かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

家がずり落ちないように修繕する、という夢を見ました。

2010-05-16 22:45:33 | 夢、易占
 昨日書き損ねた連載小説をアップしました。そろそろ新たな動きが欲しいところで、今まで出していなかったアルファ、ベータにその役を担ってもらいました。来週以降、更に激しい動きが生じて、中盤の山場を迎えられるようにできたらいいな、と考えています。

 さて、一作日から昨日にかけて、薬のせいもあってやたらと眠気に呑まれていましたが、そのせいか夢も今まで見た記憶のない、一風変わった物を見ました。せっかくですので、少しそれを記録しておきます。

 私は自宅にいます。今の家のつもりでいますが、目覚めてから考えてみると、どうも大阪の実家によく似ております。二階建ての普通の家です。何故か建築途中のように骨組みだけになっていますが、日常住まいしている家であると、夢の中では認識しています。その家の柱が、何故か土台から滑って前のほうにずれてしまいました。土台はまるで昔の建物のようで、柱一本一本に柱より一回り大きな石があてがわれています。今はかろうじて引っかかっていますが、このままだと土台から滑り落ちてしまいます。私は急いで落ちかかっている方から柱を支え、押し過ぎてかえって向こう側に落としてしまうことのないように、慎重に力を加えて柱を押しました。最初、なかなか動かず苦労しましたが、ここでエイヤとばかりに力を入れてしまうと、たちまちブレーキがハズレて向こうに勢い良く滑っていきそうな気がして、ひたすら我慢して少しずつ少しずつ力を入れて動きを見て、どうにかゆっくり柱を滑らせて、土台の真ん中に柱を持っていくことが出来ました。とは言え、力を抜くとすぐずれるので、油断なりません。私はとりあえず手近な石を拾うと、一番手前の柱と土台の間にその石を挟みこみました。更に少しその柱を持ち上げて、厚めの板などを挟み、少しこちらの方を高くして、滑ってこないようにしました。柱は、二階分もあって随分重いだろうと思っておりましたが、案外軽く持ち上がりました。こうして一本できると隣の柱、更にその隣、と柱を少し持ち上げ、間に挟み込んで行きました。片方をあまり上げすぎると、さっきはさんだ分が持ち上がって意味を成さなくなるので、これもまた慎重に少しずつ上げては挟み、周りの様子をみながら作業を進めました。

 家の修繕の夢、というのは長らく夢の記録を取っている私に取っては初めて見る夢で、どういう意味があり、何を暗示しているのか、興味があるのですがまるで見当がつきません。何か適当な参考書を調べてみる必要があるかもしれませんね。

