Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

クルト・アッテルベリ

2009年03月20日 | 音楽
 すみだトリフォニーホールが毎年この時期にひらいている「地方都市オーケストラ・フェスティヴァル」。今年は2団体の参加のみで、やや寂しい結果となった。これも経済不況のせいかと心を痛めたが、来年は5団体参加とのことで、関係者の心意気が感じられる。

 私は児玉宏指揮の大阪シンフォニカー交響楽団をきいた。プログラムは次のとおり。
(1)エルガー:セレナーデ ホ短調
(2)リヒャルト・シュトラウス:4つの最後の歌(ソプラノ:佐々木典子)
(3)アッテルベリ:交響曲第6番 ハ長調(日本初演)
 私の興味は、アッテルベリにあった。日頃、在京オーケストラのプログラミングに既視感をおぼえることがある中で、未知の作曲家に出会えるのは嬉しい。
 いったいどういう作曲家だろうと、手元の音楽辞典をひらいてみたが、ほんの数行の解説しかなく、よくわからなかった。インターネットで検索すると、いくつかの記載があって参考になった。便利な時代になったものだ。
 要約すると、1887年に生まれたスウェーデンの作曲家で、電気工学を学び、特許局で働きながら、作曲活動もすすめ、9曲の交響曲、5曲のオペラなどを残し、1974年に没した。
 交響曲第6番は、1928年のシューベルト没後100年を記念した国際コンクールの優勝作品であり、当時はそうとう評判になったとのこと。

 きいてみて、なかなかいい曲だと思った。第1楽章はモデラートで、民俗的なラプソディー風の曲想。第2楽章はアダージョで、北欧情緒たっぷりの音楽。シベリウスに近いが、旋律のラインはもっと長い。第3楽章はヴィヴァーチェで、お祭り騒ぎがだんだん高まる。あとでプログラムの解説を読んだら、シューベルトの弦楽五重奏曲の終楽章の主題のパロディーとのことだったが、そこまではわからなかった。
 演奏は、堂々とした構成で、オーケストラを無理なく鳴らしていた。第3楽章にパロディー性を感じなかったのは、演奏の真面目さゆえだったかもしれない。それはそれでよい。私は、北欧の人たちが、白夜の夏至祭で一晩中歌って踊る姿を目に浮かべた。もっとも、最後はちょっと羽目をはずすが。

 そのほかの曲について記すと、1曲目のエルガーは、意外なほど繊細な神経が通った演奏で感心した。2曲目のシュトラウスは、声がオーケストラに溶け込んだ演奏で、あるいはそれは意図したことだったかもしれないが、私としてはもう少しくっきりと浮き上がってきてほしかった。

 私は、大阪シンフォニカーは2月13日の定期演奏会もきいたが、そのときと比べると、みちがえるような出来だった。今回の指揮が音楽監督・首席指揮者の児玉宏さんだったからか。
(2009.03.20.すみだトリフォニーホール)
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