片方が不祥事で見なくなったら、今まであまり目立たなかった方が売れ出したり。
そんな「アンジャッシュ」ではなく、「ランジャシュ(蘭麝酒)」のお話。
「蘭麝酒」というとご存じの方も少ないかと思いますが、戦国時代の地元福井県は一乗谷の朝倉氏が造ったとされ
その名は、例の「蘭奢待」から来ているとされる。朝倉氏滅亡の後は一乗谷があった東郷地区で「青木蘭麝堂」が
400年以上も「健康酒」として一子相伝、門外不出で「蘭麝酒」の製造販売を続けている。
とは、表向き?そう言われてはいるのですが・・・実は。
地元TRG市の老舗薬局の「山本道庵」でその昔、販売されていたことはあまり知られていない。
私が知ったのも実は数年前、とある地元の古い家から出て来た下のガラス瓶を入手した時。
当時、無傷の状態で空瓶が二つ出て、その内の一つを当方が保管し、もう一つは「山本道庵」さんに贈呈。
現在の店主さんもあまり知ってはなくて、ビックリされていたのを思い出す。
因みに、この「蘭麝酒」のガラス瓶は地名表記や価格、電話番号から昭和初期のモノと判断されるのですが、最近
入手した陶器製の空瓶徳利について。
こちらは多分、明治から大正期の焼き物で表には同じく「蘭麝酒」の文字と、裏側には「越前敦賀」の表記と
その横には「山本鞭車斎製」の文字。
元々、「道庵」は屋号の為その時代の山本の名が出て来るわけで、ガラス瓶の方の時代は「山本進」で陶器製の方は
「山本鞭車斎」で納得。問題はガラス瓶には「本舗」の文字があり、陶器製の方は「製」の文字。
ってことは造っていたことになり、「青木蘭麝堂」がいう、一乗谷からは一歩たりとも外に出たことが無い
「一子相伝」「門外不出」の「蘭麝酒」ではなかったということになる。
この何とも言えない香りを意味する「蘭麝」というのは「蘭奢待」にしても、何かと謎が多い・・・。