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04.悪夢の中の悪夢 その1

2010-05-16 16:54:43 | 麗夢小説『夢の匣』
 パソコン授業の後の昼休み。
 教頭先生は随分張り切って私を伴い、いかにも古臭い感じのするパソコンを倉庫から引っ張り出してきて、準備万端整えたのだけれど、結局、荒神谷さん達4人は職員室にやって来なかった。おかげで、「どうしたんでしょうね?」と首を傾げ、暇を持て余した教頭先生から、「生徒指導はしっかり目を離さないようにしてください」とこっぴどい『指導』を受けてしまった。何とかその矛先をかわそうと、フロッピーの中身は? と問いかけてみると、何かプロテクトが掛けてあって読むに読めないらしかった。そこでやめておけばよかったのに、「キドウ君に頼んでみようかしら?」となにげにつぶやいてしまったのがまた教頭先生のお気に召さなかったようで、「生徒に頼みごとをするなど、教師として恥ずかしくないのですか!」と烈火のごとく散々に絞られる羽目になった。
 そんなストレスを抱え込んだまま帰宅してしまったからだろうか。とんだとばっちりにクタクタになってベットに倒れ込んだ私は、また、あの『夢』を見ることになった……。
…………。
………………………………。
………………………………………………………………。
………………………………………………………………………………………………………………………………。
「…………起きろ。起きぬかこら! 麗夢!」
「ニャニャニャニャニャーン!」
「ワン! ワンワンッ!」
 一方は危険と不快という文字をそのまま練り上げたような冷気を覚えさせる声。一方は、信頼と友愛に溢れる陽だまりの温もり。不調法な男の声と可愛らしい猫と犬の鳴き声という不協和音の極端な温度差が、ようやく『夢の眠り』から、麗夢の意識を引き上げた。潤いを帯びたまつげが微妙に揺れ、震えるまぶたがゆっくりと開く。半分開いたまぶたの中で、見る者をすべからく魅了してやまない大きな瞳が、コントラスト激しい声の方に振り向いた。可憐な唇がポツリとこぼす。
「…………、あ、教頭先生……、おはようございます……」
「馬鹿者! いつまで寝ぼけておる! シャンとせんか!シャンと!」
 ギラリ! と危険な光を放つ死神の鎌が眼に入り、麗夢はようやく深い迷妄から覚めた。
「ル、ルシフェル! 荒神谷さんは! 学校はどうなったの?!」
「ニャーン!」
「ワンワン!」
 うつ伏せに寝ていた麗夢が、威勢よく両腕で身体を起こした。途端にアルファ、ベータの二匹の声にも明るさと元気が蘇る。死夢羅=ルシフェルは、その声の持つ正のエネルギーに眉をしかめつつも、今は耐えるより無い、とばかりに麗夢に言った。
「何も変わっておらぬ。未だ、あの忌々しい「悪夢」に囚われたままだ」
「そう……。でも、楔を打ち込む事には成功したはずだわ」
 麗夢は勢い込んで、膝の上に飛び乗ってきたアルファ、ベータに視線を落とした。
「ニャ!」
「ワン!」
 嬉しそうに目を細め、盛んに尻尾を振る二匹。
 そう。この1週間、こうして夢の中ですら原型を保つことができなくなってきた麗夢と死夢羅を土壇場でつなぎとめたのが、アルファ・ベータのコンビであった。
 南麻布女学園で麗夢が消息を絶った時、荒神谷皐月の繰り出す南麻布学園初等部という悪夢結界に苦労しつつも、ようやくベータが夢世界にその痕跡を嗅ぎ出し、夢の中での再会を果たした。その時、麗夢は夢の戦士として死神ルシフェルと熾烈な戦闘の最中であったが、二匹の姿を認めると、麗夢も死夢羅も、あっさりと互いの得物を引いて戦いを収め、二匹に、こんな戦闘よりも遥かに深刻な事態を知らしめたのである。
『こうして戦っていたら、その闘気を感じ取って必ず来てくれるって信じてたわ!』
『我ら二人の力を持ってしても破ることの出来ぬ結界も、貴様らが外部から働きかければ、ゆらぎ、ほころびが生じぬとも限らぬ。主が大事と思うのなら探すのだ。この忌々しき結界を揺るがすきっかけを』
 不倶戴天の敵同士が手を組んでなお余る強力な結界……。二匹はその深刻さに身震いして、一心に「きっかけ」を探し求めた。その直後、一段と強力な結界が二人の意識を飲み込み、アルファ、ベータとの連絡を断ち切った。しかし、二匹は諦めず、刈り取られ、改変された世界に馴染まないでいる、現実世界の残滓を求めてひたすら駆け回った。そうして発掘してきたのが、松尾亨の遺したフロッピーディスクだったのである。
