトップだった、と書いてあります。あれ? じゃあ日本の高校生は、「勉強がよくできる」というのをどれくらいなりたいと思っているんでしょう? その数字がないと判断のしようがないではないですか。これは何かおかしいと思った私は、早速調査した財団法人「日本青少年研究所」のホームページから、調査結果のデータを落として見てみました。PDFで28ページもある大部のデータなので全部はまだ見てないのですけど、件の設問の答えが見つかったので見てみますと、日本で「勉強がよくできる生徒」を選んだ割合は、40.5%ありました。確かに低いとはいえますが、大げさに騒ぎ立てるほどとは私には思えませんでした。そして、記事でわざわざ日本人トップと喧伝した「クラスのみんなに好かれる生徒」の他国の割合は? 中国66.2% 韓国41.4%。中国など日本よりも多いですし、韓国だって遜色ある数字ではありません。アメリカだけ21.6%と随分少ないのが目立ちますが、日本の結果を取り立ててかき立てるほどのことはない結果です。第一複数回答可ですから、何も一番多かったから、といって、よほど大きな差がないと特異性を唱えるのは難しい気がします。
 更に新聞を見てみますと、日本が高かった項目として、「漫画やドラマなどの大衆文化」62.1%、「携帯電話や携帯メール」50.3%と記事にあって、タイトルにもご丁寧に太明朝で「関心は漫画に携帯電話」と書いてくれています。ではデータはどうかと申しますと、実はこの設問は「非常に関心がある」から「関心がない」まで4段階の中から選ぶというアンケートでした。そして、確かに記事の数字は「非常に関心がある」という数字には違いないのですが、その次の「まあ関心がある」まで加えますと、大衆文化では日本92.8%に対して韓国は88%とこれもあまり大きな差はない。携帯電話も日本85%韓国78.6%。確かに日本は高めですが、タイトルに使うほど差があるとは思えません。それと記事には出ていない「ゲーム」への関心ですと、日本45.5%韓国60.5%と逆転しています。日本は漫画好きだが韓国はゲーム好き。でもその差はごくわずか、というのが正しい報道の書き方ではないかと私は思いました。更に更に、この設問には実は19も項目があって、新聞が記事にしているのはその中のごく一部も一部に過ぎないのです。これはまさに、自分達の主張がまずあって、それにあいそうなデータだけピックアップしてことさらに強調してみせる、マスコミや官僚に通弊のご都合主義的データ読みとりですね。確かにほかのデータを見ていますと新聞の言いたいことを表すような数字も出て参りますけど、各国の国情や国民性も違うでしょうし、このように単純には判断できない数字もあります。考えてみれば人間がそんなに単純な訳がなく、ステレオタイプに色分けしたがるマスコミの単細胞につきあいたくない方は、是非実際の数字に当たって見られることをおすすめします。

コメント
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