「確かに楔は打ち込まれ、再び夢の中で己を取り戻すことは出来た。だが、結界を打ち破るにはまだゆらぎが不足している。もっとこの結界を揺さぶるモノが必要なのだ」
 死夢羅は、珍しく苦りきった表情で、アルファ、ベータを見返した。二匹も、敵意もあらわに睨み返すが、今は争っている時ではないことは重々承知している。せっかくこうして、一段と威力を増した結界から、夢世界の中だけとは言え本人の意識を取り戻すことが出来たのだ。更に一手進めることで、今度こそ「南麻布学園」という結界を打ち破れるかもしれない。
「……でも、荒神谷皐月さん……。彼女、一体何をやりたいのかしら?」
 麗夢のつぶやきに、死夢羅は吐き捨てるように語気を強めた。
「知るか! 餓鬼のママゴトにいちいち理由など求めてどうする?!」
「何よその言い方! 相手の狙いを知らなければ、そもそも対策の立てようもないでしょう?」
 麗夢もムキになって反論した。すると死夢羅は、皮肉げに唇をひねり上げ、嘲りもあらわに笑みをこぼした。 
「何がおかしいのよ」
「麗夢、さては貴様、今の状況を楽しんでおるのではあるまいな?」
「な、何ですって?」
 今の状況を楽しむ? 麗夢は、自分の耳を疑った。すると構わず死夢羅は言葉を継いだ。
「闇と光の永劫続く戦いの日々に倦み疲れ、今のこの生ぬるい吐き気を催すような平和に安住し、このまま永遠にこの日々が続けばよいのに、と思っているのではなかろうな?」
「そんなわけないでしょう!」
 麗夢は立ち上がって、冷笑を続ける死夢羅に言った。
「こんな訳の判らない状況でやったことも無い学校の先生を強制されて、しかも悪魔が上司だなんて楽しい訳ないでしょうがっ!」
「餓鬼に花束をもらって感激していたのは、どこの誰だったかな?」
 1週間前。今はすっかり定着した感のある現実世界で、麗夢は生徒達に感動の儀式をもって迎えられた。あの時流した嬉し涙の心地よさは、まだ麗夢の胸の中に疼いている。だが、それとこれとは話が別だ。麗夢は死夢羅に言い返した。
「あ、あなたこそ、子供たちイジメて『死神』なんて呼んでもらえて、結構楽しんでるんでしょう!」
「馬鹿な事を言うな。仮にもこのわしが、夢魔の総帥、悪魔の二つ名を持つこのわしが、たかが餓鬼共のお守りで満足するなどと思うか」
 すると麗夢は、死夢羅の冷笑を奪い取ったかのように半身に構えると、腕を組んで死夢羅に言った。
「その割に、熱心に『指導』してくれたじゃない。『愛と平和』?『公平と寛容』?『希望と未来』? 死神サマも随分と物分りがよくなったのねぇ」
 今度は麗夢の冷笑に、死夢羅がギクリと脂汗を流す番であった。
 この二人には、荒神谷皐月によって強制されている、南麻布学園でのやりとりをちゃんと記憶している。それこそ夢を見ているような感覚であるが、夢というにはあまりに生々しい鮮度で、その体験を認識しているのである。
 そんな記憶が刺激されたのであろう。死夢羅はいかにも苦しげに呻いて言った。
「ううう、なんとおぞましいことだ。このわしが……、このわしがよりにもよって『愛と平和』なぞを得々と語ろうとは…… これがどれほどの屈辱か、分かるか? 麗夢!」
「分かる訳ないでしょ! 大体、あなたが不用意に引っかかるからいけないんじゃない。自業自得よ」
「あの時榊やクソ坊主どもが邪魔立てしなければ、こんな事にはならなかったのだ! それがなんだ! 貴様まで手も無く引っかかりおって! 力に頼り過ぎて油断するからだこの愚か者が!」
「その言葉、そっくりそのままお返しするわ! 何が夢魔の総帥よ! 悪魔の二つ名よ! 偉そうなことばかり言って、結局あんな小さな子に手も足も出ないじゃない!」
「餓鬼に屈したわけではないわ! いい加減にせぬと、その素っ首、この場でたたき落としてくれようぞ」
 殺意の込められた死夢羅の鎌が、ゆらり、と麗夢の方に向けられた。麗夢も、スラリと夢の剣を構えて対峙する。
「やれるものならやってみなさい! きっちり返り討ちにしてあげるわ!」
「ふん! 愚か者は一度痛い目を見ぬと目が覚めぬらしい」
「ニャーン!」
「ワンワンワン!」
 にわかに険悪度を増した二人に、今はそんなことをしてる場合じゃない、と慌ててアルファ、ベータが呼びかけた。しかし、二人はまるで聞く耳を持っていなかった。
「ちょっと黙っててアルファ、ベータ。今この鼻持ちならない自信過剰なバカを黙らせるから!」
「獣風情が口出しするな! 己の力もわきまえられぬ愚か者の目を、今わしが覚まさせてくれる」
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